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「すみませーん」
俺は大通りに面した横に長い二階建ての家屋の、二階にあるお店の中へと入っていく。
「おぉ、トリジさんか」
中に居たのは、額に黒い鉢巻をまいた、筋骨隆々のお兄さん。
「と……その子は?」
店主のガーディアさんが、俺の後ろを覗く。俺の背後には、青いフードを目深に被った少女が立っている。ブルーバードは人見知りなのか何なのか、あまり町の中へは足を踏み入れてこなかった。今日は特別である。
「この子……は、魔物なんですけど。その、魔物の時の体に合った装備を、ガーディアさんに作って欲しくて」
決して狭くはない店の中に、大きな青い鳥がでんと佇んでいる。彼女は落ち着きなさげに首を動かし、店の中を見渡している。
「それが、トリジがここら辺で行ける狩り場か」
「そうですね。他の所でもいいですけど、今はちょっと、別のところを攻略中でして。出来れば、慣れた狩り場の方が嬉しい、ですかね」
浅黒い肌のお兄さんは、顎の下に手を当てて考えている。
「そん中なら……そうだな。岩屋根の中に隕石があって、その周囲に隕石系の魔物が出るんだが。そいつらが落とす“隕鉄”って素材が、この子の装備にはいいかもな」
岩屋根か。あそこなら、岩ガエルのスキルカードを作った際にも通ったし、その時に集めた素材もまだ少し残っている。早く済むかも。
って事で、ブルーバードの装備が完成した。
「どう? ブルーバード」
大きな鳥は、足に付けられたそれを興味深そうに見つめている。脚を持ち上げて、下ろす。金属の付け爪が、硬い木板の床を叩いて軽い音を立てる。
俺たちは草原の上を歩き、川の上に渡された木製の橋を渡る。
ブルーバードの装備を整え、再びのエリア2。ついでに、ポイズンアントに“岩突進”のスキルカードを装備させた。ついでに俺用の刀を作った。
橋の上を渡り、俺たちはガチャガチャと歩いていく。
「重くない? ブルーバード」
振り返れば、大きなカラスみたいな、青い羽毛を持つ鳥が、俺の後ろを二本足でてちてちと付いて来ている。その足には、金属製の鋭い付け爪が付けられている。
鋭い鳥の目が、こちらを見つめている。今の彼女は喋らないので、隣のポイズンアント(人)が通訳してくれる。
「お腹が空いたって言ってますね」
「ブルーバード首振ってるけど」
ここはレベルフロントの二番目のエリアの荒野。何回か来てるので、景色はもう見慣れたものである。広大な凹凸の多い草原は、奥に進むにつれて緩やかに下りていく。視界の先にそびえる連山。
前回は……ポイズンアントの活躍とレッドパールの積み重ねを経て、エリア2でも通用する手ごたえを感じていた。さて、エリア3に行くかどうかという所で、その前にとブルーバードから強化の相談。
それを経て、今回。
「今回はブルーバードの試運転だから、相性関わらずブルーバードに出てもらおうと思ってるよ」
俺は、背後をてちてちと付いてきている巨鳥に話しかける。くりくりとした瞳が、俺の頭の上から見下ろしている。
「ブルーバードは、今日のおやつが何か気になっているようですね。あ、ちょっと! いたい! やめてください!」
大きな青い鳥が、ポイズンアントの背中を突き回している。
「ご主人さま、前方から接近の気配です」
「おっけー、ブルーバード、出るよ!」




