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緑の聖女は転生先を間違えられたようです~植物スキルで、それなりに楽しくスローライフをしてます  作者: 楊楊
第四章 故郷へ

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47 恒例の視察

 レッドさんたちから重要な話があるということで、グリューンたちと話を聞くことになった。


「つまりレッド殿の父上がノーア平原を治める領主となった時、我らに協力してもらいたいということか?」

「そのとおりです。もちろん、ただでとは言いません。領地の東半分は魔族の居住区に致しますので、悪い話ではないかと・・・」


 オークナさんが怒りの声を上げる。


「勝手なことを言ってるんじゃないよ!!アンタたちが無理やり土地を奪ったんだろ?虫のいい話にしか思えないよ」

「それはそうですが・・・」


 グリューンが少し考えて言った。


「オークナ、落ち着け。すぐに結論は出ないが、半分でも故郷を取り戻せるなら悪い話ではないと思う。レッド殿の父上が領主となった際、改めて考えよう」

「分かりました。どうかよろしくお願いします」



 その3日後、レッドさんたちはスズキタウンを後にした。

 ブルーさんだけは、神官資格を取るため、ここに残った。私はというと、レッドさんたちのためにララーナ教会宛ての手紙を書いた。



 前略

 私は緑の聖女、ミドリ・スズキです。

 レッドさんから神託の件を伺いました。世界に危機が迫っているということですが、私はララーナ様の上司である女神ネフィス様から「できる範囲で、目の前の困っている人を助けてあげればいい」との啓示を受けており、現在、困っている魔族たちのために努力しております。

 もし迫っている具体的な危機が分かりましたら、ご連絡ください。できる範囲で協力させていただきます。



 こんなものでいいだろう。

 こちらに残るブルーさんが呟く。


「多分、教会に激震が走るでしょうね・・・」


 どういう意味だろうか?


「現在の教会は腐敗しきっています。そういった神官たちは大慌てでしょうね。気にすることはないですよ」

「どこの世界も組織は腐敗しますからね・・・」


 こっちの世界でも大きな組織は色々あるみたいだ。



 ★★★


 レッドさんたちを送り出した私たちは、毎年恒例の視察に向かうことになった。

 神官学校の開校の関係で、例年よりも一月遅れての出発となった。今回まず向かうのはボアタウンだ。ウリの母親である主さんも心待ちにしているようなので、真っ先に視察に向かうことになったのだった。


 ボアタウンに到着すると、いつも通り盛大な歓迎を受けた。

 集落の代表であるゴブゾウがグリューンと挨拶を交わしている。


「もう宴の準備はできているぜ。早速、飲むぞ」

「うむ。ではそうさせてもらおう」


 聞いたところ、特に問題がないようなので、今回の視察は宴会をして終わりのようだ。

 ウリたちはそれぞれの親元に帰って行った。ちょっとした里帰りだ。そんな状況にブルーさんは驚いていて、ゴブリナに仕切りに質問していた。


「そもそも視察は何のためにやっているのでしょうか?」

「元々は各集落の無事を確認するのが目的でした。聖女様が来られるまでは、こんな楽しいものではなかったのですよ。酷い集落になると集落ごと全滅していたこともありましたからね」

「宗教的なイベントなんかはあるのでしょうか?」

「特にありません。今、このような楽しい時間を過ごせることをネフィス様に感謝するだけで十分ですよ」

「なるほど・・・日々に感謝ということですね・・・」


 ブルーさんはかなり真面目だ。今もゴブリナの話をしっかりメモしている。



 次の日からはのんびりと集落を周る。予定では作物の育ち具合をチェックするくらいだけどね。

 そんな中、オークナさんに誘われてボアタウンのオーク御一家のお宅を訪問することになった。というのも、オークナさんの次男さんがこちらのお宅に婿入りしたからだ。冬祭りの合同お見合いの結果が早速出たようだ。因みに長男さんは別の集落からお嫁さんをもらっている。


「アンタも元気そうだね?しっかりやるんだよ」

「親父、お袋。俺は元気だよ。それともうお腹に子供がいるんだ」

「そうかい・・・私もお祖母ちゃんだね・・・」


 私も嬉しくなって、お祝いの言葉を言った。


「おめでとうございます。オークナさん」

「ありがとうね。それでよかったら生まれてくる子に名前を付けてくれないか?」

「そ、そうですね・・・」


 ネーミングセンスのない私が悩んでいると、ブルーさんがゴブリナに質問していた。


「ところでネフィス教の結婚式はどういったものなのでしょうか?」

「結婚式ですか?こちらではそういった風習はありません。前に言いましたが、聖女様が来られるまでは、そんな余裕もありませんでしたしね」


 私はこれ幸いと、この話に乗ることにした。

 生まれてくるお子さんの名付けの件をうやむやにできると思ったからだ。


「ゴブリナ、だったら結婚式をしてはどう?ネフィス様は結婚式のやり方については定められていないけど、禁止はしていないわ。やり方はブルーさんに任せてみればどうかしら?ララーナ様はネフィス様の部下だから、ネフィス様の教えに反してはいないと思うしね」

「それはいい考えです、聖女様。ブルーさん、ララーナ教の結婚式のやり方を教えてください」


「もちろんです。私もお役に立てて嬉しいです」


 もちろん、この案に反対する者はおらず、次の日には結婚式が行われた。

 ララーナ教の結婚式は、前世の結婚式とあまり変わらず、最後にみんなでララーナ様に祈りを捧げるところをネフィス様に変えただけだった。


 2日後、スズキタウンに帰還した私たちは、早速、オークナさんの長男さんの結婚式を執り行うことになった。

 ブルーさんから結婚式のやり方を習ったゴブリナが進行を務めている。


「さあ、皆さん。ネフィス様に祈りを捧げましょう」


 どの世界でも結婚式はいいものだ。

 これがきっかけで、神官学校の必修科目に結婚式のやり方が追加されることになったのだった。

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