表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界恋護奇譚 〜聖女のオマケでバグ転移した私、15歳で天然最強騎士団長と偽装結婚しました〜  作者: 三多来定


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

241/242

241.次の聖女と護衛

 セイラが地球に帰還して、20日が経っていた。


 第1エラルダ国の政務棟の会議室では、次の聖女の護衛を決める会議が開かれていた。


 出席者は、代表のセタ、騎士団長のロイ、副騎士団長のリント、女性騎士団長のミコト、神官長のゼノマである。


 ゼノマはもう70歳だが、死ぬまで現役を目指しているそうだ。


「次の聖女様の護衛は、前回のように、5〜6人で聖女護衛隊をつくろうと思う。推薦するメンバーを聞こうか」

 セタはロイとミコトを見る。


「騎士団からは、ハリーとノエルを推薦するよ。引き続きだから、巡礼時の各国とのやりとりも慣れているし……」


 ロイがそこまで言ったところで、リントが、「何より、聖女様に手を出す心配がありません」と言い放つ。


 ミコトは、聖女に手を出したセタさんに言っちゃったよ! と目を泳がせる。


 セタは微笑む。


「リントは手厳しいな。女性騎士団からは?」


「は、はい! 女性騎士団からは、私とララちゃんを推薦します!」

「却下だ!」


 ミコトの推薦をリントはすぐさま却下する。


「なんでっ!? 私は異世界人だから、突然この世界に来て不安な聖女様の気持ちが分かると思うし、ララちゃんは養成所出たばっかりの14歳で聖女様と年が近くて友だちになれると思う……」


「お前は国家特別人物で通常護衛付きなんだよ! あと、ララに護衛が務まる訳がない!」

 リントは頭を抱えて叫ぶ。


 実は、ララはリントの年の離れた妹なのだ。

 リントに似て、身のこなしが軽く、伸びしろが大きい。

 ミコトのイチオシ団員である。


「統括と女性騎士団長で話を合わせてから来て欲しいなぁ……」

 セタはニヤリとリントを見る。


「俺は一期生から選出しろって言いました!」

 

 リントが叫んだその時だった。

 

 会議室のドアが、ドンドンドンと激しくノックされた。


「ん? この場面、前にもあったような……」

 ロイは呟きながら立ち上がり、ドアを開ける。


 ドアの外側にいたのは、若い男性の神官で、息をハァハァと切らしている。


「せ、聖女様が、し、召喚されて……」

「何っ!? 今回も早いな!」

 ゼノマはガタンと立ち上がる。


「そ、それが、大変なんです!」

 

 若い神官の「大変」という言葉に、会議室の面々は、「まさか2人!?」と叫ぶ。


「そ、そうじゃなくて、……聖女様が、聖女様なんです!」





 ミコトはロイに抱えられて、教会に滑り込んだ。


 教会の祭壇の前に、白い祈祷服を着たハニーブロンドの女性が立っている。


 女性はくるりと振り向くと、「やっほー! ミコちゃん!」と手を振った。


「セ、セイラ……!」

 ミコトはロイから飛び降りると、その女性、セイラに飛びついた。


「うわ! もう泣いてるよ!」

「だって、だってぇ……」


 ロイは、わんわん泣くミコトと冷静なセイラを見て、意味は全く分からなかったが、心から良かったと思っていた。


 セイラがいなくなった後のミコトは気丈に振る舞っていたが、あきらかに気落ちしていた。

 その姿は、10年前のセタを失ったロイ自身を彷彿とさせたからだ。


 教会の入り口に、セタとリントが到着して、セイラを見るなり、驚愕する。


「ミコちゃん、いろいろ説明しなくちゃいけないことがあるんだ」

 セイラは、ミコトの肩越しのセタとロイとリントの顔を見る。


 セタは全てを察したかのように頷き、神官たちに言った。


「聖女様を先程の会議室へお連れして。あと、保育施設にいるマリーを呼んできてほしい」






 セイラの説明は次の通りだった。


 10年前、ミコトを間違って体ごと転移させ戻れなくしてしまったことで、地球の神様は、この「派遣聖女」をやめたいと言っていること。


 急に聖女の派遣をやめると、エラルダは再び滅亡の危機を迎えてしまう。

 それは待ってほしいと、地球の神様をエラルダの神様とセイラで説得し、新しい聖女の選出をしないことと、セイラを最後の「派遣聖女」とすることで同意を得たということ。


「つまり、聖女が召喚されるのは、今回の私で最後ってこと。その間に、魔物対策をとって欲しいんだよね」

 

 セイラの説明に、会議室のセタとロイとリントとゼノマは神妙な面持ちになる。

 ミコトとマリーは顔を見合わせる。


「聖女様、10年で対策を取れと……」

「あ、言いそびれたけど、私今回は帰らないから、今20歳設定だから、あと50〜60年くらいかな?」


 セタの言葉を遮って、セイラは平然と「帰らない」と言う。


「ほ、本当!? セイラとずっと一緒にいられるの?」

 ミコトは笑顔で身を乗り出す。


「ミコト、良かったわね」

 マリーは微笑む。


「そっか、良かった……」

 ロイも安堵の表情を浮かべる。


「いや、話の論点はそこじゃないでしょ……」

 リントは呆れたようにミコトとロイを見る。


 セタはふふっと笑う。


「まずは良かったでいいと思う。聖女様、神への説得をありがとうございます」


「腹黒兄貴は理解が早くて助かるよー。50年ならなんとかなるでしょ? 人口も増えたし、騎士団員も冒険者も増えたんだから。あとは、魔物研究者とかいるでしょ? そっちからもやるといいって神様言ってたよ」


 セイラの言葉に、セタは「なるほどね」と呟く。


「あっ、第5の国家特別人物が、『魔物研究者』の3人兄弟だった! ね、ロイ」

 ミコトは、2年前にあった「国家特別人物懇親会」を思い出し、ロイを見る。


「ん? そうだったかも……?」

 ロイは目を逸らして曖昧に答える。


 これは全く覚えていないな、とロイ以外の全員が溜息をつく。


「早速、エラルダ全体で対策会議を開くとするか。聖女様、最初の1回は出席していただけますか?」


「もちろんだよ。この件に関しては、聖女は全面協力することが神様たちとの約束だからね! あ、約束といえばだけど……」

 セイラはミコトを真っ直ぐ見た。


「大パパと琴ママに、ミコちゃんの事、ちゃんと伝えたよ!」


 セイラの明るい笑顔を見て、ミコトはホッとしつつも、表情を曇らせた。


「セイラ、ありがとう……。あの、パパとママ、何か言ってた……?」

「うん、こっちに来るって!」


 会議室がしんとなる。


「……え? 来るって、どういうこと……?」

 ミコトは震える声でセイラに尋ねる。


「今回は私の転移だけで精一杯だったんだけど、次の転移の準備が出来たら、大パパと琴ママが一緒に転移してくる予定なんだよ。まあ、ミコちゃんみたいに体ごとじゃないけど、2人はそれでいいって、孫に会えるって張り切ってたよー」


 え!?

 セイラみたいに魂だけで来るってこと?

 体は入れ物?

 ていうか、この話、パパとママは信じたの?


「ミコト、良かったね!」

 ロイはミコトに笑顔を向ける。


「あ、うん、良かった……」


 ロイの笑顔を見てミコトは、これは単純に良い話なんだと理解した。


「うん! 良かった! セイラありがとう!」


 笑顔のミコトに、セイラは納得したように頷く。


「どういたしまして! そんでさぁ、私の護衛なんだけど……」


 ミコトはガタンと席を立った。


「ハイ! 私、ミコトが護衛をやります!」


「10年前と同じだなぁ……」

 

 ロイは懐かしい思いで、呟いたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ