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閑話   夜桜

季節ネタなのでとりあえず書いてみました。

時系列は合ってません。


「唐突だが、花見をしよう」


閉店後の店内でそれは本当に唐突に始まった。


「ちょ、親父さんッ?急に何を・・・」

流石に前振りもなく言われるとビックリする。

「何をって桜が咲いたから花見をするだけの事だろうよ」

何を言っているのだ?とでも言いたげな顔でこちらを見てくる。


「・・・あぁ、今回は奴らも招待してやるか」

も、もしかして・・・?

「彼らはこっちで花見なんか無理じゃないんですか?人目につくでしょうし」

「何を言ってるんだ?ここにあるじゃないか」

・・・・・・忘れてた。


実はうちの裏庭に桜が一本植えられている。

なんでも初代が植えたんだとか。

何でまた?と子供の頃に聞いたら『忙しくても家にあればいつでも花見が出来るだろうから』って事らしい。

裏庭という事もあり他人の目を気にせず寛げるという事で場所が決まった。

まぁ、タイミング良く満開だからこれを逃すと葉桜になってしまう。


「まぁ、ここなら大丈夫でしょ」

「じゃあ呼んで来る」


5分も経たずに彼等はやって来た。

「おいっす」

「どもー」

最近はドアストッパーで開放状態にしている。

そうでないと行き来が制限されてしまうから。

一日に2回しか使用出来ない事が判明した。

もちろん、セキュリティは万全だ。

崩れかけの壁しかなかった『向こう側』に親父さんが倉庫を造り、なおかつ外からも中からもカギを掛けられるようにしてあるから問題ない。

しかも倉庫自体も別の建物の中に入っているから見つかる心配は無い。

なので『向こう側』からのコンタクトがあった場合は最後に帰るまで常時開放を取り決めた。

タイミングによっては即時入荷する物やこっちからちょっとした『お出かけ』やら便利だから使わない手は無いという事もあるが。




彼等が来て間も無く注文していたピザや寿司などが届いた。

玄関で受け取ったので姿は見られてはいない。

「なんだコレ?丸いが食えるのか?」

「もちろん食べられますよ。魚肉ソーセージより美味いと思いますよ」

「そうか、なら大丈夫だな。では・・・・・・・・なんじゃこりゃーッ!」

「ねぇねぇ、ハチミツないの?」

「トムさん、そんなにハチミツばっかりで飽きませんか?」

「そんな事ないよ~。ハチミツさえあれば半年は戦えるよ~」

「食い物も悪くないが酒だ酒」

「ちょっとお父さんッ!行儀悪いッ」


すでにカオスな状態に・・・・・・・・・。


『あっち側』の面子は花見が初めての行為で最初は戸惑っていたがアルコールが回るにつれていつもと変わらない様子になっていった。

ホント外から見られない位置で良かったわ。

目撃されてたらとんでもない事になっただろう。


酒が進めばあっちもこっちも大差は無い。

ただの酔っ払いになるだけだ。


結局いつもと変わらずグダグダになりながら帰るのを見送ってドアを閉めた。


「楽しかったな」

「いつも以上にね」

今後はこのスタイルでの花見も悪くは無いな。


親父さんは仕入れの都合で今回はこっちに残るそうだ。

バカ売れして大変らしい。羨ましい話だ。

やはりガラス製品が人気みたいだな。

こっちではチープな作りでも向こう側からすればハイクォリティになる。

しかもべらぼうに高くもなく、頑張れば手を出せる範囲だという。

人気にならない方がおかしいだろう。

だけど、人気になるという事は色々と面倒な事にも巻き込まれる可能性が有る。

まぁ親父さんだから大丈夫だと思うけど。


靖国神社付近の桜は綺麗でした。

仕事中だったので私自身は花見はしてませんが。

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