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“タイヨクのカード”を手に入れた。
「おぉー!」
ここは休憩洞窟の岩穴の中。俺は、マルメロの周りを回って、その姿を眺める。
マルメロの体は、全身のほとんどが白と黒にはっきりと色の分かれた鳥の羽毛によって覆われている。羽毛は、白い部分が多く、所々に黒い羽毛が入っている。四肢、というか、両手両足は先の方から毛が剥げて、細い足に黒い素肌が見えている。
両腕は三つの指と、反対に一つの指が付いた鳥の四つ指。足も同じ形だが、太ももから真下に足が付いているので、足の付け根や指の方が、太くてごつい。
短い髪は白と黒のモノクロ。羽毛は、頭部に関しては肩の上からは生えておらず、顔だけ見れば人らしい顔。
「俺は気に入りました」
「見た目が、ですか?」
確かめてみれば、“タイヨクのカード”レッドパールなしでも使用でき、同時に“強化爪”のなどのスキルカードも装備できる。
どうやら、自分たちで倒せるくらいなら、相手から落ちたカードは基本、レッドパール無しでも装備できそうだ。今外せないのは“黒牛魔”くらい。
パワーや耐久力は、依然“黒牛魔”の一強。素材集めの場合、“霜降りムカデ”なら“タイヨク”に更新してもいい感じ。“タイヨク”ならスキルカードも装備できるし、“黒牛魔”とは差が縮まってきた。装備するスキルカードや敵との相性で、“タイヨク”は選択肢に入るかもしれない。
まぁ、今は雑に爆破ビルドの黒牛マルメロが強いか。
後ろに回れば、二つの翼が畳まれてそこにある。そのまま、俺はマルメロの正面へと帰ってくる。
「触ってもいい?」
「どこをですか?」
「もふもふのとこ」
マルメロは、口をもにゃもにゃとさせながら答える。
「私の体は……ご主人さまの、自由にしていただければ。あ、ちょっと! どこ触ってるんですか!」
マルメロのお腹にも、ふさふさの白い毛がたっぷりと生えている。手を入れればふわりと中に指が埋もれる。顔を突っ込もうとすると頭を掴まれ止められる。
「ご、ご主人さま! 越権ですよ!」
見上げれば、真っ白な羽毛に包まれた二つの双丘が俺の視界を遮り、影を落としている。
「おー」
「なに感嘆してるんですか!」
洞窟でくつろいでいると、入り口から足音がする。最近は、綿毛鳥なんかも居ついたり懐いたりして勝手に入ってくることもあるが、人の足音を鳴らせる心当たりは、一人だけ。
振り返れば、その子が居る。真っ白な髪、小さな赤い角。黒いカッターシャツに、黒いエナメル質のホットパンツ。背中に小さな黒い羽と尻尾。
「そろそろ終わりそう?」
ヴァンピは挨拶もなく、そう聞いてくる。
「今は、レベルフロントの五段階の、五段目だよ。最後だけど、一番難しいとこ」
「そ」
少女は、最近は何をしているのだろうか。町の近くに居る間も、顔を出す頻度は下がった気がする。
「そう言えば、友達が出来たんだって?」
もう踵を返して、少女は帰る所だったが、俺がそう言うと、少女は振り返る。
「どんな子なの?」
ヴァンピは、振り返った顔に微笑みを浮かべる。
「そのうち会わせてあげる」
「そりゃ楽しみだ」
少女は背中を見せて、洞窟を去っていく。黒くて小さな尻尾と羽が、彼女の背中で揺れている。




