松岡ひとみの悩み 前編
私は松岡ひとみ。中学三年生の女子。
地味目だけど、ちゃんと整えたらかわいいと思う。見た目ならどこにでもいるような感じだ。
私には悩みがある。それはまだ友達にも誰にも言ってない。
今日はなぜか同じクラスの長谷川陸くんに呼び出されて、久しぶりに登校した。
なんで私なんか呼び出すんだろう……
***
「初めまして! 僕は林修! 未来からやってきた君の友達だよ!」
太陽のような笑みを浮かべてクラスに入ってきたのは、地元でもウワサの未来人。林くんだ。
となりには長谷川くんの姿がある。
「ひとみちゃん! 君は僕の最初の彼女なんだよ! びっくりした!」
林くんはこれも笑顔で言ってくるけど……一回も会ったことがない男の子にそれを言われてもな。
「さっそくだけどひとみちゃん! 困っているんじゃないの? 僕は力になるよ!」
「別に困ってることなんてないよ! 放っておいてよ!」
確かに私には悩みがあるけど、それを初めて会う男の子に言われても答えられないよ!
「僕にはわかっているよ。だって僕は君の彼氏だったんだよ。放課後に回転寿司に行こうよ! 僕のおじいちゃん。林誠一郎の奢りでさ! 君のお母さんも誘ってさ!」
「うん……林さんの奢りならいいかな……」
林くんがあんまりにもかわいい顔で誘ってきたので、私は誘いを受けてしまった。林誠一郎さんといえば地元の立派なお爺さんとして有名だしいいかな……
***
私はお母さんと呼び出された地元うなぎ区のくら寿司にやってきた。なぜくら寿司なんだろう?
「ひとみ! 助かったね。何日も給食以外食べてなかったでしょ?」
お母さんは嬉しそうに言うけど、でも私は素直に喜べない……同い年の初めて会った男の子に誘われて、助けてもらうなんて私のプライドが許さない。
……でも背に腹は変えられいしなぁ。お腹が減っているのは本当だ。
「回転寿司なんて何年ぶりだろう?」
私はつぶやきながら、林くんたちを待つ、確か3人家族で来るって言ってたよな?
たった30分ぐらい待っただけなのに、3時間待ったように感じた。そして林くんたちがやってきて、開口一番に太陽のような笑みを浮かべてこう言った!
「初めまして! 僕は林修! 未来からやってきたひとみちゃんの未来の元彼です。よろしくお願いします。朋子さん」
「え!? なんで私の名前知ってるの!?」
お母さんの名前は、確かに、松岡朋子合ってるけど話してはいない! やっぱり元カレなのかな?
「そりゃ元カレだから知ってますよ。とにかく中に入りましょう!」
私たちはくら寿司の中に入った!
***
ーーくら寿司のテーブル
私たちはしそれぞれの家族ごとにテーブルに座った。私の隣にお母さん、向かい側には、林家の三人。
林くんのお姉さん林恵さんはかなりの年上だったが、地味な感じでとても話しやすい。
お爺さんの誠一郎さんはあまり話してくれないけど、安心感がある。
誠一郎さんは「なんでも食べていいぞ」と言ってくれたので、私は値段を気にせずに次々と皿をとって食べていく!
とてもおいしい! 食べ物に困らないって事はとてもうれしいんだな!
お腹いっぱいに食べた後に誠一郎さんが優しく話を切り出す。
「井上さんたちは食うに困るくらいなんですよね? この食事の様子を見ていたらわかりますよ」
こう聞かれてお母さんが答える。
「そうです……一日一食も食べれない時がありまして……」
お母さんはついに誰かに相談することを、してくれた!
今まで誰にも相談してなかったから。困っていたんだよね。
「助けを求めよう!」
と私が何回言ってもダメだったし……
「詳しくお話しをお聞かせくださいませんか? お話しは家で聞きますよ」
誠一郎さんがうながしてお母さんは話す気になったようだ。
***
ーー林家の居間
私とお母さんは広い林家の居間に座り話すことにした。
「実は……パートを体を悪くして辞めてしまったんです。そこから暮らしが苦しくなってしまったんです」
お母さんはポツリポツリと話し始めた。
「そうですか……貯金とかはなかったんですか?」
誠一郎さんは上手く言葉を選んで話を聞いてくれようとしているのがわかる。
林修くんはなにも話に入ってこない。子供が口を出す問題じゃないことがわかっているのだろう。
「雀の涙ほどしかありませんでした。それを使い切ってからは、どうしたらいいのかわからなくて、ガスも止められてお風呂にも入れないんです」
お母さんは話を続ける。これは本当の話だ。最近は水のシャワーしか浴びれていない。
……最近寒くなってきたし、これからどうしようか悩んでたのが今だ。
「それはちゃんと福祉に頼るべきです。僕といっしょに市役所に行きましょう!」
誠一郎さんは、こう提案してくれた。そして私たち五人は市役所に行くことになった。
……これで私とお母さんの生活が良くなればいいんだけどなぁ。




