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異世界恋護奇譚 〜聖女のオマケでバグ転移した私、15歳で天然最強騎士団長と偽装結婚しました〜  作者: 三多来定


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234.ガーデンウェディング①

 10月になり、少し涼しい日が多くなった頃、ミコトとロイは、新居の庭で「ガーデンウェディング」を行うことになった。


 ミコトの希望で、ロイは式典用の深緑の騎士服、ミコトは白いロングワンピースを着用し、普段に近いメイクと、ロイからもらった真珠のカチューシャと青い石の短剣モチーフのネックレスを身につけた。

 短剣も身に付けたかったが、結婚式には危ないかも……とのことで諦めた。


 ヘアメイクのウミノとネルにこの準備を手伝ってもらったが、今日は二人ともお客様枠のため、衣装の着替えはしないことになっている。


 ガーデンパーティーというと、立食が多いのだろうが、ミコトは迷う事なく着席式のパーティーを選んだ。


 アレンが前に、食事は運んでもらい落ち着いて座って食べたいと言っていたし、セイラも立食パーティーは疲れると言っていたからだ。


 新居の200平方メートルほどの庭に、テーブルと椅子を並べ、お料理はあらかじめ作っておいた分とイリスたち料理人が台所で調理する分、ケータリングの分と用意した。

 ケーキは、シェナとアサキの持ち込み分とモナに用意してもらい、カットフルーツもたくさん準備した。


 着席式だとお料理を運ぶ人員が必要だ。

 もちろん何人か雇ったが、給仕の中心はロイとミコトである。


「な、なんでロイさんとミコトが料理を運ぶんですか!?」

 

 たくさんのトレイを重ねて持つロイとそれを配るミコトを見て、リントが驚いて席を立つ。


「自分たちの結婚式だから、自分たちでやろうってことになったんだよ。あ、団員も座って! 団長命令!」


 騎士団員であるコランとハリーとノエル、怪我から復帰したソルとニアが、リントと同じように慌てて席を立とうとしている。

 団長の給仕を手伝うつもりなのだろう。


「私たち力持ちだから、2人で配ると速いんですよ!」


 ミコトがドヤ顔で言ったとおり、ロイとミコトはタッグで素速く料理を配っていく。


「マリー、知ってたよね? 騎士団長が給仕って、言い出したのは絶対ミコトだろ? 何で教えてくれないかな……」


 リントは頭を抱えて着席する。

 リントの隣の席、ルリを抱いたマリーはウフフと笑う。


「リントの寿命が縮んだら困ると思ってね」

「言わない方が縮むから……。結婚式の主役が給仕って、有り得ない……」


「ミコちゃん、配るの速いしうまいね! 国家何ちゃらを剥奪されたら、ウエイトレスやりなよー」

 マリーの隣に座っているセイラは、ミコトの動きを見て、嬉しそうだ。


「でしょ? 私もかなり向いてるなぁって! 剥奪されたらウエイトレスをやるよ」

 ミコトも嬉しそうに答える。


「剥奪される前提なんだな」

 リントの向かい側の席のアレンは、ミコトの置いた料理を平然と食べている。


「アレンさん、何でそんなに落ち着いてるんですか……」

「いや、もう、ロイのバカ行動も、ミコトの予測不可能行動も、俺の責任じゃないと思うと気楽でな」

 アレンはリントを見てニヤッと笑う。


「リント君、あの2人の行動を真剣に考えるのやめなよー。僕は闇組織調査中に思い知ったからね!」


 アレンの隣の席のキダンはそう言うと、お皿に乗っている唐揚げとトンカツを見て、プッと吹き出す。


「結婚式なのに、料理が飲み屋!」

「あら、すごくいいと思います」

 キダンの隣に座っているチェコは微笑む。


「私まで招待していただいて、お料理まで振る舞っていただいて、ミコトさんは本当に神々しいお方です……」

 チェコは祈るように手を合わせる。


「違うよチェコちゃん! ミコちゃんは神々しいんじゃなくて、猛々しいんだよ!」

 セイラは唐揚げを口に入れたまましゃべる。


「聖女様! その通りですわね」

 チェコは、聖女のセイラに話しかけられて、涙ぐむ。


 リントはこの席順に悪意を感じて、息を吐く。

 ふと見ると、アレンの隣のゼノマがリントの隣のカイルにお酒を飲まされている。


「カイルさん! ゼノマさんは『誓いの言葉』があるのにお酒を飲ませたら……」

「いや、誓いの言葉はやらないっていうから……」


 リントの静止に、カイルは「なあ」とゼノマに話しかける。


「はい。1年前にすでに神には誓っているので、今回は聖女様に誓うそうです。だから『誓いの言葉』も聖女様が読み上げるとのことで……」

 ゼノマはすでに赤い顔をしている。


「あれ? リントは知らなかったの? 私に誓うからには、アイツがちょっとでもミコちゃんを泣かせたら即処刑……」

「マリー! 何で教えてくれないんだよ……」


 セイラの言葉を遮って、リントはマリーを見る。

 マリーは「寿命がなくなっちゃうと困ると思って?」と微笑んだ後、ルリを見る。


「あら、オムツを替えなくちゃ……」

「あ、俺がやるからマリーは座ってて!」

 リントはオムツなどお世話用品が入った荷物とルリを抱きかかえて、足早に家の方に歩いていく。


「なんか、リント君はやっぱり大変そうだねー」

「そうね。でも、()()()()より、断然いい『お父さん』だわ」


 マリーは微笑んでキダンを見る。

 キダンも笑顔でマリーを見る。


「えー? 誰だろうねぇ。でもさぁ、マリーもロイ君たちの行動をリント君に教えてあげてないよね。ちょっと意地悪いんじゃない?」


 キダンの言い返しに、マリーはウフフと笑う。


「私はリントの驚いて困り果てる表情が割とお気に入りなの。これからも機会があれば狙っていくつもりよ」


「うわ! こんな怖いノロケ初めて聞いたよ! リント君に同情するよ!」


 キダンは叫び、セイラは「マリーかっこいい!」と言い、アレンとカイルとゼノマは苦笑し、チェコはキダンを慰める。


「今日は天気も良くて、本当にいい日ね」

 

 マリーは澄んだ青い空を見上げて、誰に言うでもなく、呟いていた。

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