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第32話 ハルト、捕まる(2)
「やはりいないか」
急いで戻ったリーゼロッテを迎えたのは、高級感のある家具の数々だけで、そこにハルトの姿はなかった。
少し頼りなさそうではあったが、用心棒が出入口を見張っているような高級宿だ。連れ去られた可能性も低い。もちろんあの程度なら秘密裏に中に入ることもできるだろうが、そこまでしてハルトを連れ去るもの好きはいない。
(黙って出て行っているんだ、表通りの酒場に行くとは考えにくい。裏通りのどこかだろうな……)
この町の裏通りは治安が悪いことで有名だ。リーゼロッテも昔、裏組織の撲滅に協力したことがあり、そのときは凄惨な光景を何度も見ることになった。
その上、結局元締めは捕まえられなかった。もしハルトがその組織に捕らえられていたとしたら、命はもうないかもしれない。
軽く切らした息が荒くなり、鼓動がうるさいほど胸を叩く。
「くそっ!」
最悪の事態を想定して、リーゼロッテは部屋を飛び出した。




