第01話:第1部 第1章 プロローグ 前編
第1部 第1章 プロローグ 前編
私は ナナ・ノースキャッスル。
ゼノビア大陸最大の領土と人口をほこるレガリア帝国 で唯一の大公の次女。
大陸最大の貴族というか、これよりも小さな国もたくさんある(領土とか人口とかの話だけれどね)。
そう思うと、なんだかおかくしくて笑えてしまう。
父が言うには 北にある ディルキス帝国がたまに侵攻してくるので、この城が最初で最後の砦らしい。
けれど、私が知る限りでは1度も侵攻はなかったなぁ。
「我がノースキャッスル家は、旧公国の末裔にあたる――なんて歴史は、私にとってはどうでもいいのだけれどね。」と、私は心の中で小さく苦笑した。
学園の長期休暇が始まる直前に急いで 父のノールキャッスル大公領の城に帰ってきたのが一週間前。
お父様は、私の話を聞いてすぐに何処かに向かった。(多分陛下の所ね)
お母様は、体調を崩したとても仲が良かった幼馴染のお見舞いに出かけていて、帰って来るのは、早くて来週かな。
たまった仕事をお父様に押し付けられてしぶしぶ執務室で一人で処理中。
実際の執務の主力はお母さまで お母さまが留守で仕事がたまったので 面倒ごとを私に押し付けただけなのだから、まったく人使いが荒いなぁ。
お父様の執務の速度はお母さまの1/3程度と予想。
それも大きな事(面倒事とも言う)は スルーしているというのに。
まぁ、腹黒君(皇太子)に 伝えるのも選択肢の一つだったけれど、巻き込まれ未来しか見えないので、お父様に丸投げした。
あ、大好きなお姉様は皇宮に詰めて、皇太子妃として(教育という)拷問を受けているわ、私はまっぴらごめんだけどw。
かわいい私の弟 ルイ は次期大公として、勉強中。来年、私と同じ学園に入る予定。
セバスが、部屋に入って来て、私が確認と署名を完了した書類(の束)を持ち上げた。
「ありがとう、セバス。ルイは、今日も元気にしている?」
私は 老紳士を視界の端にみながら声をかける
「はい、お元気です。ルイお坊ちゃまは とても優秀で、来年の学園に必要な勉強は完了しております。既に 学園の勉強内容の先取をしています。」
とセバスチャンは 真面目な顔をして返事をした。
「そう、それは良かったわ。」
私は、ほっとしながら 目の前の書類に目をおとしていった。セバスチャンは続ける。
「ラナお嬢様とナナお嬢様が優秀過ぎて、比べられるのを力に変えているようです。普通に優秀です。全てこのセバスにお任せください。」
「うん、ありがとう。あ、そうそう、外からの連絡は来ていない様だね。お父様から魔法ハトでの知らせが来るのは 明日かな。結果が気になっているから早く知りたいのに もー。(また、知らせるのを忘れているんだろうな) 他の重要な連絡はあるかな?」
私が セバスチャンにそう訪ねると
「ナナお嬢様、お隣の伯爵家より、来月末に開催される夜会の招待状が届いております。旦那様が不在の今、お嬢様が「領主代行」としてお返事を書かねばなりませんが……どういたしましょう?(「病欠」と一筆書かれますか?)」
と セバスチャンから 軽く聞いてくる。
めずらしい。
いつもは茶会も夜会も私に知らせずに 断っているのに珍しくセバスチャンから問いかけられた。
面倒と思いながらも、大事なことを思い出して 動揺した。
「あ、そうそう、今月と来月のお茶会も夜会も、全て断って頂戴。お姉様の結婚の話が早まる未来しか見えないから、そっちを進めなきゃ。」
セバスチャンは わずかに ほんのわずかに 動揺を見せたが そんなことは無かった事の様に
「わかりました。それでは、ラナお嬢様の結婚式の準備を急ぎ始めさせていただきます。」
私は、何も気が付かなかったふりをしてつづけた。
「ありがとう。ただ、まだ、決定事項ではなく、そんな雰囲気というか、予感がする様な感じなので、おおっぴらに動けないのよね。だから 決定の連絡が来るのを待っている所なの。今日には、お父様から魔法ハトが来ると思っていたのだけど。だから、密かにできるだけ準備を進めていこうと思っているわ。」
そもそも2年先という話でまとまってから、半年も過ぎていないのだ。
私は思わず声を潜め、執務室の壁に向かって毒づいた。
「(……腹黒君の都合なんて、まったく勝手極まりないわ……!)」
私は心の中で激しく毒づいた。
そもそも、なんであの腹黒君の魔法ハトの方が早いのよ。しかも内密にとか。キー。 と考えていた。
「殿下が「内密に」と仰るなら、こちらも「内密に」お姉様や奥様に情報を流し、外堀を埋めて差し上げることも可能でございます。」
セバスチャンの言葉に え、口に出していた?心を読んだ? とひどく動揺しながら
「いいんじゃないかなぁ。お姉様とラブラブだし。むしろ、結婚が早まるのは、お姉さまの方がノリノリだと思うわ。」
と言ったが、やべぇと思い
「あ、腹黒君とか言ったのは聞かなかったことにして。あの、いけずーめ。明日、お父様から決定の魔法ハトが来るでしょう。でも一日でも余裕はないから、できる準備だけは、すすめて頂戴。」
と追加した。
小さい頃はお姉様とあの次期腹黒野郎とは3人でよく遊んだわね。あれ4人だった???
「ナナお嬢様、途中、一部 が良く聞こえませんでした。申し訳ありません。」
「いえ、聞こえなかった所は 聞かなくてもいいわ。」
「そうですか。私、セバスは何も聞いておりません。…ラナお嬢様の婚礼に必要な物資が滞りなく届くよう、領内の街道の整備状況と馬車の再確認を行います。それと、ナナお嬢様の準備も進めていかないといけません。」
「お願いね。私、あの方、ちょっとだけ、苦手なのよね。いえ、超苦手かな。すげー腹黒なんだもん。お姉さまがいる時といない時の差がねぇ。まぁ。皇太子殿下もラブラブなのは間違いないと思うのが、救いかな。ちょー腹黒はうーん。あぁ、私の準備ですか……。それは、とっても、楽しみですねー」と、私は言葉の途中から感情を一切失った棒読みでセバスに返事をした
「ナナお嬢様。心の声がもれておりますぞ。ラナお嬢様の婚礼では、ナナお嬢様も注目の的です。殿下(腹黒様)の隣で幸せそうなラナお嬢様を支える「可憐で控えめ、かつ気品溢れる妹君」を演出するための勝負服を仕立てさせます。それと、今日はもう遅いのでお休み前のこのセバス特別のお茶をご用意させていただきます。」
「えへへ、ここだけの話にしてね。うん。いつもありがとう。準備はまかせるわ。特別なお茶ね。とっても楽しみにしているわ。」
お父様、もしや私の縁談まで勝手に承諾してきたから連絡を寄こさないんじゃ……。
そう想像した瞬間、怒りと、それ以上に恐ろしい予感で、私は背筋に冷たい戦慄が走るのを覚え、ガタガタと震え出した。
あ、お父様に「情報源の私の事は黙ってて」と言うのを忘れてた。ま、さ、か。
そう想像した瞬間、私は背筋に冷たい戦慄が走り、ガタガタと震え出しそうになるのをかろうじてこらえた。
セバスチャンは独り言風に呟いた「ナナお嬢様についに婚約者が。ラナお嬢様のご結婚も感慨深いですが、ナナお嬢様の婚約ですか...セバスは感動で涙が止まりません...」
私も セバスの声は聞いてなく、考え事をしながら 独り言風で呟いた「私の、おばあ様が2代前の陛下の妹さんだったけど、おばあ様のお話は面白かったなぁ。本来は大公家であるうちと陛下の家族の結婚はないと決められていたはずなんだけど、妹さんの為に当時の陛下が奮闘して特別に許可されたと話していたわ。キラキラとした目で話していたのが、印象深いわ。おばあ様...」
「相手がくそ、失礼。お相手が私目のお眼鏡にかなわない男でしたら、このセバス、命に変えても物理的に排除させていただき、ではなく、お相手がお眼鏡にかなわない男の時は [おばあ様のような大恋愛でなければ嫁ぎません] とナナお嬢様がおっしゃったと旦那様にお伝えします(きりっ」
セバスチャンは急に腹に力をこめて力強く話した。
私は なんか、すげー、怖い言葉があった気がするけど と思いながら
「[おばあ様のような大恋愛でなければ嫁ぎません]はお父様が、膝からくずれるから、やめてあげて頂戴。
お母様とは表向き政略結婚だったけど実は、お父様が熱烈に望んで、おばぁさまを動かした話、お父様は(家族に)秘密にしているけれど、皇太子殿下がお姉様に話をしているのを偶然聞いてしまったので私も知っているわ。」
弟以外 みんな知っているのに、知られているとは夢にも思っていない、けなげで可哀そうなお父様。心の中でくすりと笑ってしまう。と考えながら続ける。
「まぁ。最終的にはお母様がなんとかしてくれると思いたい...(遠い目」
「お嬢様、わかりました。私からの発言は当面は自粛致します。さあ、わたくしの特製のお茶を最後の一口までどうぞ。今夜はこれにて、ランプの火を落としましょう。」(ランプだけど、蝋燭ではない。魔道具の灯りだ。)
「うん、ありがとう。お茶を飲み終わったら休むわ。ふうう、今日のお茶は特別においしいわね。えーと、お父様が帰って来るのは、明後日以降でしょうからもう少しだけ時間はあるわ。あれ、無茶ぶりするかも?突貫で明日帰ってくることはない、ないよね...」
セバスチャンは遠い目をしながら呟いた。
「お嬢様、その「嫌な予感」というものは、得てして当たってしまうのがこの大公家の常でございます。明日の朝一番で、門番に「旦那様の馬の足音が聞こえたら即座に執務室へ報告せよ」と厳命しておきます。」
「うん。そうね、お願いするわ。(ここからは、独り言風に)私が、学園に戻る為に 出発するには、2週間後だわ。1週間前に、学園での不穏な動きをお父様に連絡したら「すぐに戻ってこい」と休暇を少しだけ前倒して戻ってきて、お父様と情報のすり合わせをしてから、すげー事が進んで、お姉さまの結婚の前倒しに行きそうなのは、なんか、目が回る。どうなるのかなぁ...私の話も巻き込まれだよなぁ」
セバスチャンは お茶を入れると部屋を出ていった。
「学園での情報は、全部、お父様にお話ししているわ。めんどうだし。私は引きこもって研究をしていたいの。お姉さまもそうだけど、学園卒業までは、婚約までだわ。卒業するまでは、皇太子殿下も、お姉さまもかまととぶって、すましてごまかしていたのよ、お父様は破談寸前までお怒りだったわ。政略結婚で娘はやらんと。大きな声をだしていたから、私の部屋にも聞こえていたわ。でも、実際はそれなりに前からラブラブだったんだけど...腹黒さんで、いいや。腹黒さんしっかりして頂戴。」
と呟いた...
私が学園で偶然に聞いた話は、隣国の小国連合が 隣の元小国連合の国、今現在帝国の属国扱いの小国へ開戦の準備をしていそうな話だった。
武器、食料と馬の飼い葉を買いあさっていると聞いたの。
まぁ、貴族というより、裕福な商人の馬鹿息子が 学園の食堂で 私の2つ隣に座っていた女の子の気を引くために自慢げにしゃべってた感じだけど、わかる人にはわかる すげーやばい話。
考えてないんだろうなぁ
読んでくださり、ありがとうございます。




