34 外遊 2
次の日、早速こちらに来た用件を伝える。
ドワンド王の顔が曇る。
「難しい問題だな。我らドワーフは城壁に立てこもれば、人間の侵攻は当面防げる。しかし、我が国は食料の大半を輸入に頼っているから今の国力は維持できん。共闘したほうがいいかもしれんが、反対する者も多いだろうな」
「それは我らも同じだ。我も判断に迷っている。それで先達であるドワンド王に相談に来たのだ」
「我を頼ってくれて、嬉しく思うが、こればっかりは答えを出せんな」
「王というのは、難しいものだな・・・」
グリューンとドワンド王の会話を聞いて、ドワーフ王国の重鎮たちも厳しい顔をしている。
雰囲気から言って、即答はできないだろう。前世の歴史でも、あのとき共闘しておけばと思われる史実があった一方で、自国最優先の政策を取ったほうがよかったと思われる史実もある。その仮説も正しいかどうかも分からないけどね。
そんな話をしているところに慌てた様子で一人のドワーフが駆け込んできた。
「大変です!!国王陛下!!」
ドワンド王が諫める。
「客人の前だ。流石に無礼であろう。それで何があったのだ?鉱山で落盤でも起きたか?」
「そ、それが・・・」
報告に来たドワーフによると、事態はかなり深刻だという。
鉱山で毒ガスのようなものが蔓延し、多くの作業員が倒れて搬送されているらしい。しかも、何の毒か分からないようで、過去にそんなことはなかったようだ。
グリューンが言う。
「ドワンド王、すぐにそちらの対応に当たってくれ。こちらからも応援を出す。ゴブリナ、ダーク、治療を手伝ってやれ」
「うむ」
「分かりました」
「グリューン殿、感謝する。すぐに状況把握に努め、負傷者の救助を最優先にしろ!!」
★★★
私たちは負傷者が搬送された治療院に向かった。
魔法薬のスペシャリストであるダークと回復魔法が使えるゴブリナも治療に当たる。しばらくして、治療に当たっていたダークが報告に来た。
「命に別状はない。しかし、原因が不明だ。これは毒というよりは、呪いに近い」
「どういうことだ?」
「自己防衛のためにそういった魔法由来の毒を持つ魔物がいると聞いたことがある。今回の毒はその魔物から離れれば、次第に弱まると思う。しばらくこのままの状態が続くが・・・」
ドワンド王も質問する。
「その魔物を討伐せんかぎりは、鉱山に立ち入らんほうがいいということか?」
「その通りだ。すぐに鉱山は閉鎖したほうがいい」
「そうか・・・かなりの痛手だが、仕方がない。すぐに鉱山を閉鎖しろ」
これにはドワーフ王国の大臣が反論する。
「しかし、陛下。それではかなりの損失が・・・」
「黙れ!!作業員の命には代えられん」
それから対策会議が行われた。
案として挙がったのは、精鋭の討伐部隊を編成し、少数で討伐に当たるというものだった。しかし、これには問題がある。今回の毒に対処できる人材がいなかったのだ。私を除いては・・・
あれ?これって私に行けってことか?
確かに私はネフィス様から「毒無効」の加護を付与されている。
だけど、私は戦闘力はゼロに近い。流石に私一人では無理だろう。
(マンドラゴラに毒は効かないよ)
(マンドラゴラだからね!!)
赤ドラと白ドラの思いが伝わってきたが、「アンタら二匹が来たところで、戦闘力ないだろう」とツッコミを入れてしまう。
(マンドラゴラは強いんだよ)
(マンドラゴラだからね!!)
強いわけないだろうと思う。そもそも、とてとてとしか歩けないしね。
そんなことを考えていたら、あることに思い当たった。
もしかして、ネフィス様が私に「毒無効」の加護を付与したのは、このことを想定してではないだろうか?
そう考えると辻褄が合う。となると、私が行かない選択肢は無くなる。
でも流石に一人では、無理だろう。となると、何か毒を防護するアイテムが必要だ。
あっ!!防護服!!
しかし、ここに「創造の木」はない。
スキル的には「創造の木」を植えられるが、「創造の木」を植えられる場所は限られている。多分、ドワーフ王国にそんな場所はないだろう。今からスズキタウンに帰る余裕はない。
(大きな鉢植えに植えればいいんだよ)
(スキルで出した土と鉢植えがあれば、育つよ)
なるほど・・・その手があったか。
私はすぐにスキルで大きな鉢植えと土を出し、「創造の木」を植え、「成長加速」で一気に成長させた。
周囲の者たちが、驚きの声を上げる。
「一体これは?」
そんな声を無視し、私は防護服を作成する。
詳しい構造は分からないけど、気密性の高い素材と酸素ボンベがあればいいくらいの知識はある。それでできたのが、怪しげな防護服だった。切羽詰まった状況だったので、あっという間にできた。スキルにも火事場の馬鹿力が発揮されるのかもしれない。
「聖女殿、この怪しげな鎧は何だ?」
「毒を防ぐ、防護服です」
「なんだと!?」
まあ、そうなるよね・・・
私は若干引いているみんなに、私に毒が効かないことと、防護服の使い方を説明した。
ドワンド王が言う。
「聖女殿、助力感謝する。それではこれより、精鋭部隊の選定を行う。それと、聖女殿を信用していないわけではないが、少し実験をさせてほしい」
当然の判断だろう。
すぐにドワーフたちが走り出し、防護服の効果を実験していた。実験の結果、防護服が今回の毒を無効にすることが判明した。
そして、今回の調査に赴くのは・・・
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