シャルロット・サール・クラージュ、参ります。-01
少しだけざらついた感触がする温かな物が、神崎美咲の首筋を這う。
彼女はビクリと体を震わせながら、その眼前に迫る女性に身体を預け、表情を赤面させた。
「ちゅっ、ぷぁ……力抜きな美咲」
そう言いながら、美咲の首元に力強く唇で吸い付けた宮越花江は、美咲の体に覆いかぶさりながら、右手で彼女の頭を撫でながら、左手で小さな胸元をまさぐるようにして、反応を見る。
「む、無理、ですぅ……んっ、あぁ……っ」
「声、抑えなくていいよ」
「ひゃぅぅ……っ」
耳元で囁かれる花江の声が妙にくすぐったくて美咲が震えると、最後に円を描くように舌を回し、唇で吸う。
チュパッ――と、淫靡な音を奏でた自身の唇を手の甲で軽く拭うと、花江は「ふむ」と小さく呟いた。
「これで、三割は戻ったかな」
「あ、はぁっ、はぁ……」
「もー、美咲は感じやすいなぁ。そんなんじゃ将来男の人で満足できないよ」
「だ、だって……激し、すぎ……っ、おっ、おっぱい揉まれたしっ」
「えー、じゃあ明日はもっと激しい事、する?」
「し、しませんっ」
「冗談だってば。もう美咲は可愛いんだからぁ」
近くに備えていたティッシュを数枚抜いて、花江が舐めた首筋を拭う。少しばかり赤く痕が付いてはいるがそれを気にせず、花江は美咲の頭を撫でた。
「でもこれで、ようやく変身位は出来るかな」
「全力では、無いんですよね」
「ないねー。自然回復する量と美咲から返して貰った量、合わせて三割だし。全回復までは後一ヶ月はかかるかな。美咲、感じ過ぎてオネショしないでね」
「しません……っ!」
「そこまでやっちゃったら、美咲をお嫁に貰わないといけないしねー。いや、美咲がお婿さんかな?」
ニヒッ、と笑みを浮かべた花江の表情を、ムスッとした表情で軽く睨み付けた美咲だが、彼女に不愛想な表情は似合わない。花江は立ち上がり、その身体を動かしてみる。
「うん、やっぱあるのと無いのとじゃ、体のキレが全然違う。これなら美咲のサポート位は出来るかも」
「良かったです。今の所、そんなに強い災いは、あのディザスタさんって人以外いないですし、花江さんと一緒に戦えるなら、凄く心強いです」
美咲と花江が出会って、約二週間の時が過ぎた。
一番最初に一人で討伐する事となった災い【ディザスタ】こそ強敵であったものの、そこから遭遇する災いは全て、強敵と呼べる程の実力は無く、ディザスタを討伐出来た美咲であれば、容易に倒せる災いだけだったからだ。
「名がある災いと名が無い災いじゃ、やっぱ実力が違うよ。今の所は名無しばっかで助かってるけど、今後はどうなるか分からないし、用心に越した事はないね」
花江は、自らのホットパンツ、そのポケットに入れていた、二つの指輪を取り出した。
「あ。アルターシステムですか?」
「そう、昨日アルターシステムを作る女から届いた、アタシのアルターシステム二号。これでアンタと一緒に戦える」
「そう言えば、プリステスの組織、みたいな所から応援が来るって聞いてますけど、どうなってるんですか?」
「もうちょいかかっちゃうんじゃないかなー。日本のプリステスって数が少ないし、移動が極端に制限されるから、必然的に海外から派遣されると思うし。
それにしてもキャトルの奴、フランス式しろってうるさかったなぁ。確か今この辺にいるらしいし、今度カチコミ行ってやろうかな」
「? フランス式って何です?」
「あー、アルターシステムの二世代型みたいな奴。アタシあんま好きじゃないんだよねぇ」
そんな会話を繰り広げながら、美咲と花江は寝間着に着替え、そして一緒の布団に入り込んだ。
「じゃあお休み、美咲」
「はい。お休みなさい、花江さん」
そう互いに挨拶をしながら、目を閉じて眠りにつく。
一緒の布団で、隣り合わせに眠る姿。
その姿は、本当の姉妹のようだった。
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空港のタクシー乗り場から、タクシーに乗り込む女性が一人。
女性は透き通るように綺麗な金髪のロングヘアを下し、その蒼眼の瞳を見せた。
目つきは柔らかく、鼻もスッと立っており綺麗で、口元は日本女性には無い色香に包まれている。
純白のシャツ、純白のスカート、そしてその美脚を包むソックスは反して黒。
そんな彼女を乗せ、走り出したタクシーを運転する男は、その彼女へ声をかけた。
「どちらまで?」
「秋音高等学校まで、お願いいたします」
「お姉さん、日本語上手だね」
「ありがとうございます。私も日本が大好きですから、必死にお勉強したのですよ」
ニッコリと、柔らかな笑みを浮かべた彼女の表情に魅せられて、運転手も顔を真っ赤にする。だが今は職務中だ。前を向かねばならない。
バックミラーに映る、女性の姿を見据えて、目的地までの距離を、大体目算する。時間は、約一時間。
少しばかり距離がかかる注文で良かった。
この時彼は、そう思った。




