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緑の聖女は転生先を間違えられたようです~植物スキルで、それなりに楽しくスローライフをしてます  作者: 楊楊
第四章 故郷へ

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41 冬祭り 2

 雪がちらつき始めた頃に作業員用の宿舎が完成した。

 宿舎はゴブリンが暮らしやすいもの、ケンタウロスやラミア、アラクネなどの二足歩行ではない種族用のもの、そしてオークのような大型の種族用のものを用意した。

 完成した宿舎を見ながらグリューンが言う。


「各種族が暮らしやすいような設計にする発想はなかったな。ケンタウロスやラミアも喜んでいた。流石は聖女殿だ。感謝する」

「アイデアは私ですが、形にしてくれたのは、フリンやドワンナたちですからね」

「聖女殿は謙虚だな」


 これでやっと一段落だ。



 とうとう今年も冬がやってきた。

 激しい吹雪が吹き荒れ、あっという間に辺りは銀世界になった。ゴブリンたちの話では、例年激しい吹雪の後は、そこまで雪は降らないそうだ。それを利用して、雪祭りをするんだけどね。


 吹雪が収まった頃、私は作業員を集め、指示をする。


「女神像を作ってもらう前にまずは雪を集めてください。それとちょっと面白い物を作ってみようと思います」


 私が指示した物は二つ。

 一つは子供用の滑り台だ。子供たちは元気で、作っている途中から滑っていたけどね。

 そしてもう一つは、かまくらだ。私は雪国の出身ではないが、子供の頃にかまくらを作って中でお菓子を食べた経験がある。今でも忘れられない貴重な体験だ。それを集落のみんなに体験してほしくて、提案したのだった。


 かまくらは、あっという間に出来てしまった。こちらの世界では魔法があるからね。

 もっと苦労して作って、できた時の喜びを感じる予定だったけど、この際仕方がない。ゴブリナが私に聞いてくる。


「聖女様、これはどういうことでしょうか?中に入れますが、宿舎は別にありますし・・・」

「以外に温かいでしょ?それに神秘的な感じがして、楽しくない?」

「言われてみれば・・・」

「それにまだ楽しみ方があるのよ」


 私は用意していた鍋料理をゴブリナに振る舞う。

 サマスの塩漬けをメインに適当に野菜を入れただけだけど、素材自体の味がいいから、かなり美味しい。ゴブリナも絶賛してくれる。


「昨年も食べた鍋ですが、昨年よりも美味しくなっています」

「かまくらの中で食べると雰囲気があって格別でしょ?」

「はい・・・ネフィス様を感じます」


 そんな話をしていたところ、匂いにつられてグリューンとフリン、それに商人のソマリがやってきた。


「いい匂いがするッス!!」

「本当ニャ!!」


「折角だから、食べていけば?みんなで食べれば美味しいからね」


 そこからは宴会が始まってしまった。


「サマスには米酒が合うッスね」

「本当ニャ。幸せな気分になるニャ」


「鍋を食べ終わったら、お米を入れるのよ。それも絶品よ。それに今は単純な塩味だけど、ミルクやチーズを入れたらまた違った味になるわ」


「とりあえず、ミルクとチーズを入れてみるッス!!」


 ミルクとチーズを思いつきで入れてみた。

 当然、ミルクもチーズも美味しいので絶品だった。


「この鍋にはワインが合うニャ!!」

「そうッスね。果実酒も合うッス」


 フリンもソマリも大満足のようだ。

 グリューンが言う。


「この後、聖女殿は米を入れると言ったが、我はパスタでもいいかと思うが?」

「そうですね・・・迷うところですね・・・」


 ミルクチーズ鍋なら、パスタもアリだね。


 そんな話をしていたらソマリが真剣な表情で言ってきた。


「聖女様にお願いがあるニャ。私にかまくらと鍋で商売する権利を譲ってほしいニャ」


 いきなりそう言われてもねえ・・・

 というか、そもそも私が考えついたわけではないし、商売しようとも思っていなかった。ただ、雪祭りといえば、こんなことをしたいと思ってかまくらを作り、かまくらの中で鍋を食べようと思っただけだ。

 私はグリューンを見た。


「それでは、売り上げの何割かを聖女殿に支払うというのはどうだろうか?」

「そんなことでいいのですかニャ?」

「聖女殿はどうだ?」


「もちろん構いません。何でしたら、面白そうなので私も手伝いますよ」


「本当に有難いニャ!!」



 次の日から予定よりも多くのかまくらが設置されることになった。

 私はというと、新メニューの開発に追われていた。まあ、ただのトマト鍋なんだけどね。

 それに赤ドラと白ドラが厳正した人参鍋と大根鍋もメニューに加えられることになった。


(自信作だよ)

(美味しいよ)


 赤ドラと白ドラが直々に育てた人参と大根を使っているから、食べた人はかなり元気になるようだった。


 本番よりも準備が楽しいのはよくあることだ。

 かまくらも作ったし、かまくらでお鍋を食べる経験もしたし、もう私としては満足なんだけどな・・・



 ★★★


 かまくらが多数設置され、ソマリが経営する「かまくら鍋屋」が正式に営業を開始した頃、他の集落から続々と作業員が到着した。その中には驚きの人物もいた。


「ドワンド王・・・王自ら作業員としてやって来るとは・・・」

「グリューン殿、ドワーフ王国を救ってもらった礼だと思ってくれ。それに思う存分腕を振るえる機会は、そうそうないからな」


 挨拶もそこそこにドワンド王はすぐに作業に取り掛かってしまった。

 ドワンナから後で聞いた話だと、ドワンド王は雪像作りを本当に楽しみにしていたようだ。作業員募集の話を聞いた時、公務を放り出して、すぐにこっちに来ようとしていたようだ。流石にそれは止められ、公務をこなしてからこっちに来たらしいけどね。


 どんどんと完成していく雪像を見ながら、私はネフィス様に祈った。


 本当にありがとうございました。ネフィス様・・・



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