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46 前世庶民のはずなのだが

試行錯誤を重ね、ようやく大丈夫だと思える出来栄えになったのは昨日、つまり真冬くんの誕生日の前日だった。

傷まないように軽くカーラに魔法をかけてもらい、綺麗にラッピングして、昨日買ったガラスでできた万年筆と一緒に包んである。


そしてラッピングし終わったと同時に送られてきたドレス。もうこれには目玉が落ちまくり。

アストランティア家(使用人を含む)一同目を丸くさせ、本気で返したほうがいいか迷ったくらいだ。


マーメイドドレスで、胸元はバックリ開いてるにも関わらず上品さは損なっていない。むしろ際立っている。嫌にならないくらいの絶妙な刺繍はどれも繊密で、一つ一つ丁寧に施されている。

青に近い銀色で、裾の方の光っているのは……すっと目をそらしたくなる代物。セットで髪飾りもついているらしく、この髪飾りに合わせて髪をすべてアップにしてもらった。

髪飾りは(かんざし)のような差し込むタイプで、編み込みの切れ目に入れると動くたびに揺れ、より一層存在感を放つ。


いつの間にサイズを測ったんだろうね。ドレスはミラーさんが作ってくれたのなら前も作ってくれてるから分かるけど、口のサイズとか一言も喋ってないし。

何でこんなにぴったりなの? 私の足のサイズって普通の人よりも少し小さいから、だいたい特注じゃないと入んないのに……。こうもぴったりなのって今までに履いたことないかもしれない。

なんだか私しか履けない靴ってシンデレラみたい。


とまあこういう感じで全身真冬くんチョイスのコーデに包まれて見たわけですけれども……圧巻の一言に限る。


この一式、いつから注文してたんだろう。生地も最上級の素材使ってるし、デザインも胸元開いてるシリーズってなかなか出ないから珍しい。

オーダーメイドなのは間違いないとして、多分、いや絶対お値段聞いたら目眩を起こしそう。

私、一応伯爵令嬢だけど金銭感覚はザ・庶民だから。前世庶民の中の庶民だったし。

あれ? 真冬くんも庶民だったはずなのだが……?

真冬くんは……庶民ではなかったのかもしれない。そういうことにしておこう。感覚的には公爵令息としての金銭感覚感覚のほうが近いのかも。


「お嬢様、お綺麗でございます」


「ありがとう、カーラ。ドレスに着られてる感ない?」


「いえいえ!! フラジスト様はお嬢様のことをよく分かっておられますね。このデザインはより一層お嬢様を際立たせますが、なかなか手を出すのが難しいデザインですので……」


なるほど。確かに自分からはこんなバッサリ胸元が開いたような服は着ない。ていうか来てる人が少ないからほとんど見かけない。

ただ一つ問題があるとすれば


「でも……は、恥ずかしくない?」


そうなのだ。


胸元バッサリデザインは良しとして、いざ来てみると、ね? 胸ない方ではないけどなかなかこういうの着ないし、似合ってると言われても肌露出多めは普通に恥ずかしい。


ねだってブラウスか何か羽織らせてもらおうか。でもこの季節、羽織ってたら羽織ってたで暑いし……根本的な問題、自分が持っているものの中でこの服に合うものはない。

……仕方ない、気合で乗り切るしかないか……。


「お嬢様、フラジスト様がお見えです」


「すぐ出る!!」


本当に迎えに来たのね……。

一応真冬くんって今日の主役のはずなんだけど……。


◇◇◇


「お、おまたせ!!」


最後の仕上げをして急いで外へ出る。

いつもとは少し違う礼服で一瞬美しすぎて目が潰れるかと思ったけど、よく見……なくても私が来ているドレスとペアだった。

ただごりごりペアルックでーす感は出さずに、あくまで静かに。「ああ、なるほど」くらいでおさまっているのは流石だと思う。


私が一人で感心していると、さっきまで放心状態だった真冬くんが戻ってきた。


「……エリー……。似合ってる、けど……」


可愛すぎて皆の前に出したくない、変な虫がよってくるなどという言葉はエリーナには届いておらず、エリーナは何かぶつぶつ独り言を言っているようにしか聞こえていなかった。


「? どうしたの? 私何かおかしいところが……は!! やっぱり胸が……足りない?」


「いや!! 全然!! 大丈夫!! むしろこのデザインにした自分を少し後悔している……」


……本当に大丈夫なのかな……。


「ねえ、真冬くん。私達の服ってさ、ペアにしてあるんでしょ? 婚約者じゃない私なんかが真冬くんの隣に並んでても大丈夫なの?」


一番の心配はそこだよね……。

今、私がこんなことしてて後々真冬くんの婚約者選びのときなんかに影響しないのかな。やっぱり真冬くんの伴侶となると、私も仲良くしたいし……。


「そんなこと、全く問題ない。今回は僕の横で笑ってくれてるだけでいいから」


横にいて……? 

この発言は今度は壁の花になることは許さないよ的なことを遠回しに言ってる……? 

ずっと真冬くんの横にいるって、、て、真冬くん、主役じゃん!?

私、最後まで生きてられるかな……。


「さ、それじゃあ行こうか」


爽やかな笑顔で言い放つ。


ううっ……。とりあえず死なないように頑張ろう……。

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