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ー7

 俺はウィンドウを操作して、休憩洞窟に滞在中の魔物の欄を確かめる。シェル魔物である所の、ブルーバードとポイズンアントに関しては、長押しすれば詳細な情報を確かめることが出来る。


「ブルーバードが……20。ポイズンアントが12か」


 絆レベルの欄だ。てっきり、俺への忠誠心の高いポイズンアントの方が、数値が高いものと思っていたが、実際にはブルーバードの方が高い。


 俺はちらと、畳に寝っ転がっているブルーバードの方を見る。彼女はうつ伏せになって、何かの雑誌を広げてそれを見ている。ブルーバードはその白いお尻をこちらに向けており、その顔は見えていない。


 まぁ、ブルーバードの方が先に居るし、絆スキルだっけ? ビジョンリンクも習得してたし。なんだかんだ、ブルーバードとの絆も深まっているのかもしれない。ポイズンアントの数字が低いとかではなく。


「ブルーバードの方の数字の隣には、ハートマークが付いてるけど、これは何? 絆レベルの、上限レベルとか?」


 あー……と、マルメロは口を半開きにしてこちらを見ている。


「……要素の解放まで、レベルの上昇が隠されることがあります。絆レベルの上限が20とは限らず、次の解放条件までは見た目は20で止まる、なんてことも。すでに先に20は達成されているので、ポイズンアントさんの方の数字は、12から20に上がるまでは見て確認できるでしょう」


 なるほど? じゃあ、


「要素の解放って、今出た“絆の槍”の解放ってことでいいの?」


 マルメロは、なぜかウィンドウの方をじっと見つめている。


「……まぁ、そうですね」


「ちゃんと説明してあげれば?」



 声のする方向を見れば、寝そべった彼女が二つの素足を後ろに上げて、ぷらぷらとそれを揺らしている。


「ブルーバードは、何か知ってるの?」


 俺は、青いカッパを着た少女に問いかける。


「“シェル魔物の絆レベルが20に達すると、生殖が可能になる”よ」


 せーしょく?


「せーしょくって何?」


 ぱっと意味が思い当たらず、そのまま彼女に聞き返せば、雑誌を見ながら寝そべっていたブルーバードの顔が、振り返ってこちらを向く。


「わたしから、一から十まで教えてあげた方がいい?」


 ……。ここはいったん退くか。


「いえ……あの。……後は、こちらの方で……」


 “そ”、とだけ言って、青いカッパを羽織った少女は、再び雑誌に目を戻した。


「可能になったってことは、可能になったってだけだから。べつに、試す必要もないし」


 と、ブルーバードは背中で続ける。


 俺は、隣のマルメロの耳に、背を伸ばして口を近づける。


「あ、あの……マルメロ……」


 マルメロから戸惑う声が返る。


「……わ、私から、説明するんですか」


「いや……せいしょくって……増殖する、やつだよね?」


「……まぁ、はい。概(おおむ)ね」


 意図しているものは合っているみたいだ。シェル魔物の絆レベルを20まで上げれば、生殖が可能になる。可能になるということはどういうことだろう。今までは逆に不可能だったのか。同意……同意的な? それほどまでに仲が進展したという意味か、それとも、そのまま機能だけが解放されて、仲は自分で深めてというものか。


 と、マルメロも小声で俺に話しかけてくる。


「その……避妊具は、探せばどこかにあるので……」


 何の話?


「……それって、商店とかにじゃないの? アーシャにばれるじゃん。……まぁマルメロに買いに行かせればいいか」


 必要な時は。


「ご、ご主人さま……?」


 まぁ使う予定はないが。


「あるじ様」


 と、今までそこで大人しく座っていた黒髪の少女が、声を上げる。


「必要ならば、私が」


 ポイズンアントへと、ブルーバードから声が上がる。


「レベル12は座ってなよ」




「そういえば、マルメロにも、女性レベルってあったよね。今はレベル18だったと思うけど」


 俺はウィンドウを操作し、所有している精霊の情報を見ることが出来る場所を表示する。


「これも……20になったら、何か解放されたりする……の?」


 俺は、隣のマルメロの顔を見上げる。今の状態だと、口元以外が黒い甲殻で隠されており、彼女の詳細な表情が見えない。


 彼女は、俺の居ない向こう側を向いた。


「すみません、よく分かりません」


 まぁ……深追いはやめるか。あれ、精霊が答えない場合って、情報の確認ってどうすればいいんだろう。


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