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緑の聖女は転生先を間違えられたようです~植物スキルで、それなりに楽しくスローライフをしてます  作者: 楊楊
第四章 故郷へ

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52 故郷へ 2

 ゴブリナを追って、私たちは神殿に入った。

 外観はボロボロだけど、中に入ると掃除は行き届いていた。そして神殿の中央にはララーナ様の女神像が祀られていた。


「どういうことですか!?ここに祀られるべきは、ネフィス様です。許せません!!」


 取り乱し、無理やり女神像を撤去しようとしたゴブリナをみんなで止めた。

 そんなやり取りをしていたところ、初老の男性が姿を現した。


「騒がしいな。領主様、これはどういうことですかな?」


 これに反応したのは、ブルーさんだった。


「ガーランド師!!こんな所で何を?」

「おお・・・久しいな、ブレンダよ。それはこっちのセリフだ」

「お久しぶりです、ガーランド師・・・」


 詳しく聞くと、ガーランド師はブルーさんの師匠に当たる人らしい。

 ガーランド師が言うには、現在のララーナ教会の方針に異を唱えたことが原因で、この地に左遷となったみたいだ。


「ブレンダも元気そうで何よりだ。それでそちらの方々は?」

「神聖ネフィス教国の王であるグリューン様、緑の聖女であらせられるミドリ・スズキ様とそのご一行様です」

「ほう・・・魔族の国の王とな・・・我はガーランドと申します。グリューン王、聖女殿、お初にお目にかかります」


 私もグリューンも形式的な挨拶を交わした。


「そんなことよりも、ここにあったネフィス様はどうしたのですか!?事と次第によっては・・・」


 ゴブリナが言い掛けたところで、ガーランド師はララーナ様の後ろにあるカーテンをめくった。そこにはネフィス様の女神像が祀られていた。


「前任者からの引継ぎでな。祟りにあってはならんということで、こういった措置をしておる。なるほど・・・この女神像はネフィス様というのか・・・」

「そうなのです。ネフィス様は偉大なる女神様で・・・」


 ゴブリナの話が長くなりそうなので、私が話に入った。


「私はララーナ教会の神託にもあった緑の聖女です。そして私はネフィス様にもララーナ様にもお会いしているのです。その際、ネフィス様からララーナ様は自分の部下だと教えてもらいました。ネフィス様は魔族を中心に信仰されております。ガーランドさんたちがララーナ様を信仰するのは自由ですが、神様の序列でいうと、ネフィス様のほうが上だと思うのですが・・・」


 ガーランド師が困惑していると、ブルーさんが補足で説明してくれる。


「私もネフィス教に改宗致しました。私が言うのもおこがましいですが、ネフィス様は本当に素晴らしい女神様です。私は信仰の何たるかを見つけたように感じております」

「ブレンダがそう言うのなら、そうなのかもしれんな。現在の教会よりは大分マシなのだろう。折角だから、詳しく話をしてくれ」


 そこからはブルーさんとガーランド師の宗教トークが始まってしまった。

 ちょいちょいゴブリナが会話に入るが、私を含めて誰も止めることができなかった。しばらくしてレイモンド辺境伯が会話に入る。


「ガーランド師、その辺にしてくれないか?」

「我としては、もっと話を聞きたいですが?」

「そうも言っていられん。そんなことよりも復興が大事なのだ。まだ、聖女様がこちらの復興に協力することを了承してもらっていないしな」


 少し考えたガーランド師が言う。


「聖女殿、ネフィス様はララーナ様の上司ということでよいのか?」

「そうです」

「だったら、ネフィス様の信者がララーナ様の信者を助けることは、当然のことではないのか?」

「そ、それは・・・」

「これまでブレンダから話を聞いたかぎり、ネフィス様は寛大な方だと思うのだが?」


 それはそうだけど・・・


 困った私はグリューンを見る。


「そこまで言われたら仕方がない。こちらとしても、最低限の支援はしてやろう。聖女殿、いいかな?」

「もちろんです」


 ★★★


 次の日から本格的に復興を手伝うことになった。

 魔族側が30人、住民約100人が神殿前に集められた。私は彼らの前に立ち、話を始める。


「私は緑の聖女、ミドリ・スズキです。ネフィス様に使命を授けられ、この世界にやって来ました。その際に担当してくれたのは、ネフィス様の部下であるララーナ様です・・・」


 住民たちが騒ぎ始める。


「ネフィス様って何だ?」

「ララーナ様が部下って・・・」

「緑の聖女?」


 私はそんな住民を無視し、スキルで「フルーツの木」と「水の木」を植え、「成長加速」のスキルですぐに収穫できるまでに成長させた。


「これが私のスキルです。すべてネフィス様にいただいた力なのです。難しい話の前に、まずはみんなで食べましょう」


 ゴブリナやブルーさんたちが「フルーツの木」からもいだフルーツや「水の木」から採った水を住民に配る。


「こんな旨い物を食べたことがない」

「水も旨いな・・・」

「ああ・・・奇跡だ」


 私は住民を前に言う。


「これがネフィス様の奇跡です。ネフィス様に感謝し、しっかりと頑張れば、この地は絶対に豊かになります」


 住民から歓声が上がる。


 作戦は上手くいった。

 これは、ガーランド師のアドバイスだ。一応、住民はララーナ教会の信者だが、そこまで熱心な信者はいないらしい。それどころか、ララーナ教会のあくどいやり方に不満を持っている者さえいるようだった。なので、私が分かりやすい奇跡を見せ、住民の気持ちをこちらに引き込むことが作戦だった。


「聖女殿、上出来だ。後は我らに任せてくれ。ブレンダよ。やるぞ」

「はい」


 ガーランド師とブルーさんが住民に細かい説明を行っていた。

 ガーランド師の論法は、ララーナ様を信仰することはネフィス様を信仰することと同じとの論法だった。


 これ以後、神殿にはララーナ様の女神像とネフィス様の女神像の両方が祀られることになった。


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