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少しだけ遠い

同じ時間が、少しだけ遠く感じる日がありました。

理由は、わかりませんでした。

その日は、少しだけ静かだった。

 

 理由は、わからない。

 

 でも。

 

 何かが、少しだけ違っていた。

 

 

 教室に入る。

 

 いつもの景色。

 

 でも。

 

 

「……あれ」

 

 

 紬がいなかった。

 

 

 いつもなら、もういるはずなのに。

 

 

 席に座る。

 

 少しだけ、落ち着かない。

 

 

 別に、いつもいるわけじゃない。

 

 

 それなのに。

 

 

「……なんだよ」

 

 

 小さくつぶやく。

 

 

 授業が始まる。

 

 

 でも、あまり頭に入ってこなかった。

 

 

 

 昼休み。

 

 

 いつもの場所に行く。

 

 

 誰もいない。

 

 

 少しだけ、間が空く。

 

 

 そのまま、座る。

 

 

 

 静かだった。

 

 

 

 昨日までは、隣に誰かがいたはずなのに。

 

 

 

「……別に」

 

 

 

 つぶやく。

 

 

 

 それだけだった。

 

 

 

 

 放課後。

 

 

 帰り道。

 

 

 ひとりで歩く。

 

 

 

 同じ道のはずなのに。

 

 

 

 少しだけ、長く感じた。

 

 

 

 

「ねえ」

 

 

 

 声がした。

 

 

 

 振り向く。

 

 

 

 紬がいた。

 

 

 

「……お前」

 

 

 

 少しだけ、間が空く。

 

 

 

「どうしたの」

 

 

 

「いや」

 

 

 

 言葉が出てこない。

 

 

 

 なんて言えばいいのか、わからなかった。

 

 

 

「今日、いなかったな」

 

 

 

「うん」

 

 

 

 それだけだった。

 

 

 

 

「……なんで」

 

 

 

 

 少しだけ、間。

 

 

 

 

「なんとなく」

 

 

 

 

 また、それだった。

 

 

 

 

 でも。

 

 

 

 

 今日は、少しだけ違って聞こえた。

 

 

 

 

 

「……そっか」

 

 

 

 

 それ以上、聞かなかった。

 

 

 

 

 

 風が、吹く。

 

 

 

 

 

 少しだけ、冷たかった。

 

 

 

 

 

「ねえ」

 

 

 

 

 

「なに」

 

 

 

 

 

 

 紬が、少しだけこちらを見る。

 

 

 

 

 

 

「最近さ」

 

 

 

 

 

 

 言いかけて、止まる。

 

 

 

 

 

「……なんでもない」

 

 

 

 

 

 そのまま、前を向く。

 

 

 

 


 何かが、変わっていた。

 

 

 

 

 でも、それが何かはわからなかった。

 

 

 

 

 ただ。

 

 


 前みたいには、戻らない気がした。

 

 

 

 

 そんな感じがした。

 

 

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