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5.せめて夢の中では。

8章ここまで!

そろそろ作者の体力もキツイ!

叱咤激励お願いします!!!!









 場は静寂に包まれていた。

 血だらけになった賀東の傷を手当てしながら、俺は涙を堪えられなかった。俺の不注意だった。俺のせいで、相棒は死に瀕していた。

 止血しても、いつまでも止まらない。



「くそっ、くそ! 死ぬな、死ぬな賀東!!」



 必死に訴えかける。

 こんなところで、終わりだなんて思いたくなかった。



「一緒に、この戦いを終わらせようって言ったじゃないか! 約束しただろ、なぁ!! お願いだから、目を開けてくれよ!!」



 空虚な世界に、俺の声だけが響く。

 それでも賀東は一向に目を開けることなく、血が流れ続けた。



「嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ!」



 俺は叫び続ける。

 ここで大切な相棒を失うなんて、信じたくなかった。

 だから、必死に呼びかけて――。



「賀東、頼むから――」

「……泣くな、相棒……」

「……え?」



 その時だった。

 彼が薄く目を開いたのは。



「賀東!?」

「はは……。ひでぇ顔してんな、拓馬」

「そんなこと、言ってる場合かよ……!」



 止血と治療を再開しようとすると、賀東が俺の手を止めた。

 そして、こう言うのだ。



「もう、いいさ。これで俺も、やっと佐那のところに行ける……」

「お前、なにを……?」

「どこかで、機会をうかがってたんだ。死ぬ機会、ってやつを……」

「なっ……!?」



 それは、どういう意味だ……?

 こちらが困惑しているのを知ってか、彼は小さく口角を上げた。



「この世界は、もう散々だ。俺は生きているのが、辛かった」



 皮肉交じりに、そう口にする。

 それを聞いて俺は、身体から一気に力が抜けるのを感じた。



「な、んだよそれ……」



 感情が綯交ぜになって、ぐちゃぐちゃになる。

 だって、賀東が口にしたそれは――。



「お前、もう諦めてたのかよ……!」



 そういうことだった。

 俺の相棒の心はすでに、折れてしまっていた。

 家族を失って、友人を失って、それでも戦い続けて。隣にいたのに気づかなかった。こいつの心はすでに、ボロボロだったんだ。


 それに、どうして気付いてやれなかったのか。

 いや、気付いたところで俺に何かできたのか。


 こいつの失っていく悲しみを、共有することができたのか?



「ごめん。ごめん、賀東……!」

「謝るんじゃねぇ、よ。馬鹿……」



 賀東は掠れた声で、こう言った。



 ――最後に、お前を守れて良かった。



 でもそれは、あまりにも悲しい言葉。

 俺の涙は止まらない。謝罪の言葉も止まらない。

 そんな俺に、彼はこう言うのだ。




「あぁ、でもどうせなら――」




 本当に、小さな声で。





「ただ、みんなが笑ってる世界があったなら……」――と。
















 そして、賀東は目を閉じた。

 呼吸が止まった。

















「嘘だろ、なぁ? がとおぉ……!!」



 呼びかけに答える声はない。

 相棒で、親友で、ガキの頃から俺を支えてくれた彼はもう……。




「こんなのって、こんなのって……!」




 大地を叩く。

 血が流れても関係なかった。

 そんなの、彼の心に負った傷に比べれば。




「せめて、夢でも良いから……」




 そして、俺は願った。

 せめて夢の中では、彼の幸せがあらんことを。




「ちくしょう……!」









 その日、俺は大切な人を失った。

 かけがえのない、友という存在を……。











 目を覚ます。

 ノートに書き綴りながら、流れ落ちる涙を拭うことすらできなかった。



「…………」



 無言で立ち上がり、出立の準備をする。

 深呼吸一つ。今からは、涙を流すのはなしだ。



 俺は佐那を笑わせてやるんだ。

 そして、夢の中の親友の願いを必ず――。




 


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