102/718
3話
冬四郎と交代で風呂をかりた西原は、ついでのようにシャツも借りる事にした。
「ちょっと、デカイか?まぁ仕方ないか。今日は我慢しろな…シャツは洗濯しといてやるから。行くぞ」
二日酔いが酷いのか、西原はまだ少しふらふらとしている。そんな西原を引っ張って、冬四郎は一緒に電車に乗った。
「お前、そんなんで仕事出来るのか?」
「大丈夫です。むつに会えたら元気になれるんで、任せといてくださいよ」
「任せらんねぇよ…」
そんなくだらない会話をしていると、あっという間に冬四郎が降りる駅に着いた。冬四郎は頑張れよと西原に声をかけると、さっさと電車を降りて階段を上がっていった。ほとんど寝ていないはずなのに、そんな体力がある事が西原は羨ましかった。
酔っ払って、冬四郎のベッドを奪って寝たはずの西原だったが、今ならいくらでも寝れそうな気がしていた。それに、頭痛も引きそうにない。仕事に行くのは億劫だったが、むつが朋枝学園内に居るなら、少しでも掴んでる事がないか聞きたかった。
そう思うと、西原も冬四郎と同じでむつより仕事なんだな、と思い苦笑いを浮かべてしまった。




