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海の家in異世界

GWを過ぎ、気温がだいぶ暖かくなってきた。

世間では潮干狩りを行う季節になってきた。


「・・・という事で潮干狩りに行こうと思うんだ」

「潮干狩りって何だ?」

ビールを飲み干してスタインが問う。

「あぁ、砂浜でアサリとかの貝を穿り出す行為をこっちではそう呼ぶんだ」

「なるほど。それなら食料調達という意味で海沿いではよくやっているな」

「それをこっちではレジャー・・・娯楽としての一環でやってますね」

「そうか。で、どれくらいの量が確保できるんだ?」

「ん~、個人差はあると思いますが大きい袋2~3はいけるかと」

「そんなにか?」

「それだけあれば、十分でしょう。味噌汁の具やボンゴレ、他にも沢山レシピはあるでしょうし・・・」

「ボンゴレって何だ?」

「あ~、説明するより現物見せた方が早いでしょうから・・・ちょっと待っててくださいね」


数分後

「冷凍モノで悪いんですが、これがボンゴレです」

「・・・なるほど、麺料理か。ふむ・・・・・・・・・・美味いな」

「どうです?これ以外にも様々な料理に使えるんですよ、貝って」


「一番簡単なのは酒蒸しだろうな。酒のツマミとしては間違いなく美味いからな」

「あ、親父さんお帰りなさい」

「おぅ、帰ったぜ」

「潮干狩りかぁ、『あっち側』でやったら面白そうだな」

「やっぱりそう思いましたか?」

「何となくだがな。それと一緒に海の家もやったら相乗効果にならんかな?とな」

「おお~っ。焼きそばだけでなく貝を使った料理も提供すれば一石二鳥にも」

「悪くないなそれ」

四畳半での雑談がいつの間にやら商売の話にスライドしていた。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




「この辺りで良いだろう」

親父さんがそう呟くと枝を持ち砂浜に線を引いていく。

大きな長方形を描き、納得したのか使っていた枝を捨てた。

代わりに持ったのはブロック塀にも使われているブロック。

これを線に沿って設置する。高さが合わない時は砂を掘り素人目ではあるが照準器で水平を取り、高さを合わせながらブロックを設置していく。

土台が出来上がったので上物として用意していたユニットハウスを組み立てていく。

組みあがったユニットハウスの中に設備を設置する。

コンロ、水道、冷蔵庫、テーブル、座卓など多数。


水道や冷蔵庫が何故異世界で使えるかと言うと『魔石』というモノがあってそれは『火・光・水・氷』の属性があり、適した道具に使用すれば地球とほぼ変わらない暮らしも出来るという優れた物である。

なのでユニットハウスにも組み込めば明かりもあるし水も出せるという事だ。

ちなみに魔石屋という店が沢山あるので消耗品扱いらしい。


数日かけてユニットハウスの内外装を終わらせ、いよいよオープン。

パッと見は本当に『海の家』にしか見えないレベル。


急に出来上がった海の家を見た人は訝しみ、とりあえず近寄って様子を見る。

すると焼きそばが焼ける匂いに釣られたのか、フラフラと入って行った。

初めて見る店の中と美味そうな匂いにやられ早速注文をする。

出来上がるまで時間があるのでアレコレと聞いてみると、飲んだ事も無い酒があると聞きこれも注文する。

先に出たのは透明なジョッキに入ったエールの様な酒だった。

ジョッキを持つと冷たいので一瞬ビックリするがそのまま飲むと冷たくキレのある喉越しで、そのまま一気に飲み干してしまう。

すかさずまた同じものを注文。

また飲み干しては注文を数度繰り返した。

その飲んでいる途中に頼んでいた焼きそばが届く。

茶色い麺に不思議そうな顔をしているが、酔っ払った思考では深く考える事も面倒だと割り切り、フォークを麺に絡めて食べる。

甘辛いソースの味が口内を占領する。少し入っている赤いのがアクセントになっていい刺激を受ける。野菜もこれでもかという程の量があるので食べごたえはある。

店員に聞いたらこれの味違いもあるらしい。また今度来てみようかな、と酔ったアタマでそんな事も思ってみたり。


客第一号はビールと焼きそばでお腹をポンポコリンにしながら、満足そうに千鳥足で帰って行った。

まだ潮干狩りの客は来てないが『海の店』としては順調なスタートだろうか。

この世界の店は酒と食い物が美味ければそれなりに人気は出るようだ。

しかもここしか出せないモノがあればここに来ないと食べられない訳だから、繁盛はすると思う。

今のうちからバイトを雇って一通り出来るように教育しないと、と考えるがもしかして倍率高くなったりしないだろうな・・・なんて。


砂浜に『元祖・海の家』が出来てから夏場を中心に海の家ブームが起き焼きそばや海鮮料理、冷えたエールなどの店ごとに違う味で客は賑わう事になる、がそれは暫く経ってからの話。


潮干狩りは予想に反してそれほど集客は出来なかった。

目の前に美味そうな匂いをしている店があったら行きたくなってしまうようだ。

















感想、ご意見、レビュー何でもお待ちしています。

評価を頂けると本人のやる気が変わる『かも』しれません。


先日、家族で潮干狩りに行ったので書いてみました。(私は運転手として強制?参加)

残念ながら私は貝を食べられません。


建築の部分はあいまいです。

あくまでも『こんな感じ』という体で読んで頂けたら、と思います。


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