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異世界恋護奇譚 〜聖女のオマケでバグ転移した私、15歳で天然最強騎士団長と偽装結婚しました〜  作者: 三多来定


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238/242

238.重大発表後

 ミコトとロイのガーデンウェディング後、ミコトの妊娠は瞬く間に各国に知れ渡ることになった。

 当日、雇っていた人たちが広めてしまったらしい。


 もともと殆どなかった「治療依頼」も、法律に照らし合わせ、休止となった。


 ミコトの護衛も厳戒態勢をしくことになり、聖女の部屋にいることが多いミコトのために、聖女の部屋の窓は、人が通れないほどの大きさに改築され、セイラは部屋が暗くなった! と文句を言っていた。


 セイラのために結成された「聖女護衛隊」は、人数を増やし、当面は、タリスと共にミコトの護衛も兼ねることになった。



「マリー……、気持ち悪い……。これ、一生続くの……?」

 つわりが始まったミコトは、聖女の部屋のソファに寝そべり、呟く。


「一生って……。人にもよるけど、私は1ヶ月くらいだったわ」

 マリーはルリを抱っこであやしながら微笑む。


「1ヶ月!? 気持ち悪いのが、1ヶ月!? 嘘でしょ!?」

 ミコトは叫んで顔を覆う。


 妊娠中も辛くて出産も激痛なんて、お母さんになるということは、とんでもないことだったのだ。


「ミコちゃん、男の子だったら、ルリちゃんと結婚させようね。2人とも男の子だったら、戦わせて勝った方で、女の子だったら、どーしようかなー」

 ベッドの上のセイラは、出産後の計画に余念がない。


「戦わせるって、何言って……」

「えー、じゃあ、アリアンって、兄弟で同じ人を好きになったらどーすんの?」


 ミコトとマリーは、セイラの発言にハッとなる。


「本当ね。今までそういうパターンはあったの?」

「え、『アリアンの記録』にはなかったけど……」


 マリーとミコトは顔を見合わせる。


「そうなったら、新章開幕だね! ルリをめぐる兄弟対決、その激しい戦いに巻き込まれて、エラルダ滅亡の危機! みたいな?」


 セイラの悪い笑顔に、ミコトは涙を浮かべる。


「わ、私のせいで、エラルダが滅亡……」

「うわ、ミコちゃん、いつもより思い込みが激しい!」

「セイラ、やめてあげて」


 マリーはソファに寝そべっているミコトの前にしゃがんで、ルリを見せる。

 可愛いルリの顔を見て、ミコトは最高の癒しを感じる。


「ルリちゃん、かわいい……」

 

 ミコトも頑張れば、こんなに可愛い赤ちゃんが産めるのだ、とルリに手を伸ばす。


「大丈夫よ、ミコト。2人とも男の子でも、ルリはどちらも相手にしないわ」

 マリーはニッコリ微笑む。


「うっ……、産まれる前にフラれた……!」

 

 ミコトは伸ばしかけた手をガックリと落とし、セイラは「マリーが一番ひどいじゃん!」と笑った。






 ロイはセタに呼び出され、政務棟の代表室に来ていた。


 代表室のローテーブルには、贈答品なのか、きらびやかな色紙で包まれた箱がたくさん置いてある。


「何これ、何かのお祝い?」

 ロイは箱を持ち上げて、代表席に座っているセタを見る。


「ああ。全てミコトちゃんへのお祝いの品だ。ちなみにお祝いの言葉を述べたいので訪問したいという手紙もこんなにきている」


 セタは机の上の手紙の束に、ポンと手を置く。


「ええっ!? まだ産まれてないのに?」

 ロイは驚きの声を上げる。


「そうだ。ある意味、失礼な話だ。だが、聖女様の大々的な妊娠発表のおかげで、こうやって(うみ)が出てくるわけだ」

 セタはニヤリと笑う。


(うみ)……」

「元々、治療依頼もガンガン断ってるから、何かキッカケが欲しいんだろうけど、甘い!」


 セタは立ち上がると、ロイを見た。


「その贈答品は、全てこちらで検査する。不審な物を送り付けてきた奴には、現物を送り返してやる。訪問希望者は俺とロイで面会してやろうじゃないか、なあ?」


「セタ兄、楽しそう……」

 ロイは苦笑して、そっと箱を置く。


「ミコトちゃんにはこの件は何も知らせるなよ? ところでどうなんだ、ミコトちゃんの具合は?」

 セタは、ロイにソファに座るようジェスチャーし、セタ自身もソファに腰掛ける。


「つわりが始まって辛そうだよ。話してる方が楽みたいで、ミコトが眠るまでずっと話してる……」

 座ろうとしていたロイは、瞬時に窓の方へ駆け寄り、窓の外にいた黒い頭巾を被った男を捕まえる。


「セタ兄、やっぱり護衛いるんじゃ……」

 ロイは黒頭巾男を気絶させて、セタを見る。


「俺より強いやつがいないのに?」

 セタは落ち着いて座ったまま、微笑む。


 そう、セタは先日騎士団に顔を出して、リントと模擬戦をやって、勝っているのだ。

 リントはものすごく悔しそうにしていて、その後も機嫌が悪かった。


「う……、まあ、ね」

「俺はいいよ。シェナに回してくれ」

「シェナさんにはすでに護衛はつけてるよ。でもシェナさんは聖女棟に毎日顔を出してるから、聖女棟に騎士団員が集結しちゃってるんだよ……」


 ミコトの護衛と聖女の護衛隊とシェナの護衛で聖女棟1階は騎士団員でいっぱいなのだ。

 タリスが「人多すぎ!」と文句を言っている。


「ああ、それなら良かった。あ、ソイツ、尋問もよろしくな」

「良かったって……、あ、じゃあキダンさんと……」


 ロイがキダンの名前を出すので、セタはふふっと笑う。


「キダンさんがいなくても尋問出来るだろう? なんだかんだ気が合ってるんだな」

「いや、気が合ってるわけじゃないけど……」


 ロイは否定しているが、キダンは第1でも優秀だが問題が多く、扱いにくい諜報員だった。

 闇組織壊滅が大きいのだろうが、ロイと関わるようになってから、態度も柔らかくなって、アレンとマリーとの関係も以前より大分マシになっている。


「とりあえず、連行するよ……」

 

 ロイは溜息をつくと、頭巾男を肩に乗せて、代表室を後にしたのだった。




 不穏な空気も、他国の企みも、ミコトは何も知ることなく、つわりが落ち着いた後は穏やかで幸せな妊娠生活を送った。


 そして、季節が二つ移り変わった6月に、無事双子を出産することになるーー。

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