3.戦いの、その後に。
感想くれぇ……_(:3 」∠)_
耳を掠めた銃弾は、俺を喰らおうとしたナイトメアの口内に着弾した。大型のナイトメアは外部からの攻撃で倒そうとすれば、相当な時間を取られる。
しかし、内部から攻撃してしまえば話は別。
身体を貫いた凪咲の銃弾によって、ナイトメアはもがき苦しんだ。
「いまだ、凪咲!」
「あぁ!」
これで彼女を助けるのに集中できる。
俺は腕に最大限の力を込めて、凪咲の身体を引き上げた。そして――。
「好機だ!」
彼女の掛け声に合わせて、銃を構える。
大きなダメージを負ったナイトメア――その傷が癒える前に、トドメを刺す!
引き金を引く。
数発の発破音の後に、断末魔が響き渡った。
「やった、のか……?」
「あぁ、気配が消えた」
少しだけ自信のない俺は、少女に声をかける。
すると彼女は、一息ついてから頷いた。だが同時に俺を睨む。
「明海氏、あれはどういうことだ?」――と。
怒りを孕んだ声色に、思わず気圧された。
しかし、すぐにこう反論する。
「どのみち俺一人じゃ勝てないし、凪咲を見捨てられるわけがないだろ? 結果的に、ナイトメアは倒せたんだし、良かったじゃないか」
「そうではない。アタシが言っているのは、それ以前の言葉だ」
「その前の、言葉……?」
首を傾げると、呆れたようにため息をつく凪咲。
そして、苛立った様子で口にした。
「何も教えていないのに、大型ナイトメアの弱点を理解し、あり得ない決断をしてみせた。それに加えて、アタシに指導したようなことも言ったな?」
「あぁ、それは――」
――思わず、流れで。
とも言えず、俺はどうしたものかと頬を掻くのだった。
夢の中での凪咲は俺の後輩で、という説明をしたところで信じてもらえるとは思えない。なので、今は笑って誤魔化すしかなさそうだった。
「……まぁ、良い。行くぞ」
俺の反応で諦めたのか、少女は短く言うと歩きだす。
よかった。いまはとりあえず、流してもらえそうだった。
「おい、早くこい。明海氏」
「あぁ、分かっ――」
そして、凪咲のことを追いかけようとした。
その瞬間。
「え……!?」
視界が歪んだ。
俺の意識は緩やかに、闇の中に落ちていく。
凪咲が駆け寄ってきて、身体を揺さぶられるのを感じながら……。
◆
次に目を開けた時。
そこに広がっていたのは、見知らぬグラウンドだった。
「ここ、は……?」
周囲には誰もいない。
そう思った。だが、すぐにある音に気付く。
「これって、素振りの音か?」
聞こえてきたのは、誰かがバットを振る音だった。
俺はその音のする方へと向かう。すると、そこにあったのは――。
「あれは、朝倉先輩!?」
体操着を着て、一心不乱に練習する幼さ残る先輩の姿。
夕日に照らされるグラウンドで一人、彼女は一生懸命に練習していた。背丈は今よりもずいぶんと低く、もしかしたら中学に入りたてなのかもしれない。
俺はそんな先輩を見て、思うのだった。
――彼女は、本当にソフトボールが好きなんだ、と。
それが伝わってくる。
だから、思わず声をかけてしまった。
「え、お兄さん誰ですか……?」
「あぁ、いや……」
あからさまに警戒する中学時代の先輩。
俺は頬を掻きながら、どうにか会話の糸口を探した。
「ソフトボール、好きなんだね?」
その結果として出てきたのは、当たり障りのないもの。
しかし、彼女にとってはそれでよかったのだ。
「……はい、大好きです! ソフトボール!」
パッと、花が咲いた。
その表情に、俺も思わず笑顔になる。
「大好きだから、練習を?」
「あ、いや……そうじゃなくて。一年生で一番下手くそだから、です」
「一番、下手くそ……?」
「えへへ、情けないです」
俺が首を傾げると、彼女は頬を掻いた。
そして――。
「でも、私には【夢】があるんです!」
こう、語り始める。
「いつか、下手くそな私でもたくさん活躍して! いつかきっと、チームのみんなと全国大会を優勝するんです! だって――」
バットを握りしめ。
俺のことを見つめながら。
「私はチームメイトのことが、一番大好きだから!」――と。
とても、清々しい笑顔で。
それを見て俺は、一つの確信を持った。
「そっか、偉いね」
「こんな私でも、いつかみんなの役に立てるでしょうか」
「うん、大丈夫だよ。きみは、凄い選手になる。凄い人になるから」
「本当ですか!?」
「あぁ、俺が保証するよ」
「ありがとうございます!!」
こちらの肯定で、彼女は目を輝かせる。
「お兄さん、お名前は?」
「え、あぁ。俺は――」
だが、そんな彼女に名前を告げようとした時だった。
こんな幸せな夢から覚める感覚が、あったのは。




