表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
46/52

神崎仁・五日目・03「真相」

 ──ガシャン!!


 屋上から降ってきたフェンスが大きな音を立てる。

 四角形の角の部分が、俺の上にいた霧野の頭に直撃した。

 霧野の頭が思い切り俺の胸をぶつかり、息が詰まる。

 そして俺の目には落下してくる二人が見えた。

 

「詩季、上だ!」


 俺はかすれた声で詩季に伝えた。

 普通なら落ちてきた人間を受け止めることはできない。

 だが詩季はモノの重さを無くすことができる。


「え? うわああ! とっとと」


 詩季が落下してくる二人。桜木さんと柊を見て驚いた。

 だが能力を使って、二人が地面に叩き付けられる前に二人をキャッチした。

 二人は気を失っているようで、詩季は保健室のベットに運んだ。


 詩季が二人を置く間、俺は屋上から覗く人影を見ていた。

 距離があるからはっきりと顔は分からないが、一人目は天音、そして次に覗き込んだのは姫宮だろう。


 俺が姫宮だった頃、落下した桜木さんと柊だと思っていたのは、神崎と霧野だったのだ。

 桜木さんも柊も死んではいなかった。

 まさか屋上から落ちた二人が、違う誰かと入れ替わってるなんて思うはずがない。

 間違えて当然だ。


「霧野?」


 声を掛けるが霧野はぴくりとも動かない。

 ただ頭から血をドクドクと垂れ流しているだけだ。

 俺は霧野をなるべく動かさないように起き上がった。


 胸に鈍い痛みを感じた。

 手で触ってみると、肋骨が折れているのが分かった。


「仁君! いったい何が起きたの?」


 詩季が駆け寄ってくる。


「……無理心中。それに偶然巻き込まれたんだよ」


 俺は端的に答えた。

 そしてよろよろと歩いて柊の元に行き、気絶しているその顔を見下ろす。


「柊、お前死んでなかったよ。良かったな」


 自分が勘違いしていたことに、自然と笑いが零れた。

 その様子を見ていた詩季が不思議そうな顔をしていた。

 すると、突然あらぬ方向から笑い声が響いてきた。


「……磯谷」


 笑いの主は磯谷だった。

 そして、今度は保健室のカーテンが独りでにサーッとしまった。


「ずっと、見てたぜ。まさか桜木と柊が空から降ってくるとは思ってなかったが、桜木を助けてくれたことには礼を言おう。死なれては困るんでな」

「ずっと見ていた? もしかしてあなたは透明にでもなれるですか?」


 俺は磯谷にそう訊いた。


「透明になるのは俺の能力じゃない。それは支倉美咲の能力だ。……やれ」


 磯谷がそう言うと、隣で詩季がいきなり倒れた。

 

「詩季!?」


 詩季の脇腹からは血が出ていた。


「仁君、いきなり誰かに刺された。……痛いよ」


 苦痛に顔を歪めながら詩季が言う。


「支倉さん! いるんでしょう? なんでこんなことをするんですか?」


 俺は部屋を見回しながらそう叫んだ。

 すると、磯谷の隣に支倉が姿を表した。


「支倉はどうしてもお前と恋人になりたいらしい。そのためには邪魔者を排除する必要がある。だから、俺が殺せば良いって教えてやったんだよ」


「……神崎先輩」


 支倉が期待の籠もった瞳で見つめてくる。


「支倉さん、あなたはバカです。自分がバカなことをしてるって何で分からないんですか?」

「神崎無駄だよ。支倉は俺の能力下にある。正常な判断は出来ない。ただお前と恋人になるための障害を排除するだけだ。ん? 誰か来たな。支倉」


 磯谷が美咲の手を握ると、スウッと溶けるように消えた。

 保健室のドアを誰かが開けようとしている。

 だが、鍵が掛かっていて開けられないでいる。

 その時、カシャリとドアの鍵が開いた。磯谷が開けたのだろう。


「失礼します。……何これ?」


 そう言って入ってきたのは姫宮を背負った天音だった。

 天音は床に倒れてる詩季や血だらけの俺を見て、言葉を失っていた。

 天音は入り口付近に姫宮を降ろすと、俺の元に駆け寄ってきた。

 駆け寄ってくると同時に、保健室のドアの鍵が閉められた。


「神崎くん! いったい何があったの? ひなたと一真くんも屋上から落ちちゃうし訳がわからないよ」

「天音さん、今の状況を説明するのはとても難しいんですが、とりあえず桜木さんと柊さんは生きています。ベットで横になっています、怪我もしていません」

「え? 嘘? だって、屋上から落ちて……。それで……」


 天音は信じられない様子で、ベットに寝ている二人の元に行き顔を見つめた。


「ありがとう天音嬢。姫宮を連れて来てくれて、おかげで手間が省けたよ」


 今まで透明になって隠れていた磯谷が、姿を現した。

 

「磯谷くん? あれ? どこから現れたの?」

「これで、俺の欲しい能力がすべて手に入る。読心、透視、予知。完璧だ。これで俺は全てを知覚できる。一切の不安、心配事から解放されるんだ」


 磯谷は天音の問いを無視して、一人で盛り上がっている。

 ゆっくりと俺の方に近づいてくると、蹴りを放った。

 屈んでいた俺の顎を磯谷の足に蹴りが捉える。

 俺はその衝撃で意識を失った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ