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俺はウィンドウを操作して、休憩洞窟に滞在中の魔物の欄を確かめる。シェル魔物である所の、ブルーバードとポイズンアントに関しては、長押しすれば詳細な情報を確かめることが出来る。
「ブルーバードが……20。ポイズンアントが12か」
絆レベルの欄だ。てっきり、俺への忠誠心の高いポイズンアントの方が、数値が高いものと思っていたが、実際にはブルーバードの方が高い。
俺はちらと、畳に寝っ転がっているブルーバードの方を見る。彼女はうつ伏せになって、何かの雑誌を広げてそれを見ている。ブルーバードはその白いお尻をこちらに向けており、その顔は見えていない。
まぁ、ブルーバードの方が先に居るし、絆スキルだっけ? ビジョンリンクも習得してたし。なんだかんだ、ブルーバードとの絆も深まっているのかもしれない。ポイズンアントの数字が低いとかではなく。
「ブルーバードの方の数字の隣には、ハートマークが付いてるけど、これは何? 絆レベルの、上限レベルとか?」
あー……と、マルメロは口を半開きにしてこちらを見ている。
「……要素の解放まで、レベルの上昇が隠されることがあります。絆レベルの上限が20とは限らず、次の解放条件までは見た目は20で止まる、なんてことも。すでに先に20は達成されているので、ポイズンアントさんの方の数字は、12から20に上がるまでは見て確認できるでしょう」
なるほど? じゃあ、
「要素の解放って、今出た“絆の槍”の解放ってことでいいの?」
マルメロは、なぜかウィンドウの方をじっと見つめている。
「……まぁ、そうですね」
「ちゃんと説明してあげれば?」
声のする方向を見れば、寝そべった彼女が二つの素足を後ろに上げて、ぷらぷらとそれを揺らしている。
「ブルーバードは、何か知ってるの?」
俺は、青いカッパを着た少女に問いかける。
「“シェル魔物の絆レベルが20に達すると、生殖が可能になる”よ」
せーしょく?
「せーしょくって何?」
ぱっと意味が思い当たらず、そのまま彼女に聞き返せば、雑誌を見ながら寝そべっていたブルーバードの顔が、振り返ってこちらを向く。
「わたしから、一から十まで教えてあげた方がいい?」
……。ここはいったん退くか。
「いえ……あの。……後は、こちらの方で……」
“そ”、とだけ言って、青いカッパを羽織った少女は、再び雑誌に目を戻した。
「可能になったってことは、可能になったってだけだから。べつに、試す必要もないし」
と、ブルーバードは背中で続ける。
俺は、隣のマルメロの耳に、背を伸ばして口を近づける。
「あ、あの……マルメロ……」
マルメロから戸惑う声が返る。
「……わ、私から、説明するんですか」
「いや……せいしょくって……増殖する、やつだよね?」
「……まぁ、はい。概ね」
意図しているものは合っているみたいだ。シェル魔物の絆レベルを20まで上げれば、生殖が可能になる。可能になるということはどういうことだろう。今までは逆に不可能だったのか。同意……同意的な? それほどまでに仲が進展したという意味か、それとも、そのまま機能だけが解放されて、仲は自分で深めてというものか。
と、マルメロも小声で俺に話しかけてくる。
「その……避妊具は、探せばどこかにあるので……」
何の話?
「……それって、商店とかにじゃないの? アーシャにばれるじゃん。……まぁマルメロに買いに行かせればいいか」
必要な時は。
「ご、ご主人さま……?」
まぁ使う予定はないが。
「あるじ様」
と、今までそこで大人しく座っていた黒髪の少女が、声を上げる。
「必要ならば、私が」
ポイズンアントへと、ブルーバードから声が上がる。
「レベル12は座ってなよ」
「そういえば、マルメロにも、女性レベルってあったよね。今はレベル18だったと思うけど」
俺はウィンドウを操作し、所有している精霊の情報を見ることが出来る場所を表示する。
「これも……20になったら、何か解放されたりする……の?」
俺は、隣のマルメロの顔を見上げる。今の状態だと、口元以外が黒い甲殻で隠されており、彼女の詳細な表情が見えない。
彼女は、俺の居ない向こう側を向いた。
「すみません、よく分かりません」
まぁ……深追いはやめるか。あれ、精霊が答えない場合って、情報の確認ってどうすればいいんだろう。




