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34 小さな火種でも事は大きく

アナスタシア様にかけられたと思ったジュースは、私に届く前に凍りついて(・・・・・)派手な音を立てながら地面へ落ちた。


……ジュースってこんな一瞬で凍るものだったっけ……?


と、思った瞬間今度は()になってなくなった。


……液体って灰になるっけ……?


………………。



「…………ウィル……、真冬くん…………?」



そう、私の目の前、ご令嬢方の後ろには表情が読めないウィルが。たぶん私の後ろには真冬くんがいるのだろう。

あの投げかけられた一瞬で凍らせることができるのは、ピカイチの反射神経と魔力を持つ真冬くんくらいにしかできない技だ。

ウィルも液体燃やせるくらいの火力を出せるとは、、相当な魔力を持ってるのだろう。


すごーい!! っと言いたいところなのだが……状況が状況なだけに何も思えず……。

むしろ少しウィルが燃やすのが遅かったのか、無駄に大きな音がしたため、ホールからあまり見えないになっているにも関わらず、多くの視線を集めていた。


ホールからは見えないのじゃない。見えにくいだけなのだ。


が、今この場で周りの視線を気にしているのは私一人のみ。何故かって? 

私の位置からじゃ真冬くんのことは見えないけど、ウィルとご令嬢方の事は見えるのですね? 


ウィルは怒って顔が真っ赤になるの通り越したのかわからないけど全くの無表情。むしろいつも周りが一緒に明るくなるくらいの爽やかな笑顔を知ってるから余計に怖い。


で、ご令嬢方の顔は真っ青通り越して真っ白。その視線は私じゃなくて私の頭の上の方、真冬くんにそそがれていた。

真冬くん、一体どんな顔しているのだろうか。まあ、ご令嬢方見てたらなんとなく予想はつくけどね。


前世にも一度だけ真冬くんがガチギレしてるのを見たことがある。

何が原因だったかわからないねど、男子生徒と揉めたらしくてギャラリーも、真冬くんのその状態を恐れていた。

暴れたわけじゃないけどなんかこう……本能的に殺られる!! って囁かれるみたいな感じ? 上手く言えないけど……。


その場はなんとか先生が3人がかりで収まったんだけど、それ以来相手の男子生徒は見なくなっちゃった。

謎である。


真冬くん、本当に怒ってると得たいのしれない笑みに変わるんだよ。目はもちろんのこと一切笑ってない。顔自体すごく整ってるから余計に作り物めいてしまう。

今もそんな表情(かお)をしているのだろうか……。




「…………何も、、かかってない? すぐに凍らせたんだけど飛沫が飛び散ってるかもしれないから」


反射的に後ろを振り返った際に見た真冬くんの顔はいつもの真冬くんだった。


「あ、、うん。大丈夫。何も、かかってない」


もしかけられていたとしても大したことないから大丈夫だけど……。このタイミングで来るとはアナスタシア様御一行もなんて運がついてない……。

いじめ? に入るのだろうかこれは。まあそこらへんはわからないけど、彼女たちが少し不憫に思えてきた。


「おい、フラジスト。こいつらどうするんだ。どうせお前のことだからこのままでは帰らないだろう」


ウィルが無表情のまま言う。

うん。お前のことだからって言うけどウィルもその中にたぶん入ると思うから。


「主犯はお前か。名前は確か……アナスタシアだったか。言い訳があるのなら言ってみろ。最後に聞いてやる」


いやいや、ちょい待ちなさい!! 最後にってなに!? これからもう表舞台出られないってこと!? たかがこんなことでそれは流石にないだろう。

しかも言い訳も何もアナスタシア今にも倒れそうじゃない。後のご令嬢とか魂ここにあらずみたいなことになってるけど。


流石にまずいと思い、言葉を紡ぐ。


「真冬くん!! 私は大丈夫!! それにこんな些細なことで私が気に病むと思う? 少し約束の場所から離れてしまっただけだから!! それにウィルも!」


それでも駄目だと言うようにまだ真冬くんは笑ったままだ。


どうする、私!!


このままでは、

真冬くんとウィルのせいでけが人、、もしかしたら死人まで出るかもしれない。死人は言い過ぎか……いや二人なら充分にありえる。

たかがちっちゃな喧嘩で死人が出るとか大騒ぎだ。

いつの間にかギャラリー倍以上に増えてるし!!


はっ!! 真冬くんが駄目ならウィルはどうだろうか!


「ウィル!! 私はなにもないからね! 何もしなくて大丈夫だよ!」


「ああ、リーナは何もしなくていい。俺とフラジストで何とかするからリーナは少し離れてて」


こっちも駄目だー!!!

ああ、ああ、どんどん前と後の殺気が大きくなってきてるよ……!! もう怖くてアナスタシア様御一行動けなくなってるし!!


ここは……仕方ない。

令嬢としてあるまじき行為だけど状況がこうだから後から誰にも咎められないはず!!


あ、フラン兄!! とりあえず視線で伝えておく。伝わったかはわからないが。


いざ!!


「真冬くん!! ウィル!!」


思いっきり二人に抱きついた。少し離れていたため一斉には出来なかったけど。

二人が少し固まったところで…… 


「もう帰るよ!!」


二人の手を引っ張って馬車を止めている場所へと向かう。

周りは何が起きているのかまだわからない様子で、誰も動かない。


細かいことは後だ。何なら家の両親とウィルの両親に任せておけば何とかなるだろう。


とりあえず……撤収!!

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