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ー3

 深い青の大きな翼が、俺たちの頭上高くを飛んでいる。


「いったん狙ってみるね!」


 俺は、手元の爆弾銃の照準を上に構える。図体はでかいが、空を自由に飛ぶその軌道は読みづらい。


 俺はどうにか狙いを定め、空中へと玉を撃つ。紫色の玉は勢いよく飛び出し、空を駆け上がって――


「あぁ!」


 しかし、強力な翼の羽ばたきにより、玉が突風で弾かれる。紫の玉は向こうの地面に落ちて自爆。


 爆弾銃の残りの玉は一つ。時間経過で回復するが、しばらくはあとこの一発しか撃てず、むやみに放つことは出来ない。


 青い、大きな鳥は、壁すれすれの上空で、羽ばたきホバリングしてこちらを見下ろしている。


「降りてこい卑怯者!」


 ばさ、ばさと、鳥は羽ばたきを繰り返しこっちを見ている。


 と、巨鳥が前傾姿勢を取った……重力に引かれ、翼を広げた鳥が滑空して降りてくる……狙いは俺。


「こっちに来るな!」


「ご主人さま、下がっててください!」


 鳥の軌道に、横からライオンの獣人が割って入る。マルメロが両手を構えて地面で待つ。一方、上からは、鋭い三つ指の爪の先をこっちに向けて、巨鳥が急降下!


 二つの体が重なった。クリーム色の獣人と深い青の巨鳥は、体を組み合い、落ちてきた勢いのまま、地面を転がる!


 なんだか激しくやり合っている。マルメロが鋭い爪や牙を鳥の体に突き立て、一方青い鳥はその強靭な脚でマルメロの体を組み伏せ、鋭い嘴を突き立てようとする。


 俺は、あわあわと見ていることしかできない。マルメロの体に傷がつき、青い羽が周りの地面に散っていく。


 マルメロの体が下に行った。青い鳥が、その脚で体を踏みつけ、上から嘴で突こうとする。


 だが、床にあおむけに寝そべったマルメロが、その口を開いた。口の奥から明るい、赤い炎が噴き出て、青い鳥の顔の表面を舐める。火力としてはそこまでないはずだが、巨鳥は確実に怯んだ。


 脚の踏み付けの拘束が緩み、マルメロが跳ね起きる。指に付いた鋭い爪で、空いた巨鳥の喉を、下から切り上げる!


 キェェェエエエエエ! と、青い鳥はひときわ大きな声で絶叫し、体をそのまま横に倒した。


 息をつく暇もなく、俺たちの頭上で変化が現れる。


 それは、二回、樹枝の箱が解けて小さくなった、つり下がった箱。またも箱の下から緑の蔓が縮んでいく……と、明るい。中から光が漏れ出している。


 箱が下の面から解けていく。中にはもう、それ以上の樹枝の箱は無かった。あるいはもう一つ。


 光り輝くその中心に、人間大の大きな宝箱が浮いている。そっちで青い巨鳥の体が蔓に掴まれ、壁の方へと引きずり込まれていく。


 天井から釣り下がった一本の蔓は、その宝箱を掴むように絡まっていた。しかし、ぶちと蔓が切れ、宝箱が地面に落ちて軽くバウンドする。そういえば、今回はモンスターからの直接のドロップがなかったが、その箱の中にまとめて入っているのだろうか?


「マルメロ!」


 俺は、そちらに立っていたクリーム色の獣人に駆け寄る。赤茶けた短い髪の彼女がこちらを振り返る。


「ご主人さま! 勝ちました!」


「おめでとう! 体は!? 大丈夫!?」


「体ですか? 借り物の体なので、そのうち治りますよ」


 と、彼女は雑に傷ついた自分の体を見下ろしている。彼女は気にしていなさそうだが、なんだか心が痛む……もっと戦力を整えたら、彼女を楽に勝たせてあげられるだろうか。


「そんなことより、ご主人さま! お宝が落ちましたよ! 何が入っているか楽しみですね!」


「あぁ、うん。そうだね」




 俺たちは、落ちてきた、暗い、木製の箱の元に寄る。


「さっそく開けてみましょう!」


「カギは……掛かってないね」


 俺は屈みこみ、箱の丸まった上部に手を掛け、開いた。


 中からひんやりとした薄い煙が吐き出される。箱の中に入っていたのは――


「わぁ! いっぱい入っていますね!」


 シルバーのメタルドロップが入った小袋、乾いて固まった、透明で平たい餅みたいなやつ、綺麗で大きな青い羽、白い紙に包まれたトカゲ肉。あと、


「カギ……? 何のカギだろう」


「あ、休憩洞窟のカギじゃないですか!」


「休憩洞窟?」


 俺は、箱の底にある、黒ずんで古びた、シンプルな形の金属鍵を手に取り、眺める。真っ黒な金属の表面には、しかし、光の具合によって虹色が入る。チタンメッキみたいなやつ。


「説明しましょう!」


「お願いします」


「休憩洞窟は、ダンジョン内にて生成できる小さな洞窟です。中に入れば、外の魔物に気づかれることはありません!」


へー、ダンジョン内に安全地帯を作れる不思議な道具ってことだ。


「使い捨て? 場所はどこにでも作れるの?」


 マルメロを見上げれば、もう見えている傷が治り始めている。早い。


「一個のカギにつき、一つの休憩洞窟を一か所に作ることができます! 一回作った後は変更できません! 場所は、任意の場所に作成することができますが、“作成に適した場所”があるので、実際にカギを持って作れる場所を探すと、分かりやすいと思います!」


 ふーん。


「じゃあ、自由に歩ける簡単なエリアに、探索用の拠点として作るか、それとも、もっと深部に進むための足掛かりとして設置するか……」


 何にせよ、使い方が重要そうなカギだ。これは重要アイテム。


 ほかに何があるかと、箱の中を見下ろすと……カード?


 それは確かにカードだ。透明なカードの中に、緑色の巨大な塊が、空から降ってくるみたいな様子が描かれている。


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