表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/63

1.噂。









 がっくりと肩を落としながら、俺は教室で机に突っ伏していた。

 今朝はマジで死ぬかと思ったというか、死んだ。佐那も一緒に事情を説明してくれたけれど、結婚前の男女が何事かと、古風な説教を喰らってしまった。




「おいおい、ずいぶんと疲れてるな」

「学校休んで女と一緒にいたのが、そんなに疲れたのか?」

「うるせぇー、好きでこんなことになってるわけじゃねぇよ。ていうか、佐藤と伊藤がなんでそれを知って――あぁ、またどうせ凪咲か」



 そんなこんなで。

 俺は午後の授業から出席となった。

 休み時間になると、佐藤と伊藤が茶化してくる。こいつらと話すのも随分と久しぶりな気がするが、そういえば夏の予選も近いのか。

 昼休みも練習が入ることがあって、単純に会ってなかっただけだ。


 しかし夏の予選といえば、賀東にとっては最後の大会だった。

 強豪校のエースだという話だったけど、そのへんどうなのだろうか。



「なぁ、二人とも。賀東礼二って、知ってるのか?」



 そう思って、なんとなく訊いてみた。

 練習試合で対戦していたから、知らないわけがないのだけれど。俺が訊くと二人は目を丸くして、こう言うのだった。



「馬鹿、お前――賀東礼二、っていったらドラ1候補の有名選手じゃねぇか」

「去年の甲子園で二年生エースとして、ベスト4だぞ?」

「え、そんなに凄いピッチャーだったのか」



 改めて驚く俺。

 賀東のやつ、普段はそんな雰囲気じゃないからな。

 そう思っていると野球部コンビは、訊いてもいないのにこう話し始めた。



「なんでも、男手一つで育ててくれた親父への恩返しで野球やってるとか」

「加えて美少女で病弱な妹さんまでいるなんて、どんな主人公だよ、ってな。噂では契約金はすべて、妹の治療費にするつもりだとか、聞いたことあるぞ」



 他人の家庭事情をまた、ベラベラと。

 それに辟易としながら俺は、なんとなく窓の外に目を向けた時だった。



「でもさ、妹さんの身体だって――」



 佐藤が何気なく、こう言ったのは。














「もう、長くはもたない、って話だろ」











「え……?」



 俺はなにかの聞き間違いだと思い、二人を見る。

 すると彼らは、どうしたのかといった感じにこう続けるのだった。



「もっぱらの噂だよ。妹さん――佐那ちゃんだっけ? あの子、近いうちにまた入院することになったんだって」

「もう手術もできないって話から、きっと最後なんだろうなって」

「うそ、だろ……?」



 こんな話、嘘でするもんかよ。

 伊藤と佐藤は、真剣な表情でそう言うのだった。



「………………」



 ――佐那が、死ぬ?








 世界から音が消えていく。

 その中で俺は、ただ呆然とするだけだった。



 


面白かった

続きが気になる

更新がんばれ、というか大賞頑張れ!


もしそう思っていただけましたらブックマーク、下記のフォームより☆評価など。

創作の励みとなります。


応援よろしくお願いいたします。

<(_ _)>

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ