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21 これは……!!

「これは……!!」


スピーカーだ。

どこの過程にも絶対に一台はある、小型の音楽を聴くためのやつじゃなくて学校にあるような大きいやつ。


他にも色々と周りに転がっているが、ライトや電子レンジといった、前世でもよく見たことのあるやつばかりだった。

真冬くんの計り知れない発想力ってもしかして……。


「ふふ、そうだよ。昔の知識を引っ張り出してきてるだけだからね」


いや、何でもないことみたいに言うけど充分すごいことだからね!? だってそこの机の上に広げてある設計図みたいなやつなんかもたぶん真冬くんの手書きだろうし……。どんなものかは分かっていても実際に作るとなると話は違ってくる。


「いや、でもすごいと思う……」


呆気にとられてスピーカーを眺めていると、ありがとうと小さく笑み、そして周りがまたざわついた。……ますます真冬くんのここでのキャラがわからなくなってきているのだが……。


「今日呼ばれたのはこのスピーカーが大音量になりすぎて魔法師団員達の耳が耐えられなかったからなんだけど、なかなか音量調節が上手く行かなくて。エリーなら何か分かるんじゃないかなと思ったんだけど……」


「師団長……それは……」


と、若い男がいくらなんでもご令嬢には……と言いたげな雰囲気で真冬くんに話しかける。

そりゃそうだな。皆わからないで苦戦してるのにこんな初めてみたただの令嬢ごときが分かるはずないと。その説はごもっともです。


「五月蝿い」


氷結の貴公子降臨……!!


「ですが、まだ一般人にすぎないご令嬢に見せてもいいものなのかと……。まだこれは公には公開されてないので……」


さっきとは違った、40くらいのおじさんが恐る恐る尋ねてきた。

えっ!? 公に公開されてないものを私になんかに見せてもいいのか……!? だ、駄目な気がするぞ……?


「大丈夫だ。どうせすぐに公開する。それよりも今はこの解決策を見つけるほうが重用なことじゃないのか?」


それは……と団員のみんなが口籠った。

もしかして私、責任重大……?

緊張と不安でぷるぷるしていると、後ろから真冬くんの優しい声が聞こえた。


「大丈夫だよ。もし何も思いつかなくても誰もエリーを責めない。むしろ自分たちがわからないのに責めるなんておかしな話だしね。それにエリーは音楽を少しやっていたから、もしかしてスピーカーみたいなものを使ったことがあるんじゃないかって思って」


確かに私は趣味で軽音なんかもやってたけど、、スピーカーなんてそんなに大きいのは触らないからなあ。両手で持つことができるくらいのものだ。でもせっかく頼ってくれてるんだし、ここでのわからないとか言っても申し訳ない。

前世のスピーカーに関する記憶を掘り起こしてみる。


「音って確かエネルギーだったよね……。だったら純粋に電流を調節して流してみるとか?」


「電流は流すだけだったら調節できないんだよ。確かに雷魔法で似たようなものはできるけど調節が難しすぎて大きくなりすぎてしまうから、僕しか扱えないことが問題なんだ」


「なるほど……。じゃあさ、電流じゃなくて風のほうで試してみたら?」


「風?」


「音って空気の振動で伝わってるでしょ? 音量がそんなにいらないんだったら遠くまで聞こえるものを作っちゃえばいいじゃん。風魔法を広範囲にわたらせて、それで伝わらせるの」


ほんとにこんなのでいいのだろうか……。

知識的には中学校の理科で習うものばかりだけど、私にはこれくらいしかわからない……。ていうかこれくらいのことは真冬くんも考えていそうだけどな。


「なるほど、別に音量はいらないけど今範囲にわたらせたいとすればそうすればいいのか……!! ありがとうとエリー! ずっと電流の方に考えが偏っていたから風魔法のことは思い浮かばなかったよ。ちょっと試してみるね」


お役に立てて何よりです。

周りもなるほどというようにそれぞれが動き始めた。これは……私お邪魔なやつだな。


「真冬くん。私邪魔になるからそろそろ帰るね」


忙しそうになった真冬くんに声をかける。流石に何も言わずに出ていくのは良くないだろうからな。


「ごめんね……。こんなはずじゃなかったんだけど、これ、明後日中に国に納品しなきゃいけないらしいから急いで作らないと。本当は僕が送りたいんだけどステラに任せるから何かあったら言ってね。ステラ、頼んだぞ」


「はい」


どこから現れた……!! と思ったけどどうやらずっと後ろにいたらしい。思考飛ばしてたせいで気づかなかった……。


「じゃあ家まで送るわね」


そうステラさんに手をひかれて外に出る。

外に出る前に皆さんに挨拶をすると皆揃って「ありがとうとございましたっっ!!」と言われたときはちょっとびっくりしたけど。




「それにしても……フラジスト様と対等に会話できる人なんて始めてみたわ……」


ウィスダリア家の馬車に揺られながらステラさんが呟く。

初めはステラさんがこんな馬車に私なんかが乗るなんてって躊躇っていたが、私を最後まで送り届けなければいけないらしく恐る恐る腰をおろしていた。なんか申し訳ない……。


「でももっと魔法師団の中には賢い人もいるんじゃないですか?」


「そうね……皆ありえないくらい難しい試験通って入ってきてるから、普通の人よりかは知識も想像力もあると思うんだけど……フラジスト様の話は誰も理解出来ないのよ。でも彼は何を当たり前なっていう顔で言うでしょ? だから聞くに聞けなくて」


確かに、前世では当たり前で、私くらいの年になると誰でも知っているような常識がこちらの世界では大発見になる。

真冬くん、今日の様子を見た限り何もいわなさそうだから皆苦労してのかな……。


「勿論、今日の貴方とフラジスト様の話も誰も分からなかったわ」


よければ原理を教えてほしいと言われ、自分の知っている範囲だけを教える。

そうこうしている間に家についたみたいで、ステラさんとはまたお話しましょうと一言残し、爽快にさっていく。


色々新しい発見があったなーと思いながら、家の扉を開いた。


スピーカーの原理は本当にこれでいいのかと不安になっています。

調べたけどよく分からなかった……。


あと、納品が明後日にも関わらず、真冬くんが休みを取っていたのは本人が締切を諦めていたからです。

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