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第9話 光を失う(2)

 しばらくしてから、項垂れているハルトの元に女将がやってきた。


「ほらハルト。あの女性の人が帰ったわよ。そんな項垂れていても酒は出さないから、さっさと出て行ってちょうだい」

「わかった」


 ハルトは小さく、そして無機質に返事をしてから立ち上がり、酒場を出て行った。

 あまりにもあっさりと、そして力なく帰っていく彼を女将は内心心配していた。その姿が見えなくなってから、女将は店主に話しかける。


「あんた、あの二人が何を話していたか聞いてないかい」

「ほとんど聞こえなかった。ただ、ハルトがあの女性に何か言われてあの状況になったのは間違いない」

「次の寄生先を探して、こっぴどく振られて意気消沈ってところかしら。メアリーちゃんがあんな状態だっていうのに、あのボンクラは」

「さすがにハルトもそこまで酷い奴じゃないと、信じたいけどなぁ」


 女将と違い、あまり人のことを悪く言わない店主も、ハルトならあり得ると思った。それほど彼は酷い生活を送っているのだ。


「メアリーちゃんのことは私も何とかしてあげたいけどね~」

「余計な気遣いはやめとけ。頼ってきたら少しお金を渡す。そのくらいが俺たちにできる精いっぱいだ」

「そうよねぇ」


 女将はため息を吐き、テーブルを片付け始めた。


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