↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エターナルブレイバー  作者: 榛原朔
間章-誰もが笑顔のディストピア

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
109/111

䑡湧敲-逾槭?荳也阜縺ョ蟶梧悍繧定ヲ矩剞縺」縺?

薄暗い闇の中に、その者は立っていた。

幽かな月明かりが照らす山の頂上で、ボロ布が風に揺蕩いでいる。


付近に人の気配はない。集落の明かりはない。

あるのはただ、大地と獣たちの唸り声。光源になり得ない無数の光球が、周囲で爛々と蠢き見つめている。

人の生存圏外に、その者は無防備に突っ立っていた。


「――!!」

「……」


巨体が月を遮った。濃い影が一帯を塗り潰す。

輝くのは牙。涎と共に頭上から覆い被さる。

だが、同時に動いたのはその獣だけではなく。


「ッ――!!」

「……」


数度の激突の後、獣たちは相打ちで沈んだ。

その者は何一つ反応を示さず、この地を後にする。




また、ある時は村に。ボロ布で全身を隠したまま、フラフラと道の真ん中を歩く。村人たちは、亡霊のようなその者の姿に慄き、警戒を強めた。


フードで前が見えていないのか、ゆらゆらと進路が安定しない。世界が見えていないのか、男たちに声をかけられても、あいさつ1つ返しはしない。


歩く、歩く、歩く。生贄を出す必要がなくなった村を。

それでも、新たな魔獣が絶えず狙う村を。


「……」


やがて、その者は何をするでもなく村を出た。

ただ通り過ぎ、突き進んでくる猪の魔獣を正面に見る。

歩みは止めない。身構えはしない。


その者は歯牙にもかけず進み、ふと剣の切れ味はどうかと、抜いた刃を見た。猪は死んだ。恐怖して避けた先に、運悪く垂れる剣があったから。


「……?」


汚れた剣を振り、血を飛ばす。

驚いた蛇が遮二無二逃げ出した。村を食べたいと思っていた獣たちが、ほとんど飲まれて死んだ。

その者は一瞥すらせず、この地を去った。




「……?」


数十キロか、百キロは超えた頃か。ジグザグに彷徨うその者は、地の底に埋まっている棺桶に気が付いた。

とうに土は渇き、跡はない。獣たちにも、勘付かれてはいない。その者は無言で手を組み、祈りを捧げた。

周りで勝手に死ぬ獣たちを、供え物と扱って。




その者は快眠に歓喜する村を見た。不思議な気配のする川を見た。最終的に、ほんのりと血の香りのする質素な町に辿り着いた。


「……」


他の地を訪れた時同様、感情の揺らぎは見えない。

声を上げず、急ぎもせず、風に揺られている。

何一つ、望みというものを持たないで。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。