異世界ボロ儲け露天販売
親父さんサイドです。
「早ければ10日以内で一度帰るよ。そん時はリヤカーは無しだ」
「わかりました。どうかご無事で」
ドアを閉めると、壁に同化する様に消えていった。
ふむ、確かに一日に一往復しか使えないのだな。
前回は勢いに任せてあまり気にしてはいなかったから、今回はそういった事も含めて一通り調べてみるか。
前に頼んでおいた小屋の件。
あとはカネさえあれば何とかなるようだ。
よし、とりあえず今日は遅いから明日にしようか。
翌朝、ドアがあった場所にまたリヤカーを引っ張って行きブルーシートを出して地面に敷く。
その上に色々な商品をレイアウトしていく。
食器、カトラリーなど似たジャンルの物は近くに設置。
流石に全部は置けないので1~2個ずつといったところか。
気分的にはフリーマーケットというかバザーというか、そんな感じだな。
準備が整った頃にスタインがやって来た。
「・・・・・・・・・・あふ。親父さん早ぇなぁ」
「おぅ、おはようさん。ジジィになると朝が早いんだよ」
「今日はずっとここで売るのかい?」
「そのつもりだ。他に知ってる場所もないしな」
「そらそうだ。んじゃあ俺も付き合いますかなっと」
「いいのか?他に仕事があるんじゃないのか?」
「んー特には問題ないな。それにこっちの見てる方が楽しいだろうから」
そんなもんか。
「そうか、悪いな。それなら今日の食事を御馳走させてもらおうか」
「お?良いの?悪いなぁ」
・・・・・・・・・・悪いと言うならニヤニヤするな。
「ま、冗談は置いておいて。全く見たことが無いモノを売ろうとするんだから最悪とんでもない事になるかもしれないからな。一応護衛のつもりだよ」
まだニヤリ顔が抜けていない。
飯が食べたくてなのか珍しいモノを見たくてなのか、もしくは両方なのか・・・・・・・コイツは両方なんだろうな、きっと。
まぁ物好きというか世話焼きというか・・・・得難い人物には変わりない。有り難く世話になっておこう。
「そういや最近クマの奴を見てないが、どうかしたか?」
「ん?トムか?んー俺もそういや見てないなぁ。まさか冬眠はするはずないし・・・・・・」
「あれー?スタイン?どうしたのこんなとこで?」
噂のクマ男の参上だ。
幾らなんでもタイミングが良すぎるだろうに。
まさか何処かでタイミングを狙っていた?・・・・・・・・考えすぎか。
「お前こそどうしたんだよトム。最近あっちにも行ってないだろ?」
「いやぁ、あのね・・・最近はハチミツ探しをしていたんだ」
たしかこのクマ男・・・・・・トムはハチミツが大好物のようでハチミツを食べると興奮して黄色いクマに変身するという、ちょっと変わった奴だ。
最近はスタインがほとんどで、たまに子供がチョコを、たまに鎧着た奴が魚肉ソーセージを箱買いする程度でクマはあまり見かけなかった。
何処かに冒険にでも行ったのかと思っていたが、まさか『ハチミツ探し』だとは想像もつかなかった。まぁクマらしいと言えばそうなんだが。
「そうか。それで目当てのハチミツには出逢えたのか?」
「いやぁ・・・・・・・・それがサッパリ」
「あれか。美味いがいかんせん量が少なすぎてとか、大量にあるが味にばらつきがあるとかそんなところなんだろう」
落胆している原因をおおよそで指摘してみると、物凄い顔でこっちを見た。ドンピシャだったようだな。
「親父さん・・・何でそれ・・・・・・?」
「あ~俺んとこはやってない事の方が少ないと思うがな。数を揃えて味も均一化するのは最低限やる事になっているな。だからあの店でも色んな種類のハチミツがあっただろ?買えるカネがあるなら遠くに行くよりは売ってる店で買った方が楽だろう」
猛烈に頷いてる。
「ついでに言うが護衛してくれるなら最高級ハチミツを箱ご・・・」
「やります!!是非やらさせて下さい!!!!」
言い終わる前に被せるな。声が大きい。それに変身するな。
急に変身するとこっちがビックリするわ。あぁ心臓に悪い。
とりあえず護衛はこの2人で足りるだろうし信頼も出来る。
生命が掛かる可能性もあるから、そこはとても大事な事だ。
そんなこんなしていたら、目の前の通りには結構な数の通行人が通る時間になっていた。
ふむ、もう7時過ぎか。
先日結婚した義理の息子から貰ったソーラー腕時計はちゃんと役に立っている。
意外とあいつは豪快な性格な割には心配性な所もあるからなぁ。
でなければこんなモノを寄越さないだろうに。
一番有り難いのは『軍資金』としての銅貨。
沢山有り過ぎて幾らなんだかサッパリ分からん。
昨日スタインに聞いたら『軽く半年は飲み歩いて遊んで暮らせる』としか言われなかった。
相変わらずこっちの通貨事情がイマイチ解り難いが、これだけあれば問題ないだろう。
さっきから通行人がチラチラとこちらを見てはいるが、なかなか寄って来ない。
珍しいがどうしようか、といった感じだろうか。
「あの・・・・・・」
「はいよ、いらっしゃい」
「そこにあるコップ、透明ですが・・・・」
「ん?あぁ、ガラス製品だな」
「ガラス!?・・・・・・これ幾らします?」
「ん~。これは銅貨5枚。あれも銅貨5枚。全部銅貨5枚でそれぞれ買えるぜ?」
「えっ!?」
そう、銅貨5枚は日本で言う500円と同じ額。
本来は100均で買ったのだから銅貨1枚で良いのでは?と思うが問屋から買っている訳ではないので100円で買って100円で売ったら儲けが無い。なので500円にしている。
昨夜、宿に泊まった時に食器やらカトラリーを見ていたがそんなに大したモノでは無かったので、この辺りでも大丈夫だろうと思って決めた。
「安いっ!コレを5個下さい」
「毎度あり。全部で銅貨25枚だね」
壊れないように大事そうに抱えながら客は帰って行った。
袋とか用意してなかったな・・・、どうするか。
流石にレジ袋はムリだ。色々と面倒な事になりそうだし。
「今みたいに数が多いモノ持つ時ってどうしてる?」
「う~ん、木くずを入れた箱とか・・・・そこらへんかなぁ」
どのあたりであればこちら側にあまり影響を与えないか判断が難しい所だな。
異世界に持って行っても影響が少なそうなのって何ですかね~。
ネタでも何でも提供して貰えると助かります。




