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緑の聖女は転生先を間違えられたようです~植物スキルで、それなりに楽しくスローライフをしてます  作者: 楊楊
第三章 建国

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33 外遊

 意外なことに私はすぐにアイデアを思いついた。

 それにすぐに製造されることになった。何を作ったかって?


 一つはサスペンション付きの揺れが少ない馬車だ。

 私も視察なんかで、色々な集落に周るけど、その度にお尻が痛くなる。思いつきで、あまり揺れない馬車を提案した。サスペンションを上手く説明できなかったので、「創造の木」でバネっぽい物を作って説明したけど、すぐに実用化の目途が立った。この世界の職人は優秀だ。


 もう一つは冷蔵車だ。

 揺れない馬車にコンテナを乗せ、そのコンテナに氷結魔法を付与する。獣王国やドワーフ王国から大量に魔石を貰ったから、それを利用したようだ。細かい技術は分からないけど、フリンやドワンナがすぐに形にしてくれた。


「これなら、父上も納得してくれるわ。フリン、聖女様、本当にありがとう」

「私もいい経験が出来て良かったッス。こっちがお礼を言いたいくらいッス。それにしても、ドワンナの技術力は凄いッス」

「フリン、貴方もね。貴方の技術力も大したものよ」


 私もお礼を言いたい。

 これで旅は快適になるし、お土産を腐らせなくて済むからね。



 ★★★


 各集落を周り、事情を説明したところ、すべての集落で「グリューンに一任する」との回答を得た。族長の多くは、「困っている者を助けたいけど、戦争はしたくない。難しい判断になるから、グリューンに従う」と語っていた。

 これは私もそう思う。答えなんて出ないしね。神のみぞ知るってやつだ。


 建国際から2ヶ月、私たちはドワーフ王国に旅立つことになった。

 今回、同行するのはいつものメンバーの他にフリンたちダークドワーフやハーフドワーフたちだ。何人かは自分たちの技能を高めるためにドワーフ王国で修業させてもらうらしい。既にドワンド王の了承は得ているようだ。

 そして、ダークたちダークエルフも同行する。ドワンド王が是非ともエルフ由来の薬草や魔法薬を欲しいと言ってきたので同行することになった。ダークがドヤ顔で説明する姿が目に浮かぶ。


 移動はもちろん、新型の馬車を使う。

 でも引っ張るのはウリ坊たちだ。リーダーのウリが言うには、自分たちもみんなの役に立ちたいとのことだった。馬車ならぬウリ坊車の誕生だ。

 お土産にはこちらの特産品のフルーツを冷蔵車に満載している。その冷蔵車を引っ張るのはケンタウロス族の族長タリアスだ。立派な新型車を引っ張る栄誉は、族長の特権だと語っていた。


 途中、リザードマンの集落に寄って新鮮な魚も仕入れた。ドワーフ王国は山岳地帯にあるから、喜ばれるだろうしね。ついでに集落の長であるザードも同行することになった。こちらは単にドワーフ王国に行ってみたいだけらしいけどね。


 総勢30名の大所帯で移動する。

 リザードマンの集落を出て5日で、ドワーフ王国に到着した。立派な城壁がそびえ立っている。ドワーフの技術がこれだけで分かる城壁だ。ドワンナがドヤ顔で言う。


「フリン、これがドワーフの技術よ。ダークドワーフには作れないでしょう?」

「すぐに作れるようになるッスよ」

「そんなにすぐに作られたら、こっちの立場がないわ。この堅牢な城壁があれば、人間が攻めて来たって、あっという間に撃退できるわ」


 フリンと軽口を叩き合っている。最初はいがみ合っていたけど技術者同士、何か通じるものがあるようだった。


 城壁の門番に用件を伝えるとすぐに入国が認められた。

 それに大通りを通行止めにしてくれて、パレードのような状態になっている。引率してくれているドワーフに話を聞く。


「アンタらは国賓だからな。それに聖女さんは、ギムリを倒した英雄だろ?みんなアンタの雄姿を見たいんだよ」


 ギムリに飲み比べで勝ったことで、私は凄い人扱いされているようだ。本当はネフィス様に付与してもらった「毒無効」の加護があるだけなんだけどね。


 多くの見物客に見守られながら、私たちは王城に入った。王城もかなり立派だ。ドワーフの職人が精魂込めて作ったことがよく分かった。すぐにドワンド王自ら出迎えてくれた。


「ようこそドワーフ王国へ。グリューン王、聖女殿」

「盛大な出迎え感謝する。要望通り、薬草や魔法薬を持って来たぞ」

「それは有難い。すぐに宴の準備をしよう」


 和やかの雰囲気だったが、ドワンド王の表情が曇る。


「ドワンナ、もう戻ってきたのか?修行をしろと言ったはずだが?」

「修行はしています。しかし、ある程度形になりましたので、こちらに来ました」

「そんな短期間で、できるものか!?」

「本当です。こちらをご覧ください」


 ドワンナが新型馬車と冷蔵車の説明を始める。


「信じられん・・・これをお前が作ったのか?」

「私だけではありません。フリンをはじめとしたダークドワーフたちの協力で、それに聖女様のアイデアを形にしたのです」

「うむ・・・」


 それからドワンド王が新型馬車や冷蔵車をチェックし始めた。


「なるほど・・・これで衝撃を吸収しているのか・・・こっちの冷蔵車は魔石を使っているようだな・・・」

「その通りです、父上」

「しかし、気に入らんな。我ならもっと揺れを少なくできるし、もっと魔石の消費量を抑えることができる」

「そ、それはそうですが・・・」


 ドワンド王が笑いながら言った。


「ドワンナ、フリン殿、合格だ。聖女殿、滞在している間にもっと改良しようと思っているが、構わんかな?」

「は、はい・・・」


 ドワンド王がドワンナに向き直って言う。


「それでドワンナよ。これからどうする?国に帰って来てもいいぞ」

「父上、私はもう少しスズキタウンで修業をしたく存じます」

「そうか・・・ではそうするがよい。今日は気分がいい。しっかり飲むぞ」


 そこからは大宴会が始まってしまった。

 ドワーフ王国は歴史はあるけど、格式ばった儀礼はあまりないらしい。まあ、ドワンナの案件が片付いて本当によかった。


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