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第十五話、仲間との進軍

 現在はレベルフロントのエリア2、川を越えた荒野部分の攻略中。戦闘を繰り返していけば、彼女らに持たせているレッドパールに経験値が溜まっていき、成長したレッドパールが持たせている彼女らを強化する。


 ついでに、ドロップ素材として低質なレッドパールも溜まっていき、現在のものに合成して強化して等級を上げる(複数持ち時の経験値効率が改善される)、集めてお金にするなどできる。今のチームは五人、欲を言えば、俺とゴールデンちゃんのものも作っておきたいが、まだ少し余裕がないか。


 レッドパールによる強化幅について。持たせた当初は、マルメロに装備できるカードが増えたくらいで、あまり恩恵を感じていなかったのだが、狩りを続けていると徐々にその効果が出てきたと感じる。


「倒しました!」


 ボクシングの得意なアヒルがその場に倒れ、ドロップ素材を吐き始める。今はまぁ、レッドパールを装備しているので高確率でレッドパールがドロップするのだが。


 マルメロのパワーが上がってきているし、防御力も体力も上がってきている気がする。エリア2での交戦時間も短くなり、タフそうな相手が居れば、ポイズンアントが協力して倒してくれる。ポイズンアントは、戦うことに自信が付いて来たのか、あるいは他の要因か、うちでは手強い敵も叩き潰す頼もしい仲間となりつつある。


「おつかれ、マルメロ! そろそろ、ここの魔物相手にも余裕が見えてきたね!」


「そうですね! そろそろ進めますか? エリア3に」


 俺たちは、草原を緩やかに下って行った先を見る。下り坂の終わりで地面は色が変わり、そして空へと伸びる上り坂を始める。


 向こうにそびえる、左右に伸びる連山の影を見つめる。あそこの、麓あたりがエリア3、中腹がエリア4、そして上ら辺がエリア5。エリア5到達後の明確な指標はないが、とりあえずその山を登りきることを、今回の最終目標に据えている。


 進めば、また余裕がなくなる。余裕がなくなれば、危ない目に遭う。俺がみんなを危険にさらす。俺が、みんなに負担を掛ける。俺たちはあの山の頂上にたどり着くまで、どれだけの苦労を重ねていくのだろう。それをすることに、みんなにさせることに、ちゃんと意味があるのだろうか。


「どうしたんですか? ご主人さま」


「……いや。何もないよ。そうだね、エリア3には――」


「ねぇ」


 と、俺は腕を引かれる。振り返れば、ブルーバードが俺の袖を引いている。


「どうしたの? ブルーバード」


「そろそろ……わたしにも、何かないの?」


 青いカッパをフードまで被った少女は、俺の視線の下で何やら言いたげな様子で待っている。


「何かって?」


「ほら……強化要素」


 一応、ブルーバードにもレッドパール(小さい方)を渡しているし、倒した経験値はチームに入るので、あまり戦わない彼女のレッドパールも成長し、彼女の存在を強化させていっているはずだが。


 まぁ、目新しい変化は、ブルーバードが加入した最初から一度もないか。飛行可能な駒ということで、俺たちのチームではブルーバードにしか出来ない仕事も多く、出番もある。けれど、“黒牛魔”まで更新されてるマルメロだったり、やる気出せば実は強かったポイズンアントと比べると、確かに。


 ブルーバードは徐々に、強さの変化に置いていかれて行っている方、かもしれない。


「確かに。ブルーバードも、もっと戦いたい? 強くなりたい?」


「戦いたいっていうか……まぁ。戦うときに、あんまり苦労したくないだけ。私だけ」


 あまり無理な戦いは、させる気はないのだけど。ほかのみんなに置いていかれて、呼ばれなくなる、それは、ブルーバードも嫌なのかもしれない。


「分かった。じゃあ、次はブルーバードの強化について、考えてみようか」



「そう言えば、ゴールデンちゃんはずっと見ているばかりだけど、退屈だったりしない?」


 俺は、頭の上に乗せた金色の餅に問いかける。と、にゅにゅにゅと、餅が俺の頭の中に染み込み、侵食していく。


「誰しもが、“あなた様のために身を尽くして戦いたい”なんて価値観を、持ち合わせている訳ではないのですよ。まぁ命じられたらやりますけど」


 確かに。じゃあ退屈じゃない?


「暇ならもう居ません」


 でも、会話を一々出来ないのは面倒だよね。


「魔物と会話が通じないことは、至って普通のことです」


 にゅるると、金色の餅が俺の頭の上に出てきた。確かに。一匹目と二匹目が当然のように人間になって会話してるせいで、若干俺の感覚の方が麻痺していたのかも。


 たまに会話の通じるペットとして見るなら、今のゴールデンちゃんの状況は、そこまで悪いものでもないのかもしれない。


 俺は金色の餅の体の端を下から寄せ上げ、ぷるぷると体を揺らす。ひんやりとしていて気持ちがいい。嫌がっているのか否か、餅の端っこが伸びて、俺の額をぺちと叩いた。



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