表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/63

4.友人と、仇と。









「すみません。わたし、可愛いものに目がなくて……」

「だからって、無許可にボクに抱きつくな!!」

「すみません、すみません!!」

「どうどう、落ち着いて」



 さて、佐那の発作が一段落して。

 俺とカトレア、凪咲、そして佐那の四人は円を描くようにして座っていた。一応はブルーシートを敷いているのだが、コンクリートの上であることは変わらない。

 絶妙に尻が痛いが、文句は言えなかった。



「それで、カトレア? 佐那の夢について、分かることはあるか」

「いや、残念ながらないね。ボクだって万能ではない」

「そうか、残念だな……」



 俺が顎に手を当てて考え込むと、咳払いを一つ。

 カトレアはこう続けた。



「それでもここにきたのは、まったくの無意味でもないだろうさ」

「……と、言うと?」



 訊ねると、彼女はこう言う。



「ボクが佐那の友達になってやろう、というんだ。夢の中の人物は、佐那と友達になることを望んでいたのだろう?」

「いや、それは別に繋がらないような気がするぞ」

「いいや、繋がるったら繋がるんだ! これはボクの直感だ!!」

「お、おう……?」



 なにやら分からないが、勢いで押し切られてしまった。

 しかし、この提案は佐那にとっても悪くない申し出だったらしい。



「ほ、ホントですか!?」

「うん。ボクは今日から、佐那の友達だ」

「ありがとうございます! 嬉しいですっ!」

「――ストップ。でも、抱きつくのはダメだ」



 歓喜のあまりにカトレアに抱きつこうとするも、手を広げた姿勢で釘を刺された。しょんぼりと元の位置に戻っていく少女を見ながら、俺は苦笑いするしかない。

 ちらり、凪咲の方にも視線を投げてみると。



「ん、どうした凪咲」

「いや……。あのカトレアが興味を持つのは、珍しいと思ってな」

「そうなのか?」

「うむ……」



 一人、何やら考え込んでいた。

 そうやって二人で話していると、こちらにカトレアの声が飛んでくる。



「凪咲、拓馬! 二人には特別任務を命じる!!」




 あまりに突拍子のない言葉に、俺たちは顔を見合わせた。

 そして、その内容もまた突拍子もないものだった。










「――なぁ、拓馬」

「え、どうした。カトレア」



 俺たちが帰り支度をしていると、カトレアがふいに声をかけてきた。

 振り返ると廃墟と外の狭間に彼女は立っている。

 そして息をつき、こう言うのだった。



「佐那に何かあれば、すぐにボクに言うんだ」――と。



 いつになく真剣な表情で。

 しかし、それについては――。



「さっき、凪咲にも言ってただろ? どうしてまた、俺に?」



 そうだった。

 先ほど、凪咲のいる場でも言っていた。

 それなのに改めて、俺に対してだけ告げるのか。


 首を傾げているとカトレアは、眉をひそめてこう言うのだった。





「凪咲を、信用し切ってはいけない」





 苦虫を噛み潰すような表情になりながら。




「彼女は、裏切っているかもしれないからな」――と。





 ふっと、強めの風が吹き抜けた。

 俺は声も出せずに、カトレアのことを見つめるしかできない。



「え、それって……?」

「キミには教えておこう。ボクの【眷属】は――」




 困惑するこちらに、少女は感情を殺した声で最後に言った。








「立花凪咲。彼女は【眷属】であり、ボクを仇として見る者だ」






 言葉が出ない。

 背筋に冷たいものが、流れていった。



 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ