表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/63

1.佐那とペットショップへ。

ここから8章。









「あ、拓馬さん! こっちですー!」

「こんにちは、佐那」




 ちょうど太陽が頂点へと昇る頃。

 俺と佐那は、彼女の家の最寄り駅で集合した。

 こちらの住んでいる地域とは少し違って、市街地に近い場所だ。数分歩けばそれなりの大きさのショッピングモールもある。

 だが、そんな情報よりも気になることがあって……。



「すごいお洒落だね、今日は」

「えへへー! 気合い入れちゃいました!」



 それは、佐那の服装。

 昨日も私服を見たには見たが、気にするほどではなかった。しかし今日は、ばっちり決めている。爽やかな色のスカートに、身軽な印象を受ける白の上着。

 ファッションセンスなどない俺でも、かなり可愛らしいそれだと分かった。



「似合ってるよ」

「あ、ありがとうございます!」



 手提げのバッグを前に持ち直して、彼女は深々とお辞儀。

 その姿に思わず笑ってしまった。



「な、なんで笑うんですかぁ!?」

「――い、いや。ごめん! それじゃ、行こうか!」

「えー!」



 訴えてくる佐那の言葉を躱しながら、俺はそう言う。

 そして、せっかくだし――ということで。



「あ……」



 少女の、小さな手を取った。

 すると佐那は顔を真っ赤にしてうつむいてしまう。

 ひょこひょこと、恥ずかしそうにしながら俺の隣を歩いていた。それでも繋いだ手はしっかりと、軽く力を込めて握ってくる。



「卑怯です……」



 佐那はぽそっと口にした。

 俺はそれを聞こえないふりをして、歩き始める。

 とにかく今日はいっぱい遊んで、楽しむんだ――と、そう思って。









「見てください、拓馬さん! ペットショップです!」



 佐那が俺の手を引く。

 どうやら、楽しいものを見つけたようだった。



「あぁ~! 可愛いです! 見てくださいよ、この子猫!」

「あはは、元気だなぁ。それにしても、猫とか好きなの?」

「はい! 子猫とか子犬とか! 家ではずっと動画見てます!!」



 俺のことを見て満面の笑みを浮かべる佐那。

 そんな彼女の姿に、微笑ましい気持ちになるのだ。

 賀東は最近まで佐那が入退院を繰り返していたと語っていた。もしかしたら動画で見ていたというのも、一人病室で、ということもあったのかもしれない。


 それを考えると、身体が勝手に動いていた。



「佐那、ちょっとこっちに」

「え、どうしたんですか?」



 俺は彼女の手を引いて、店内に入る。

 そして、スタッフに軽く相談して許可を得た。

 佐那はそんな俺のことを、首を傾げて見つめている。



 それから、数分後だ。





「わぁ……!」





 少女の小さな手のひらには、一匹の子猫がいた。

 生後間もないのかもしれないその子は、キョトンとした表情で佐那の顔を見つめている。彼女の顔に手を伸ばして、小首を傾げるような仕草。

 佐那はそれをまるで、夢を見るように蕩けた顔で見ていた。



「さすがに、飼うことはできないけど、ね?」

「い、いえ! ありがとうございます!」



 俺の言葉に大きく首を左右に振る少女。

 そしてまた、子猫をジッと見た。指先で遊んであげる彼女の姿もまた、愛らしいの一言。そんな微笑ましい様子を眺めていると、こちらも自然と笑っていた。







 楽しい時間が過ぎていく。

 愛おしい、誰もが望むような平凡な時間が……。


 


面白かった

続きが気になる

更新がんばれ、というか大賞頑張れ!


もしそう思っていただけましたらブックマーク、下記のフォームより☆評価など。

創作の励みとなります。


応援よろしくお願いいたします。

<(_ _)>

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ