表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
緑の聖女は転生先を間違えられたようです~植物スキルで、それなりに楽しくスローライフをしてます  作者: 楊楊
第四章 故郷へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/61

51 故郷へ

 夏の建国祭が終り、今年は5人の神官が誕生した。

 昨年の流れで、神官の認定は建国祭ですることになったのだが、認定された5人の神官が特に優秀だったわけではない。この5人は最初から読み書きができたし、何かしらの方法で神殿を運営することができると判断したからだ。回復魔法を使って治療行為で神殿を運営していく者もいるし、ソマリの商会と提携して商業活動を中心に運営していく者もいる。

 まあ、お金は必要だからね。


 その5人の中にはブルーさんも入っている。

 ブルーさんはララーナ教会の元神官であり、基礎教育もできているし、最後のほうは学生というよりは、先生のような役目をしてくれていた。儀式や組織運営はララーナ教会のほうが歴史も長く、しっかりしているからね。


 ブルーさん以外の4人は地元に帰り、早速神官としてのスタートを切り、ブルーさんはしばらくは、スズキタウンに残って、後進の育成に携わってもらうことになっている。

 最近では、国の運営の仕事もしてもらっている。


 そんな中、人間の集団がスズキタウンを訪ねてきた。それは冒険者のレッドさんたちだ。

 レッドさんが代表して、グリューンに挨拶をしている。


「お久しぶりです、グリューン王」

「息災そうで何よりだ」

「今回は領主となる父を連れ参りました」


 レッドさんと同じ赤髪の初老の男性が挨拶をする。


「娘が世話になりました。我はレイモンド・ワイズ、この度「帰らずの森」に隣接する領の辺境伯となりました。魔族たちの故郷でもあり、思うところはあるかもしれませんが、今後ともよろしくお願いいたします」

「うむ・・・」


 グリューンは落ち着いているが、周りの魔族たちの中には、殺気立っている者もいる。


「今後どうするかの前に、まずは我らの故郷を見せてもらいたい」

「もちろんです」


 しばらく細かい話をした後にその場は解散となった。



 ★★★


 それから3日後、私たちは帰らずの森を抜けて、グリューンたちの故郷に向かっていた。

 ダークが言うには、帰らずの森の通行についてはハイエルフと話がついているという。通行に際して、私が「フルーツの木」と「水の木」を植えた聖地の女神像にお供え物をして、通行する人数、目的を記載したメモを脇に置いておけばいいとのことだった。


「ハイエルフもネフィス様を信仰しているのですか?」

「そ、そうかもしれんな・・・我もハイエルフの考えることはよく分からん」

「そうなんですね。でもネフィス様を信仰してくださっているのなら、悪い人たちではないのでしょうね」


 恥ずかしい話、私もハイエルフと会ったことはないし、帰らずの森をどう管理しているのかは知らない。

 これはグリューンたちゴブリンも同じようなもので、ハイエルフとの交渉はダークに一任しているようだ。


 聖地にお供え物をして、メモを残し、帰らずの森を進んでいく。

 2時間程歩いたところで森を抜けたのだが、辺り一面が荒地だった。その荒地の先には長く高い壁がそびえ立っている。前世でいうと、万里の長城のようだ。

 グリューンが説明してくれる。


「あの壁の所為で、故郷の奪還はならなかった。ブラック殿に習ったのだが、ああいった壁を破るには攻城兵器が必要なのだが、それを知らなかった我らは突撃を繰り返すのみだった」


 私も軍事の専門家ではないが、それはそうだと思う。

 如何に魔族と人間に個人能力の差があっても、それは物理的に無理だ。


 レイモンド辺境伯が言う。


「壁から帰らずの森までの土地は魔族に明け渡すことにします。ご自由にお使いください」


 これにキレたのはオークナさんだった。


「何を勝手なことを言ってるんだい!!こんな荒地で好きにやれって、舐めてるのかい?それにゴブリンたちの故郷は壁の向こうだよ」

「それは十分に分かります。しかし、壁の向こうも同じようなものです。早速、ご案内します」


 レイモンド辺境伯の案内で、壁を抜ける。

 壁を抜けたところで、荒地が広がっている光景に変わりはなかった。まあ、こちらのほうが建物は若干あるけどね。


 その光景を見た多くのゴブリンたちは泣き崩れた。


「そ、そんな・・・嘘だ・・・」

「あんなに豊かな土地だったのに・・・」

「人間め!!絶対に許さん!!」


「誤解なきように言っておきます。ここに入植した人間たちが、このような荒地にしたわけではないのです。少し長い話になりますが・・・」


 侵略国家オーダスト帝国が魔族たちの土地を奪い取った当初は豊かな土地だったそうだが、ここ最近はどんどんと荒れ果て、今では草も碌に生えない土地となっているようだ。今のところ、原因は分かっていないらしい。帝国としては莫大な予算を掛けて壁を建設し、大量の兵士を常駐させていたのだから、何とかして土地の回復を試みていたようだが、結局はこの有様だ。


「帝国は属国にした国の貴族に責任を負わせることにしたようで、私にお鉢が回ってきたのです。だが、これはチャンスです。どうか聖女様の力で、この土地をお救いください」


 来る途中にスキルを使って調べたけど、小麦とジャガイモは育つし、牧草も植えられそうだった。

 しかし、すんなり助けていいものだろうか?

 ゴブリンたちも気持ちの整理がつかなさそうだしね・・・


 そんなことを思いながらグリューンを見る。

 グリューンも答えを出せずにいるようだった。


 そんな時、ゴブリナが町にあった大きな建物に向かって走り出した。


「あれは・・・神殿だな・・・」


 グリューンが言うには、ゴブリナとグリューンが幼い頃に住んでいた神殿のようだった。

 私たちは結論を先延ばしにして、ゴブリナの後を追うのだった。

気が向きましたら、ブックマークと高評価をお願い致します!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ