5 俺の人生マジで詰んでる
うわー、人生お先真っ暗で詰んでるー。
――モグモグモグ
≪殺人蜂を捕食しました≫
俺が人生真っ暗にしてても、体の奴は本能のままに移動して、モグモグと普通に食事してやがった。
このクソ体が!
お前、俺が深刻にしてるのに本能に任せて暢気に食事してるんじゃねえ!
叫んでやりたいけれど、声帯がないので心の中だけで叫ぶ。
ちなみに今捕食したキラービーだけど、ステータスはこんな感じ。
『ステータス
名前 なし
種族 蜂
職業 暗殺者
レベル 7
スキル
クリティカルLv4、隠密Lv2、毒攻撃Lv2』
隠密状態からクリティカル攻撃を繰り出して、敵を一撃で仕留めるテクニックタイプってところかな?
もっともここにあるスキルは、既に俺は所持済み。
前世の人間だった時の意識を取り戻してから、シャドウの記憶も思い出したけれど、俺の人間としての意識が出てくるまでに、シャドウはとにかく食いまくっていた。
てか、蜂とか兎を食べる程度なら理解できるけど、ゾンビや死霊術師、果てはドラゴンにドラゴンゾンビまで食ってやがる。
スキル鑑定を使うと、相手のステータスだけでなく、HPやMPの残量がパーセント表示で表されるのだけど、今までに捕食したものはモンスターだけでなく人間まで含めて、HPがすべて0%になっていた
つまり俺の体であるシャドウは、死体を食っているわけだ。
う、うわー。グロすぎる。
異世界を舞台にした小説だと、ダンジョンの掃除人としてスライムが死体を食っているって設定の話があるけど、俺が転生した種族であるシャドウとは、死体を食べ漁っているダンジョンの掃除人のようだ。
もっとも周囲が見えないので、ここがダンジョンでなく、大自然の掃除人という可能性もあるけれど、どっちでもまったく慰めになりゃしない。
しかし、こうして目が見えないのはひどすぎる。
周りに何があるのか全然分からないから、本能に任せて移動する以外に、何もできない。
しかも俺の体、地面の上をスルスルと移動し続けている。
まるでナメクジみたいに地面に引っ付きながらズルズル移動をして……て言いたいけれど、意外と体の移動速度は速いようで、スルスルという表現を使いたくなる。
まあ、あくまでも触覚からくるイメージなので、本当に早く移動できるているかは不明だ。
「だって視覚がないから、遠近感もなにもないんだもの」
まあ、それはともかくとしてだ。
せっかく無駄にスキルばかり獲得しているので、何か使えるものはないかと探してみることにする。
数百に及ぶ俺のスキル。
もしかすると千を越えているかもしれないけれど、今までに食ってきたもののスキルを片っ端から獲得しているから、何か役に立つものがあるはずだ。
「炎魔法か……いでよ炎!」
――シーン
「ファ、ファイアーボール、ファイア、フレア、フレイム、ファイアーアロー……」
――シーン
うん、何も起こらなかった。
いやね、周囲確認に使えそうなスキルがないかって探していたけど、魔法スキルが気になって仕方なかったんだよ。
だって、せっかくの異世界ライフだ。
たとえ盲目状態でも、魔法を使いたいと思うのは人間として自然な欲求でしょう。
しかし、呪文短縮や無詠唱なんてご立派な名前をしたスキルまであるのに、火の玉1個
も起こすことができなかった。
もっとも俺には視覚で確認できないうえに、炎攻撃無効化なんてスキルもあるから、実は炎が出ているけど、俺はそれを感じ取れてないだけかもしれない。
「って、いけないいけない。今は魔法じゃなくて周囲確認するためのスキルを探してるんだった」
他にも水魔法や氷魔法ectectで、いろいろあるけれど、まずは先にやることやらないとね。
えーと、役に立ちそうなスキルは……
≪遠視、遠くを見通すことができるスキル≫
鑑定スキルを使うと、スキルの効果の説明も表示された。
要は望遠鏡みたいなものか?
とりあえず試しにポチリと使用。
おお、真っ暗じゃー。何も見えん。
そもそも俺の体って目玉が付いてないから、スキルを使っても遠くの景色が見えないのか?
≪千里眼、千里先まで見通せるスキル≫
≪万里眼、万里先まで見通せるスキル≫
遠視の上位互換と思われるスキルもあったので、そちらも試してみたけれど、どっちも真っ暗なままだった。
万里先の景色がスキルで見えても、しょせん視覚のない生物には意味がないということか。
豚に真珠、猫に小判だな。アッハッハー。
人間だったら役立ちそうなスキルだけど、シャドウには全く必要性の欠片もないスキルだった。
クソが……。
≪魔力気配察知、周囲の魔力を察知するスキル≫
さっきなんちゃって魔法を使ってみようとしたけれど、このスキルを使えば周囲の魔力を感じ取れるはず。
そうすれば視覚とまでもいかないまでも、何か周囲のことがわからないだろうか?
とりあえず使用じゃー!
その結果なんと驚いたことに、
「……なんも分からん!以上」
またしても豚に真珠だった。
とはいえ、まだ可能性は存在している。
≪感応、五感すべてを用いることで、周囲の気配を察知することができるスキル≫
五感を強化してくれる感じのスキルなのかな?
とりあえず視力はダメでも、これがあれば何とかできる可能性がある。
さっさく使用。
「……ウヒャヒャヒャヒャ」
結果分かったことだけど、移動する際に地面と体がこすれる感覚を、強く感じ取ることができるようになった。
なんだか人間だった時に、耳に息を吹きかけられる感じかな?
でなければ、横っ腹をくすぐられる感じ。
触覚は非常に強化されたけれど、それ以外はまったく意味がなかった。
「俺、触覚以外何もないもんな……」
目玉はないし、声も出せないし、音も聞こえなければ、匂いも感じ取れない。
触覚だけ妙に強化されたため、爆笑するだけで終わってしまった。
……あと、モグモグと移動しながら地面を食べようとしている本能があるけれど、いくら食べても味を感じない。
そういえば、モンスターや人間食っても、血の味も何もしなかったし。
なので、味覚もないようだ。
「No、俺の人生マジで詰んでる」
スキルはめちゃくちゃ数があるのに、俺の盲目人生はまったく改善される気配がなかった。
今までに判明しているステータス ()内の数字は判明した話数
―――本体
ステータス
名前 カズキ サイトウ (斎藤一樹)
種族 シャドウ
職業 迷宮の掃除人
レベル 1650
・初期スキル
捕食 (プロローグ)
吸収融合 (プロローグ)
物理攻撃無効化 (プロローグ)
影空間 (プロローグ)
・武器補正スキル
棍棒術 (プロローグ)
剣術 (プロローグ)
槍術 (プロローグ)
弓術 (プロローグ)
クリティカル (5)
毒攻撃 (プロローグ)
音波攻撃 (4)
・防御補正スキル
盾防御 (プロローグ)
・身体能力補正スキル
筋力増加 (プロローグ)
防御力増加 (プロローグ)
聴覚強化 (4)
嗅覚強化 (4)
・感知スキル
遠視 (5)
千里眼 (5)
万里眼 (5)
魔力気配察知 (5)
感応 (5)
・体質補正スキル
粘液 (プロローグ)
不死者 (プロローグ)
・自動回復スキル
HP自動回復 (プロローグ)
MP自動回復 (プロローグ)
・移動補正スキル
ジャンプ (プロローグ)
・魔法スキル
炎魔法 (プロローグ)
氷魔法 (プロローグ)
氷魔法 (プロローグ)
風魔法 (プロローグ)
土魔法 (プロローグ)
闇魔法 (プロローグ)
回復魔法 (プロローグ)
死霊魔法 (プロローグ)
呪文短縮 (5)
無詠唱 (5)
・耐性スキル
打撃攻撃耐性 (プロローグ)
斬撃攻撃耐性 (プロローグ)
炎耐性 (プロローグ)
炎攻撃無効化 (プロローグ)
氷耐性 (プロローグ)
氷攻撃無効化 (プロローグ)
睡眠無効 (4)
・魔眼系スキル
魔眼・発火 (プロローグ)
魔眼・氷結 (プロローグ)
・オーラ系スキル
隠密 (5)
威圧 (プロローグ)
王者の覇気 (プロローグ)
・指揮補正スキル
指揮 (プロローグ)
眷属支配 (プロローグ)
眷属従属 (プロローグ)
・称号スキル
転生者 (プロローグ)
階層主(80階層) (プロローグ)
異界の魔王 (プロローグ)
・その他
鑑定 (プロローグ)
暴食 (プロローグ)
咆哮 (プロローグ)
死者の咆哮 (プロローグ)
・影空間の保有アイテム
薬草 (プロローグ)
木の杖 (プロローグ)
ネクロマンサーの秘術書 (プロローグ)
ドラゴンメイル (プロローグ)
魔道金属 (プロローグ)




