ダンジョン 妖怪野菜の通路
2階への階段を探すため、私とカイルはダンジョンの石の廊下を駆け抜けていく。
廊下には、所々に様々な大きさの落とし穴が設置されていて、落ちてダンジョンの外に出される仕組みになっていた。
「うわっ!」
「どわっ!」
後方からは、廊下の落とし穴に落ちたダンジョン大会参加者たちの叫び声が聞こえてくる。
廊下に突然、穴が開き、穴の中には良く滑るツルツルローションが塗られた滑り台があって、あ~れ~っ!と高速で滑り降りダンジョンの外へと誘ってくれるようだ。
続々と、ダンジョン脱落者が増えてゆく。
「ルカ、あぶない!」
「おわっ!」
落とし穴に落ちそうになる私を、素早く抱えて助けてくれるカイル。
なんとか落とし穴の廊下をクリアしたら、異世界の不思議な野菜たちが天井からたくさん吊られた通路に出た。
高い所から低い所まで、ランダムに吊られた数百個のさまざまな野菜たち。
形も個性的で、鋭く尖った形の野菜や、ヌメヌメと濡れた野菜、意思を持ち蠢いている野菜など、不気味さを感じる野菜たちだった。
時々、野菜たちから奇妙な笑い声まで聞こえてくる。
通路は薄暗く、濡れた野菜がペタッと体に触れたら気持ち悪そうだし、尖った野菜は刺さりそうだし、蠢いている野菜は何かを企んでいるような気がした。
「どうしよう、カイル。いろんな高さに吊られているから避けきれないよ」
「まさか、こんな試練が待っているとは…」
あまりの不気味さに怖気づいてしまう。
私たちがどうしようかと進めないでいると、後ろから、白いフリルのエプロンを着けた子だくさんの豚ママさんが現れた。
「うっひょ~っ! こんなに妖怪野菜が♪ 全部持って帰って煮物にするだよ!」
どうやら、野菜大好きな節約主婦さんのようだ。不気味な野菜だと思ってたら、妖怪野菜、に分類されるのか。食べて大丈夫なのだろうか?!
「妖怪野菜の向こうには、妖怪果物もあるだ~♪」
うきうきと数百個の妖怪野菜と妖怪果物をマジックバッグに全て収穫すると、
「早く持って帰るべ~♪」
と、自ら落とし穴に落ちてダンジョンを脱出し、野菜と果物調理のため、さっさと帰宅していった。
「なんだか、すごく助かっちゃったね」
「ダンジョン制覇より、野菜を選ぶとは…」
私とカイルは、妖怪野菜と妖怪果物の片付けられた通路を難なく通過し、ついに2階への階段を見つけ駆け上がった。
しかし、2階ではゾンビの群れが私たちを待ち構えていた。
「「「「「「ウォォォォォォッ!!!」」」」」」
威嚇の雄叫びが、あたりに響き渡る。




