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1.救難信号。

ここから10章。








 【眷属】とは、神祖と呼ばれる人間を守護する一族に認められた人間のこと。

 神祖から血を分け与えられることによって、人間でありながら特殊な能力を発現する。そして神祖の手となり足となり、人間に仇為す敵と戦う存在だった。



「で、カトレアは神祖で凪咲が【眷属】――と、いうことか」



 俺は昨日の記憶と、ノートに書いた内容を照らし合わせて考える。

 夢の中では、俺がカトレアの【眷属】だった。それに対して、現実では凪咲がそれということになっている。

 凪咲は以前に、夢は記憶の焼き直しだ、と語っていた。

 カトレアも同じことを言っていたし、そうなるとこれは俺の妄想、ということになる。しかし、それだとどこかで矛盾があるようにも思われた。



「あー、いや? これが、夢日記による記憶の混濁か?」



 だが、そこまで考えてから。

 ネットで調べた、そんな言葉が頭の中に浮かんできた。



「分からない、な。でも、なにか――」



 重要なことを、忘れている気がした。

 それが何なのか、それは分からないのだけれど……。



「……ん、と。そろそろ出ないと、学校に間に合わないな」



 だが、そこで時計を見た。

 そろそろ出発しないと遅刻である。

 俺は荷物を手にしてから、ふとスマホを確認した。



「佐那から、メッセージ?」



 するとそこには、佐那からの連絡があって――。



「え、マジか!?」




 それを見た俺は、即座に学校へ欠席の連絡を入れるのだった。










 賀東家は、彼の高校の近くにあった。

 どことなく古風な雰囲気が漂う町並みをしており、ありていに言えばボロい。どこも風が吹けば倒れそうな、そんな家ばかりだった。

 その中でもいっそうに立て付けの悪い、小さな家のチャイムを鳴らす。



「はぁ、い……」



 すると、中から佐那の声が聞こえた。

 鍵が開けられて、ドアの隙間から少女が控えめに笑っている。頬が赤いのは、熱を出したせいだろう。気温も上がってきたこの頃なのに、厚着をしていた。

 見るからに体調不良、という感じ。



「大丈夫か? リンゴとかスポーツドリンク、買ってきたよ」

「ありがとうございます。あ、上がってください」

「それじゃ、お邪魔します」



 俺はほんの少しだけ遠慮がちに、靴を脱いで畳に上がった。



「親御さんは?」

「お父さんは、工場のお仕事です。えへへ……」

「そっか……。分かったよ」



 そこまで聞いて、俺は彼女に母親がいないことを察する。

 濁したのはそういうことだろう。



「すみません、学校休んでまで……」

「いいよ。相棒の妹のため、だからな」

「そ、そうですか?」

「あぁ、もちろん」

「え、えへへ」



 畳の上に敷かれた布団の中に入った佐那。

 彼女を寝かせながら、俺は床の上に胡坐をかいた。





 佐那からのメッセージ。

 それは、体調不良による救難信号だったのだ。




「それじゃ、よろしくです……」




 毛布を目の下まで被って、申し訳なさそうに少女は言う。

 俺はその頭を撫でながら優しく笑った。



「大丈夫。俺がいるから、安心して」

「……はい」







 ふっと息をつくと、目を閉じる佐那。

 彼女の様子を確認して、俺は少しだけ気合を入れるのだった。



 


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