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緑の聖女は転生先を間違えられたようです~植物スキルで、それなりに楽しくスローライフをしてます  作者: 楊楊
第二章 移住者が増えました

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21 移住者が増えました

 ケンタウロスたちは真面目に働いた。

 他の集落でも評判がよく、助かっているそうだ。刑期を短縮してはどうかという話も出ているくらいだ。そして、集落で一番恩恵を受けているのはソマリたちだろう。


「輸送革命だニャ。強いし、速いニャ。正規の商会員として4人雇用することにしたニャ」


 下半身が馬だから、馬以上に速いし、パワーがある。

 それに意思疎通も取れるから、商会員としては適任だろう。今回、刑罰として強制労働を課されているのは、戦闘に参加した者だけだ。私たちの集落に居住している20人中10人が対象者だ。どんなに頑張ってもただ働きなので、一部のゴブリンたちから少額でも給料をあげてほしいと嘆願が来ている。

 しかし、グリューンは首を縦に振らなかった。


「法は法だ。何とかしてやりたいが、そうはいかん」


 そこで私は、一計を案ずることにした。

 刑罰を科されていないケンタウロスを社長にして、運送会社兼タクシー会社を設立させた。そこで刑罰を受けている者を雇用してもらう。ケンタウロスは一族全てが家族という考えなので、自分が頑張れば家族が助かると思い、更に懸命に働いた。直接自分に給料が入らなくても、会社が儲かるから結局は同じことだ。ちょっとした抜け道だが、これはグリューンも納得してくれた。

 因みに神殿のお賽銭から出資しているので、私たちにも定期的に収入が入ってくるのだ。


 今日も集落では荷車を引いたケンタウロスをよく見かける。

 人を乗せたり、荷物を運んだり、皆楽しそうだ。偶々タリアスと会ったので、話を聞いた。


「これが刑罰とは思えんな。仕事は我らにとっては天職だ。これで感謝されたり、金が貰えるとは信じられん。それに人参も食べ放題だしな」

「じゃあ、ネフィス様に感謝ですね」

「そうだな。もちろん、聖女殿や集落の皆にも感謝している。それで相談なのだが・・・」


 タリアスの相談というのは、ケンタウロス族が懇意にしていた種族を移民として受け入れてほしいとのことだった。


「私にその権限はないので、グリューンさんに相談ですね。でも大丈夫だと思いますよ」

「そうだといいんだが、ちょっと彼らは特殊でな・・・」


 受け入れてもらいたい種族はアラクネ族とラミア族らしい。

 アラクネは下半身が蜘蛛で、ラミアは下半身が蛇のようだ。


「共に人間から迫害を受けていた。他種族との交流がほとんどない我らケンタウロスも、彼らとは交流を持っていた。彼らも困っているようだからな」

「そうですね・・・まずは少人数を受け入れて、様子を見るのがいいかもしれませんね。どちらにしても、グリューンさんに相談しましょう」


 私はタリアスと一緒に領主館に向かった。



 ★★★


 領主館に着くと言い争う声が聞こえてきた。

 オークナさんが、ソマリの上司で商会長のシャムに怒鳴っていた。


「移住者を受け入れてくれだって!?ふざけるんじゃないよ!!」

「そこを何とか頼むニャ!!本当に困っているのニャ」

「私たちオークやリザードマンにした仕打ちを忘れたのかい?」

「それは仕方なかったのニャ・・・猫人族は強くないし、そうするしか・・・」

「猫人族はまだいい。でも狐人族は許せないよ」


 私たちに気づいたグリューンが声を掛けてくる。


「獣王国で内戦が起こりそうだから、避難民を受け入れてくれという話だ。こちらも人手不足だから、受け入れてもいいとは思っているのだが・・・」

「問題があるんですね?」

「うむ・・・」


 詳しく聞くと、現在獣王国では、虎人族と獅子族との間で激しい権力闘争が繰り広げられているそうで、いつ内戦に発展してもおかしくないそうだ。

 それで主に移住を希望しているのは、虎人族と獅子族から、どちらの派閥に入るかを迫られている猫人族と栗鼠人族、失脚した餓狼族の派閥に入っていた狐人族とコボルト族らしい。


「事情は分かりました。それでなぜ、オークナさんはあんなに怒っていたんですか?」

「それは・・・」


 グリューンが話そうとしたところ、オークナさんが遮った。


「私から話すよ。獣王国は元々虎人族と獅子族、それに失脚した餓狼族で派遣を争っていたんだ。私たちオークもリザードマンも戦闘力は高いけど、個人主義だからそういったことに興味がないんだ。それでも『ウチの派閥に入らないか?』とはよく誘われたけどね」


 そこでオークナさんが少し、言葉を切った。


「以前のこの集落程じゃないけど、獣王国も農業生産が落ち、食料が足りなくなってきていたのよ。だったら、食い扶持を減らそうという話になってね。それで、まとまりのない私たちが狙われたのさ。モフモフ至上主義というモフモフした種族以外は排斥する制度が出来ちまった。オーク、リザードマン、フロッグ族なんかが煽りを食って、追い出されたのさ」


「それでなぜ、狐人族を許さないという話になるのですか?」


「それを主導したのが狐人族なんだ。猫人族や栗鼠人族、コボルト族に恨みがないわけじゃない。助けてくれなかったからね。でも彼らは弱い。言いなりになるしかなかった事情は理解できるよ。それにシャムたちが儲けを度外視して、この周辺の集落に援助をしてくれていたのは知っている。だから猫人族をそこまで恨んじゃいないよ」


 シャムが言う。


「最初はそうだったけど、今はかなり儲けているニャ。それと、栗鼠人族もコボルト族もオークやリザードマンたちに悪いと思っていて、格安で食料を提供してくれていたニャ」

「そうかい?それは知らなかった。でもね、狐人族は許せない。モフモフ至上主義を主導したからね」


 悩んだグリューンが言う。


「すぐに結論は出せんな・・・それで聖女殿、相談があるということだが話を聞こう。こちらの問題は根が深いからな」

「それが・・・こっちも同じようなことで・・・」


 タリアスが説明する。

 悩んだグリューンが言う。


「何かいい方法はないか?聖女殿」

「そうですね・・・いきなり移民を大量に受け入れては混乱が起きると思います。ですので、各種族から少人数をまず受け入れ、様子を見てはいかがでしょうか?」

「そうだな・・・シャム、タリアス、それでよいか?」


「もちろんニャ」

「それで頼む」


 こうして、我が集落は新たな移民を受け入れることになったのだった。

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