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緑の聖女は転生先を間違えられたようです~植物スキルで、それなりに楽しくスローライフをしてます  作者: 楊楊
第三章 建国

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32 今後の方針

 建国際の宴は、三日三晩続いた。結構、体重は増えたと思う。

 でも、今はそうは言っていられない。

 ドワンド王以下ドワーフたちは帰還し、今後についてフックスの父親である獣王国宰相ルナールと話をすることになったからだ。


「我らを丁重にもてなしていただき、お礼を申し上げます」

「気にすることはない。フックス以下、獣人の移住者には世話になっているからな」


 フックスは誇らしげにドヤ顔をしている。


「それでは早速、話をさせていただきます。まずは獣王国の現状から・・・」


 獣王国は獣人の国で、多くの獣人が暮らしている。

 獣人と一口に言っても、種族ごとに文化や風習が違い、犬猿の仲の種族も多いという。それでも、国としてまとまっていたのは、人間の国と戦争をしていたからだという。


「5年前まで、人間の国と交戦状態でした。当時人間の国は、勇者と呼ばれる強力な戦力を有していました。剣技や魔法に優れ、いかに獣王国の精鋭部隊でも太刀打ちできない状況でした。領土の多くを奪われ、存亡の危機に陥っていたのですが、当時、獣王であった英雄クマズル様が勇者と刺し違え、勇者を葬り去ったのです。クマズル様は熊獣人であり、クマズル様を討たれた熊獣人たちは怒り狂い、人間に激しい報復を行いました。その結果、領土は回復し、賠償金も手に入れましたが、こちらの払った代償は大きく、熊獣人たちの力も大きく削がれたのです」


 人間は獣人と比べたら戦闘力は低い。

 しかし、数が多いことと、一瞬で戦況をひっくり返す能力を持つ、勇者と呼ばれる特殊個体が偶に生まれることで、度々獣王国に侵略してくるのだという。


「停戦となり、復興に力を入れなければならない時期なのですが、今度は誰が獣王となるかで、争いが絶えなくなったのです。特に獅子族と虎人族が激しく争っていて、このままでは獣王国は滅亡しかねません。何とか、国をまとめようとしたのですが、私の失策も相まって、国力は落ちる一方です」


 グリューンが言う。


「獣王国の事情は分かったが、我らに何を望むのだ?流石に獣王国の内戦に首を突っ込むことはせんぞ」

「仰る通りです。これは私の見立てですが、これから獣王国の多くの種族が神聖ネフィス教国に協力を求めに来るでしょう。その際、どの種族にも味方をしないでほしいのです」

「それはどういった意図があるのだ?」

「ちょっと複雑な話になりますが・・・」


 ルナールが言うには、勇者という特殊個体が現れたら、今の状況では太刀打ちできないそうだ。

 その時、やっと獣人は一つにまとまるのではとのことで、それまでは今のままの状態を維持したいらしい。戦争になって初めて、国がまとまるなんて、皮肉な話だと思う。


「多少、領土を奪われるでしょうが、仕方ありません。そして人間が攻めて来た時、改めて獣王国全体の意思として神聖ネフィス教国に協力を依頼しようと考えております」


 グリューンは少し考えて言った。


「なるほどな・・・移住者を増やしたのは、獣王国に情を沸かせるためか?考えたものだな?」

「騙すようなことをして、申し訳ありません」


 ルナールはかなりの食わせ者だ。

 ゴブリンたちは困っている住民を見捨てることができない。その習性を上手く利用したようだ。この町もそうだが、多くの集落に獣人たちが溶け込んでいる。その獣人たちが「助けてほしい」と言えば、協力しないわけにはいかない。


「我らも人間に領土を奪われた経験がある。獣王国の事情は理解できるが・・・」

「もし、獣王国が滅びれば、次は神聖ネフィス教国です。そしてドワーフ王国も手中に入れようと動きます。ドワーフ王国にも協力を依頼して、同盟を組めば人間どもの侵攻を阻止できます。決して悪い話ではないかと・・・」


 グリューンは言う。


「すぐに回答はできん。ドワンド王や他の集落の長たちと協議をする」

「お願いいたします。まだ、勇者が誕生したという情報は得ていませんからね」

「ところで、勇者とはどのような奴なのだ?」

「勇者とは異界より招かれた存在と噂されております。チートという能力を神から授かったようですが、往々にして、人間性は破綻しており、前回の勇者は人間たちの中にも毛嫌いする者も多かったようです」


 勇者って、もしかして転生者?

 でも違うか・・・ネフィス様がそんなことをするはずないしね・・・


 ★★★


 ルナールを退出させた後、私たちだけで話し合いをすることになった。

 説明を聞いたオークのオークナさんが激怒する。


「キツネ野郎め!!調子のいいことを言いやがって!!フックス、お前も知ってたのかい?」

「は、はい・・・聞いたのは建国際の3日前でした。ここに来た時は、何も知らされておりませんでした」

「誰が信じるんだい?」


 グリューンが諫める。


「オークナ、その辺にしておけ。今更、獣人たちに出て行けとは言えん。それでこれからどうするかだが・・・」


 結局、今までどおり、移住者を受け入れることになった。

 変ったことは、戦争に巻き込まれる可能性があることから、軍備を強化することになってしまった。平和主義の私は複雑な心境だけどね。


「フリン、武器や防具の増産を頼む。ダーク、回復薬の製造を急いでくれ」


「了解ッス」

「分かった」


「まずは周辺の集落に説明に周ろう。そして、ドワーフ王国にもな」


 フリンが言う。


「ドワーフ王国に行くなら、ドワンナに何か作らそうと思うッス。そうしないとドワンナはドワーフ王国に帰れないッスからね。ということで聖女様。よろしくお願いするッス」


「う、うん・・・」


 そういえば、ドワンナにアイデアを出すという話だったが、すっかり忘れていた。

 私は、それから必死で考えるのだった。


 私は技術者じゃないから、そんなにポンポンとアイデアなんて出せないよ。

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