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37 やはり似た者同士の二人

やってきました出発の日。

毎年恒例ということで持っていくものや準備するものは大体決まっているため、それほど慌ただしくもない。



大人たちと私達は別れて乗るため、馬車の中ではウィルとふたりきりだ。なので、お母様たちが乗っている馬車が先頭、その後ろに私達の乗っている馬車ってな感じで。

荷物は別の後ろからついてくる馬車に、使用人はその後ろから。合計6つの馬車で向かう。


去年よりも1つ増えてるのはカルミア家の使用人が少し増えているからだと思う。

連れて行かなくても向こうの別荘には何人かいるため大丈夫なのだが、やっぱりいつも一緒にいる人がいいということでこちらからも何人かついてきてもらっている。カーラとルピアとか。


中に入り腰掛けると、ふかふかの椅子が体を支えてくれた。なんせカルミア家の馬車だからね。公爵家というのはすごいのだよ。

道のり的にはざっと半日くらいかかるけど酔ったことはない。このふかふかにプラスして私の周りにはいつも4つくらい大きなクッションがおいてある。ウィルの周りにはないのに私の周りだけとは……いささか謎であるが。


ちなみに、何故大人たちの馬車と私達の馬車が別れているのかというと、理由は単純。お母様同士のお喋りが盛り上がりすぎるからだ。

はじめは6人全員で同じ馬車に乗っていたのだけれど、お母様同士の会話が弾みに弾み。まだ子供だった私達は半日という時間はそれは長く、つく頃には疲れ果てて一日は起き上がれなかった。

流石に今はそういうことは起こらないと思うけど、ずっと二人だったので今更変えるのもなあというわけでこの状態に至ります。

お父様同士は一応お母様達を抑える係ね。実際はお父様同士も会話がはずんでいるらしいから、親が乗っている馬車は馬鹿みたいにうるさいのだそう。(使用人情報)




「今年もこの季節が来たな」


「なんだか一年って早いねえ。だって今年でウィル成人でしょ?」


「成人、なあ……」


ウィルは今17歳。誕生日は12月と遅いのだけれど。

成人って言っても何か変わるわけではないけど気持ち的にね。爵位もまだクリス様がお元気だから当分は大丈夫だと思うし。強いて言うならば堂々とお酒が飲めるっているくらい?


お、馬車が動き出したようだ。これから3時間後に一度休憩で止まることになっている。


「あ、そういえばまふ……フラジスト様も来るんだって。えーと……確か明日には出るって言ってたから明後日くらいにはつくのかな」


「は!? フラジストも来るのかよ!!?」


そんな露骨に嫌そうな顔しないの。真冬くんも同じ様な顔してたな、確か。この似た者同士め!


「でも……なんでお前がそんなこと知ってるんだ?」


「? ああ、私週2から3くらいのペースで魔法師団本部に顔だしてるから」


「なんでだよ!?」


あり? ウィルは知らなかったのかな。言ったはずだけど……あ、色々あって言いそびれてたんだ。


「でもフラジストに会うだけなら普通に追い出されるだろ? あそこ団員同士意外、あの塔に絶対入れないようにしてるからさ」


え!? それは初耳……。

私何で一番初めのときに入れたんだろう。……あれかな、真冬くんに連れられてきたからかな。一応真冬くん、師団長だから。


「フラジスト様についていったからじゃない? お茶とお茶菓子も出してくれるよ。私が好きなものばっかり」


「まじかよ……」


私にとって普通だと思っていたことがウィルにとっては衝撃だったらしい。魔法師団ってなんだかんだ言って謎に包まれてるから。

初めは私の頭の中での魔法師団って給料が結構いいということくらいしか認識がなかったから……。

……それは私だけかな。



「3日前にそろそろ魔法石を完成させようと思って行ってたの。そのときついでにお話をね」


「魔法石ってあの貴族でもそうそう買えないような値段のあれか?」


「そう!! でも改良に改良を重ねてついに!! 普通の石から魔法石ができるようになったのです!!」


なんだか楽しくなってきてついつい大きな声になってしまった。でもこれくらい主張してもいいと思う。

大発見だよ!? 前世に置き換えたらノーベル賞くらいは軽く取れるよ!?


「…………。??」


がしかし、ウィルには伝わらなかったみたいだ。

ええ……!! 何で!? 物凄くわかりやすく説明したよね!?


今度は区切って言ってみる。


「だから! 普通の石から! 魔法石に! できるように! なったの!」


これで分かるだろ。


「……いや、言っている言葉は理解できるんだ。意味が理解できない」


なんだと!? どう説明したらいいんだ? これ以上はないほどにわかりやすかったと思うけど。


「えーと……普通の石があるでしょ? そこら辺に転がってるの。それに魔法を加えていったら魔法石になるの」


「そんなことができたらとうの昔にやっている」


「普通に加えるだけじゃだめだよ。やり方があるの。で、それどころかフラジスト様と見つけたからこれからは魔法石も安価な値段になるよ」


ウィルは再び考え込んでいる。


…………。



…………………。



大丈夫か?


心配しかけたときにウィルが盛大なため息を吐いて顔を上げた。


「……よくわからんが……とんでもないものを発見したらしいな……」




……なるほど。第三者の意見はこうみたいですぜ、真冬くん。

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