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ー3

“累計消費ポイントが1万を超えたので、新しい機能が解放されました!”


「新しい機能?」


 俺は端末に向き直り、近づいて端末を操作する。通知を辿っていくと……それは“カード合成”の欄だ。


 カード合成。例えば、同一の魔物カードを複数枚集めると、魔物由来のスキルカードを作成できる。今の手持ちの“岩突進”のスキルカードは、この機能を使って、“岩ガエル”の魔物カードから作成したものだ。


 そして、カード合成に新たな欄が。


「“プリズムカード”の合成?」


「ご説明しましょうか?」


 と、隣から、ムカデ魔人ことマルメロが俺の顔を覗いてくる。頭には二つの触角が生え、頭や背中、腕の甲や膝の上など、左右に筋の入って上下に連なった黒い甲殻が生え、皮膚の上を覆っている。しかし体すべてを黒い甲殻が覆っているわけでもなく、例えば胸やお腹などの体の内側にあたる部分は、薄い半透明な、白い、肉々とした柔らかそうな体が映っている。


 女性型のマルメロの胸は、基本滑らかな双丘が浮かんでいるだけで。例えばそれは、人の体に薄めの服を着せたような感じで。問題のある点はべつに映っていないのだが。


 今回は、背中や頭、肩を覆う黒い甲殻に対し、白い胸からお腹までは、何も覆われずまっさらに見えている。隠すべき場所が露出している。いつもよりなんだかイケナイ見た目。ちなみに“冷気”の能力が使える、普通に有用な“霜降りムカデ”のカードである。


 乳白色の半透明な果肉。まるでライチみたいな、大ぶりの――


「ご主人さま?」


「……ごめんなさい。何も見てません」


 俺はウィンドウに目を戻す。


「じゃあなんで謝ったんですか?」


「すみません」


 横目で確認すれば、マルメロは腰に両腕を当て、特に体も隠すことはなく、なんなら胸を張りつつ、こちらをぼーっと見下ろしている。


 端末で確認できる“女性レベル”の欄だが、着々とレベル上がって来ている。レベルが上がっても、今のところ見た目に変化は見られない。“男性レベル”は、“黒牛魔”使用後に、新たに発現してはいるものの、レベル1どころか0で止まったまま動かない。よし。


 女性レベルを上げていくと何かありそうだが、マルメロに聞いてもはぐらかして教えてくれない。まぁ、レベルが上がれば、そのうち勝手に何かが分かるだろう、今の機能開放みたいに。


「俺はプリズムカードの合成について質問します」


「……説明しましょう」


 マルメロが気を取り直して、体を向き直す。


「“プリズムカード”は、シェル魔物に対して使用できる消耗アイテムです。“プリズムカード”を使用すると、通常、魔物が一つの“特性”を新たに獲得します。魔物は、通常、特性を一つしか保持できず、特性を持った状態で新たに“プリズムカード”を使用すると、新たに発現する特性に上書きされます。カード使用前に、発現する特性は分かりません」


 ふむふむ。魔物に特性を与えられるカード。


「“プリズムカード”合成においては、十枚以上の魔物カードを消費して、一枚の“プリズムカード”を取得できます。合成に消費した魔物カードの価値が独自に計算され、消費する価値の合計値を基準としたレア度のカードが、生成されます」


 レアな魔物カードを使えばレアなプリズムカードが作れる。


「この“価値の合計値”は、“プリズムカード”の消費の際に使用されるステータスです。この合計値を基準として、さまざまな特性が参照され、その中から、ランダムな一つの特性が取得されます」


 あぁ! ガチャ要素だ!


「また、価値計算以外に、合成に消費した魔物カードの情報は引き継がれませんが、例えば、十枚すべて昆虫のカードを使うと“昆虫のプリズムカード”が生成され、“昆虫”というグループに紐づいた特性が優先して発現します」


 ふむ、種類を偏らせれば、偏った特性を出せるカードが作れる。


 俺は天井を見上げながら情報を整理する。


「なるほどね。つまり、魔物に“特性”を与えられるカードを、魔物カードを集めて作れる。発現する特性はランダム。けど、特性のレア度は、合成に使った魔物カードのレア度が関係してくる。そんな感じかな」


 特性が何なのかは、まだ分かってないが。


「大体そんな感じです」


 俺は、壁際の銀色の端末に目を戻す。カードの新たな消費先か。“透明なカード”は、レッドパールを装備していても別枠で計算されているみたいで、今でもある程度の量が手に入っている。


 “透明なカード”は、魔物カード用、スキルカード作成用、後は、もしものためのブースト用と確保していたが、それとは別に、“特性ガチャ”にも使うようになると。


 今の手持ちは二人+一匹だ。とりあえず二枚かいくらか作って、デメリットがないのなら、とりあえず付けるだけ付けるのも、いいのかもしれない。


 しかし合成の最低値は10枚。透明なカードは売れば良い値で売れるので、集めて売れば良い収入源となっている。今も、手持ちにあるのは14枚だったか、残りは売っている。スキルカード作成用にいつでも10枚、加えて魔物カード用と確保している分で、今使ったらまた貯めるのには時間が掛かるし、収入も減る。


 気軽には試せないコンテンツ。しかも運ゲ。まぁ、やってみたい気持ちもあり……とりあえず、透明なカードを20枚集めてくるか。



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