5.【眷属】は、誰か。
それは、俺がまだ幼かった頃の出来事。
「おめでとう、明海拓馬。キミは今日からボクの【眷属】だ」
「けん、ぞく……?」
廃墟のど真ん中で。
まだまだ背の低かった俺は、カトレアを見上げて首を傾げた。
「あぁ、そうだ。ボクの血を分け与えた存在――それが眷属。神祖としてこの世界にやってきたボクが認めた人間、それがキミなんだよ」
「みとめられた、って?」
「まぁ、追々説明していけば良いか。とりあえずキミは、ボクの血を与えられたことで第二の生を受けた。そして、ボクの手足となって働くのさ!」
「でも、キミには手も足もあるよ……?」
「そうじゃなくて……」
正直、彼女が何を言っているか当時の俺には分からなかった。
それでもたしかなのは、俺の命は彼女に救われたこと。
彼女が恩人であることは分かった。
だから――。
「とりあえず、だね――」
「ありがとうね、カトレア」
「え……?」
素直に、感謝の言葉を口にした。
するとカトレアはポカンとした後に、顔を真っ赤にする。
幼い俺の混じり気のない、無垢な感謝が突き刺さったのだろうか。その時の彼女の狼狽えっぷりは、今でもハッキリと覚えていた。
そして同時に思う。
記憶と引き換えに得たのは優しい家族だったのだ、と。
「いいかい? 拓馬、キミはこれからだね……」
「うん! 俺、カトレアのためにがんばる!!」
「そ、そうか。気概があるのは、良いことだな、うん……」
廃墟を手を繋いで、歩く。
それが、俺にとっての始まりだった。
◆
「【眷属】は、俺……?」
ノートに夢のことを書きながら、俺は考え込む。
しかし当然ながら、夢は夢であり現実の出来事とは違うのだ。
「でも、なんだろう。この違和感は……」
モヤモヤする。
なにか、大切なことを忘れている。そんな気がした。
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