アクアツアー・ステージクリア
ファイナルステージへと着いたミクは、正直油断していた。それと同時に困惑もしていた。今までは規則性があった敵の的が、目の前にいるセイレーンだけが自分の意志で動いてる。つまり、水鉄砲を構えて撃っても、よけられるのである。
【ねぇ、聞いてる?貴方みたいな人間が本当にマスターのお気に入りかって聞いてるの~!答えないなら、もう本気出しちゃうよ!】
さっきからこの調子で、話しかける敵_セイレーン_を無視してずっと狙いを定めている。こんな近くにいるのに当たらないという現実に、ミクはかなりストレスが溜まっていた。
【ねぇ~マスターが本気出してもいいって言ってるから、本気出すよ~いいの?】
時間を見れば、もう残り十分しかなかった。
「・・・ねぇ、あなたは本当に自分の意志で動いてるの?」
【やっと話してくれた!いいよ!答えてあげる!私はマスターがココロっていうのをくれたから、自分の意志で動けるわ。まぁ、他のぼんくらよりは仕事もしてるし、プログラムで動いてるやつらとは一味も二味も違うのよ】
そう答えたセイレーンの言い方が引っ掛かったミクは、重ねて質問しようとした。
「あの」
【今度は私の番ね!本当にマスターのお気に入りなの?】
まぁ、ここまで優しい条件にされてるんだから、お気に入りなんだろうけど。そう続けたセイレーンの質問には、肯定する以外にはなかった。
「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない・・・本当のことはカイトさんに聞いた方が早いんじゃないのかな?」
予想外の返事にキョトンとした顔をしていたセイレーンが、いきなり笑い出した。
【あははは!おっかしいの~!今まで私が相手をした人間たちは『はい』しか言わなかったのに~!これじゃあマスターが気に入るのもわかるわ!ふふふっ・・・あなた、名前は?】
「ミク・・・だけど」
【そう。覚えておくわね!いいわ。私はもうここから動かないから、私を撃ってちょうだい。体はマスターに直してもらえばいいもの】
そう言ったあと、笑いをこらえながらミクの正面から数十メートル離れたところに移動し、動かなくなった。
「なんでそんなに遠いの?」
【決まってるじゃない。少しでも入る点数を減らすためよ。ここならギリギリ届くでしょ?】
そういって笑っていた。セイレーンの言う通り、ミクの射程範囲ギリギリの位置。
時間を見れば、残り五分しかなかったので、ミクはセイレーンを撃った。撃たれる直前、セイレーンが微笑んで【頑張って】と言っていたような気がした。
_調整室_
現在、モナカ、グレイ、フォン、キョウが集まっていた。
「ふぅ~ん。やっぱり、面白くないデスね。カイトのお気に入りハ、真面目デスか?」
「そうかな?わたしが調べた結果にはかなり大きなやみを抱えていたし、それアレが演技ならかなり面白いと思うよ?カイトが気に入るのもわかる気がするし・・・」
「まぁ、ここのアトラクション全てクリアできれば認めテやるデス」
「そういえば、次はミラーハウス・・・同伴者がいないから成り立たないんじゃ・・・」
「そこは考えていますよ。今までもそういうプレイヤー達は居ましたから。その場合、担当の方とペアを組んでいただいてます」
「てことは、カイトはしばらく戻れないのね~残念だわ」
「大丈夫ですよ。カイトさんならすぐ終わらせてきそうですから」
それじゃぁ、僕は準備をしてくるので、カイトさんには伝えといてください。そういってキョウは調整室を出て行った。




