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5.【眷属】は、誰か。










 それは、俺がまだ幼かった頃の出来事。



「おめでとう、明海拓馬。キミは今日からボクの【眷属】だ」

「けん、ぞく……?」




 廃墟のど真ん中で。

 まだまだ背の低かった俺は、カトレアを見上げて首を傾げた。



「あぁ、そうだ。ボクの血を分け与えた存在――それが眷属。神祖としてこの世界にやってきたボクが認めた人間、それがキミなんだよ」

「みとめられた、って?」

「まぁ、追々説明していけば良いか。とりあえずキミは、ボクの血を与えられたことで第二の生を受けた。そして、ボクの手足となって働くのさ!」

「でも、キミには手も足もあるよ……?」

「そうじゃなくて……」



 正直、彼女が何を言っているか当時の俺には分からなかった。

 それでもたしかなのは、俺の命は彼女に救われたこと。

 彼女が恩人であることは分かった。


 だから――。



「とりあえず、だね――」

「ありがとうね、カトレア」

「え……?」




 素直に、感謝の言葉を口にした。

 するとカトレアはポカンとした後に、顔を真っ赤にする。

 幼い俺の混じり気のない、無垢な感謝が突き刺さったのだろうか。その時の彼女の狼狽えっぷりは、今でもハッキリと覚えていた。

 そして同時に思う。


 記憶と引き換えに得たのは優しい家族だったのだ、と。




「いいかい? 拓馬、キミはこれからだね……」

「うん! 俺、カトレアのためにがんばる!!」

「そ、そうか。気概があるのは、良いことだな、うん……」





 廃墟を手を繋いで、歩く。

 それが、俺にとっての始まりだった。









「【眷属】は、俺……?」



 ノートに夢のことを書きながら、俺は考え込む。

 しかし当然ながら、夢は夢であり現実の出来事とは違うのだ。



「でも、なんだろう。この違和感は……」



 モヤモヤする。

 なにか、大切なことを忘れている。そんな気がした。



 


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