ゴールデンウィークは異世界で
4月終わりから5月頭の約10日程の連休・・・・そうゴールデンウィーク。
みんな休みを取り地方や海外へ旅行に出かける為に、町に人気が無くなる。
この酒屋がある町もその1つだった。
なので居酒屋等の定期便以外は業務を停止し、連休にしている。
まぁ、休みではあるが居ないワケではないので急な注文には対応出来るように誰かしらが必ず留守番をしている。今回は両親が居残りだ。
で、残りの面子はどこで何をしているかと言うと・・・。
「確かにGWは旅行とか言ったけどさぁ、こっちに行くだなんて聞いてないんですけど~」
アカネがぶつぶつ文句を言っていた。
「ゴメンゴメン。まぁサプライズという事で」
馬車の荷台でぷんすかお怒りのご様子。
それもそのはず。
北海道は行けず、代わりの場所も見つからず・・・。
探せど気に入る候補が出ずにグダグダと過ぎていった。
気付いたらGWになってしまったというお粗末な結果に。
丁度連休だったからこれ幸いとばかりにドタバタと大急ぎで準備をし、さっさと『あっち側』に旅行へ出かけて行った。
ボロい壁しか無かった場所は今では倉庫として使われており、人目を避けるには最適であった。
服装もそのままでは目立ってしまうので事前に用意してもらった標準的な恰好に着替える。
どう変わったかと言うと、主に製法のレベルだろうか。
機械縫いが今の時代では当然になっているが、中世レベルな場所では思いっきり浮いてしまって面倒な事に巻き込まれかねない。
それが例えファストファッションであっても、だ。
面倒な事は勘弁して貰いたいので、そこら辺の人と同じレベルに合わせる。
髪の毛は多種多様なので、このままでも問題ないだろう。
金髪に染めるとかヤンキー高校生じゃないんだし・・・・なぁ。
そんなこんなで荷台からずーっと見ていると、興味を惹く店があった。
「スタインさん、あの店は何?」
「ん?あぁ、酒も売ってる食品店だな」
「へぇ、どんなの売ってるんだろ?」
「ん~、お前さんとこに比べたら段違いだぞ?」
「・・・・・・比べる次元が違うと思う」
最後のはアカネが突っ込んできた。
まぁ根本的に違うという事は分かった。
その後も色々な店を眺めていたが、特にこれといって目立つ物は見つからなかった。
そのまま親父さんの拠点になっている倉庫に戻る。
まあ、倉庫とは言っても店舗と住居、倉庫も併設されている。
裏道、しかも元々あった壁は残して建物を作るという制約があった為に横に長いという少し変わった形での建設になった。
分かりやすい表現として京都の長屋とでも言えば理解してもらえるだろうか。
「おう、お帰り。『こっち側』はどうだった?」
「ただいま戻りました。いや~楽しいですね。なかなか興味深いと思いましたよ」
「そうかそうか、そりゃ良かった」
「親父さんこそ、こっちでの商売はどうなんですか?・・・まぁ、ここまで大きい店を作った時点でボロ儲けしているんでしょうが」
「あ、やっぱり分かる?」
「分かるも何も三ヶ月程度しか経ってないですよ?それでこんなサイズの建物作れるんですからねぇ・・・どれだけやったらなるんだか」
「まぁ原価も卸にしたら半額程度にまで下げられたから、その分もあるだろうな」
どれだけ仕入れたんだ・・・・・・・?
「こっちに来て疲れただろう。何もねぇがゆっくりしていってくれ。部屋は貸すほどあるから好きに使ってくれ」
住居用の部屋はかなりあるようでスタインさんとトムさんが住み着いていると聞いた。
護衛としても客としても旨味があるから、という事らしい。
宿を探す手間が省けるという点もあるとか。ちゃっかりしてるなぁ。
とりあえず今夜はここで寝て、明日は違うとこに・・・行けるといいなぁ。




