第二話
きっとぼくらはそれを知っていたはずだった。
鳥の鳴き声が聞こえた気がした。
ウェラの耳は他の者たちのようにピンと立っているわけではない。それでも他の者たちに負けず劣らず耳は良いし、目も良かった。
ウェラの意識はふわふわと目の前を漂う蝶々からすぐに、鳴き声がした方へと移っていた。はるか遠くで、何かが宙を舞っているのが確かに見えた。
それがウェラの興味を惹いたのはまず、鳴き声が随分と長く続いていたから。
続いてよく見ればそれが飛んでいるのではなく、落下していることに気が付いたから。空を飛んで鳴き声を上げるものといえば、ウェラには鳥しか思い浮かばないが、鳥が落ちてくるのは珍しい。ウェラは意識だけではなく、身体もそれが落ちてくるところへと引き寄せられていた。
ふらふらと歩きだしたウェラは、次第にその歩を早めた。長く垂れ下がった耳を振り乱し、遂には前脚をついて本気で駆け出していた。
鳥だと思ったそれは意外と大きくて、翼が生えてなくて、見れば見るほどどこかウェラ自身に似ているようなのだ。そしてウェラはもちろん、空を飛ぶことはできない。
落ちるーー
それはもう、曲げようのない決定事項なのだろう。駆け付けたところで何ができるでもない。それでもウェラは全力で駆けずにはいられなかった。四つの脚が地面を蹴る音は、今までに聞いたことがないくらい軽かった。
ウェラは以前、高い木のてっぺんから落っこちたことがある。見慣れた縄張りが、高く登るほどに見慣れない様相を見せるものだから、つい、嬉しくなって行き過ぎてしまった。てっぺんの細枝がぽっきりと折れてしまい、そこに体重を預けていたウェラは身体中のあちこちをぶつけながら地面にまで落ちてしまったのだった。あの時は痛くて痛くて、みっともなくわんわん泣いたのを覚えている。
あれが一体どれほどの高さから落ちてきているのか、ウェラには分からないが、あの時自分が落ちた木の高さとは比べようもないのは分かる。走りながらウェラは、自分の胸がきゅうっと締め付けられるのを感じた。走り過ぎて疲れた時の息苦しさとは違う。群れからはぐれてしまったことに気付いた時の苦しさの方がよっぽど近かった。
緩い坂を一息に駆け上ったところでウェラは、思わず両手で目を覆い、地面に突っ伏してしまった。
「ひうぁっ!?」
叫ぶのと息を吸うのとが一緒になって、変な声が出た。
全力で駆けてきたけれど、やっぱり間に合わなかった。
ずっとウェラの目は落ちてくるそれに釘付けだったが、墜落の瞬間は流石に見ていられなかった。まるでそれが受ける痛みが自分にも襲い掛かってくるようで、身体が竦んだ。
ほとんど間を置かずに、大きな魚が跳ねたような音がして、崖の下には薄い虹がかかったのだった。
正直に言います。
これを書いている時点でウェラちゃんのビジュアルはまだほとんど決まっていません。
長いドロップイヤー、ケモ度かなり高め、しっぽは狐系ふさふさ、爪は黒。決まってるのはここまで。
毛色とか顔の感じとか、ビジュアル的に重要なところは全然です……
というか現時点で既に自分の性癖を詰め込み過ぎて少し歪なケモっ娘になってないか心配……




