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緑の聖女は転生先を間違えられたようです~植物スキルで、それなりに楽しくスローライフをしてます  作者: 楊楊
第五章 神獣と神木

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63 幕間 天界にて 4

 ~大天使ガブリエラ視点~


 もうララーナ様についていけない。

 天界の倫理規定を捻じ曲げ、新たな勇者を召喚したからだ。基本的に転生者を自分の世界に一人しか送り込めない。しかし、ララーナ様は抜け道を見つけた。まず、他の世界から死亡した転生勇者を自分の世界に再転生させ、こちらの世界で死亡させる。

 そうすれば、見かけ上は転生者が死んだことになり、新たに転生者を送り込める。

 実際はまだ転生者が生きているから違反なのだが、バレたとしても「勘違いした」とでも言い張って、押し通すのだろう。


 今も目の前で、ララーナ様は新たな勇者に向かって指示をしている。

 緑の聖女と同じくらいの年の頃の女性で、戸惑いながらも真剣に話を聞いている。


「私は光り輝く創造神ララーナ!!美貌と英知を兼ね備えた絶対神ララーナ!!唯一無二の偉大なる女神ララーナ!!貴方は勇者として世界を救い、私への信仰を取り戻すのです!!」


 前回の転生者に名前を伝え忘れたことを反省し、自分の名前を何度も連呼している。

 転生者の女性はつぶやく。


「選挙にでも出るんでしょうか・・・やたら名前を連呼するし・・・」


 そんな転生者を無視して、ララーナ様はすぐに転生させようとする。


「ということで、貴方の活躍を祈っています。それでは・・・」


 言い掛けたところで、私はララーナ様を止めた。


「ララーナ様!!少しよろしいでしょうか?」

「何よ?」

「私もこの者に力を与えたく存じます」

「あら?殊勝な心掛けね。いいわよ、特別に認めてあげる。貴方もやっとやる気になったのね?」

「はい。何とかお役に立ちたいと思いまして・・・」


 今回の転生者はいつになく酷い扱いだ。

 ジョブは「勇者」だが、それは名ばかりで何の能力も与えられていない。そうなったのは、もうララーナ様の信仰心が底をついているからだ。信仰心がなければ強い加護なんて与えられない。今回の転生者も捨て駒にしようと考えてのことだろう。流石にこれは許せない。サマエル様に言われた通り、自分にできることをしようと思い、なけなしの力を使うことにした。


「勇者よ。貴方の望みを聞こう。大した力は与えられんが・・・」


 彼女から希望を聞き、テイマーの能力を与えることにした。


「本当にありがとうございます。新たな人生を歩ませてくれて、本当に感謝しています。それに動物たちと意思疎通ができる能力を与えてくださるなんて・・・」


 心苦しいがテイマーはテイマーでも下級のテイマーだ。

 意思の疎通はできるが、上級テイマーのように強制的にテイムすることなんてできない。その旨を伝えても、転生者は感謝してきた。


「強制的に従わせるなんて、できません。十分な能力です。私は前世でペットショップに努めていたんですが、動物たちの声が聞けたらとずっと思っていましたからね。本当にありがとうございます」


 そんな様子を見ていたララーナ様が言う。


「感謝するなら、私にでしょ!?もう時間がないから、早く行きなさい」


 私はララーナ様にバレないようにそっと、転生者に手紙を手渡した。


「これは?」

「後で見てくれ」

「は、はい・・・」


 しばらくして、転生者は光に包まれて消えた。


「すぐに死んでもいいけど、少しは私の信仰心を増やしてもらわないとね」


 そう吐き捨てると、ララーナ様は去って行った。



 ★★★


 私はすぐに神具でサマエル様に事の次第を報告した。

 流石のサマエル様も呆気に取られていた。


「そこまで腐っているとは・・・」

「ええ・・・私も我慢の限界です。すぐに天界の倫理委員会に・・・」


 言い掛けたところで、遮られた。


「それはやめておけ。後はこっちで何とかする。お前に迷惑は掛けられん」

「しかし・・・」

「お前は自分のできることを十分にやった。後は元上司に任せろ。これでも大天使だったからな」

「フフフフ・・・知ってますよ」


 ここ最近、褒められたことなんてない。

 それが無性に嬉しかった。


「それで、今回の件が明るみ出たら、正直に証言してほしい」

「もちろんです」

「それと書類の控えはしっかり取るようにな。紛失してもいかんからな」


 暗にララーナ様に証拠隠滅をさせるなということだろう。


「分かりました」

「もう少しの辛抱だ。その内天罰が下るだろう」


 神様に天罰って・・・

 本当に皮肉なものだ。

気が向きましたら、ブックマークと高評価をお願い致します!!

次回から、いよいよ最終章となります。

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