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異世界恋護奇譚 〜聖女のオマケでバグ転移した私、15歳で天然最強騎士団長と偽装結婚しました〜  作者: 三多来定


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228.代表就任祝いパーティー

 セタの代表就任式と、女性たちによるセタの悪口大会と、ミコトの目隠し暴走と、セタとシェナの和解? があったドタバタとした日の夜、ロイとミコトの自宅で、セタの代表就任祝いのパーティーがささやかに行われていた。


 出席者は、主役のセタ、セタの妻のシェナ、ロイとミコト、リントとマリー、出席を懇願されたセイラである。


 1階のリビングの大きなテーブルに、シェナが作った料理が並べられ、初めは不機嫌だったセイラも上機嫌になっていた。


「シェナちゃん、このキッシュうまい!」

「ありがとうございます、聖女様」

「セイラ、口からこぼれてるよ!」


 セイラの世話を焼くミコトを見て、リントは深い溜息をついた。


「ミコト、人の世話より自分の行動を省みろよ。お前が目隠しで暴走してると報告を受けた時、俺の寿命がさらに縮んだんだよ!」


「え、でも、リントには直接迷惑かけてな……」

「お前は国家特別人物で、俺の直属の部下なんだよ! お前のアホ行動が全て俺の責任になるんだ!」


 リントの罵声に、ミコトは「アホ行動!?」と声を上げる。


「ま、まあ、それくらいで許してあげてよ、リント。今回はミコトちゃんの行動力を甘く見ていた俺の失態だ」

 セタは苦笑いをしながら、リントをなだめる。


 リントはミコトを睨んで「今度やったら減給な!」と言い放つ。


「減給はやめて! 新しい家を買うのに!」


 ミコトの「新しい家」発言に、リントは目を丸くしてロイを見る。


「ロイさん、また家を買うんですか!?」


「うん。今、もう少し大きな庭のある家を探してもらってるんだよ」

 ロイは平然と答える。


「いや、この家十分広いですよね。金持ちの道楽ですか?」

 リントは真顔でロイに詰め寄る。


「道楽じゃなくて、自宅の庭で結婚式をしようと思ってるんだけど、この家の庭だと招待客が入りきらないんだよね」


 ロイの「結婚式」という言葉に、ミコト以外の全員が首を捻る。


「結婚式って、誰の? セタさんとシェナさんですか?」

 リントはセタとシェナを交互に見る。


「いや、俺たちは結婚式は村で挙げてきたんだよ」

 セタはシェナに微笑みながら言う。


「俺とミコトのだよ」

 ロイもミコトに微笑みながら言う。


「え? 結婚式、挙げましたよね? まさかそれも忘れて……」

「リントの俺のイメージ酷いなぁ。ちゃんと覚えてるよ。あの時の結婚式がミコトにとって辛い思い出になっているということも……ね」

「あ……、そういうことですか……」


 リントはあの日の襲撃を思い出し、納得したようにうつむく。

 

「だから今度は、俺たちの仲間だけでささやかに結婚式を挙げたいんだよ。みんなにぜひ来てほしいんだ」

 ロイは全員を見回してニッコリ笑う。


「家を買うところはささやかじゃないわね」

 マリーはクスクスと笑う。


 リントはハッとした表情になる。


「あ、それなら、この家を俺に売ってください」


『えっ!?』

 ミコトとロイの声が重なる。


「正直、この家を基準にしちゃって家探しが難航してるんですよ。特にお風呂に外のタンクから水を簡単に入れられるのが良くて、その条件で探してるんですけど、なかなかないんです」

 

 リントの言葉に、マリーも頷いている。

 なんとこの家は、かなり便利な良い家だったらしい。


「さすが私……!」

「いや、ミコトの事は1ミリも褒めてねーよ」

「私が選んだんだよー!」


 リントとミコトの言い合いをよそに、ロイは「いいよ、リントに売るよ」とあっさり承諾している。


「ロイ、家の売買は後でトラブルにならない様に提出書類が多いんだよ。個人間でやらずに信頼出来る専門家を挟んだ方がいい」


「あ、そうなんだね。じゃあこっちもデルタさんに頼むか……」

 セタの進言に、ロイは頷いている。


 この思い出の家は、リントとマリーの家になるということだ。

 家を変わることが少し寂しかったが、リントとマリーとお腹の子どもの家になるのなら、こんなに嬉しいことはない。


「マリー、私、しょっちゅう遊びに来るね!」

「私もー!」


 ミコトとセイラの言葉に、マリーは微笑み、リントは「来るな!」と叫ぶ。


 セタの代表就任祝いパーティーは、終始和やかな雰囲気で、22時頃に解散となったのだった。





 その約1時間後、ロイは自宅のベッドの上で困惑していた。

 というのも、ミコトが再び目隠しをしているのだ。


「その目隠し、まだ続けるの? 理由を聞いてもいい?」

 ロイは呆れながらミコトに尋ねる。


「え、えーと、私は視覚情報に惑わされすぎていたと反省していて……」

 ミコトは目隠しをしたまま、しどろもどろに答える。


「視覚情報ねぇ……。これ、俺はどうしたらいいの?」

「あ、ロイはいつも通りでいいよ。私が勝手にやっていることだから……」

「いつも通りか……」

 ロイは呟いてニヤリと笑う。


 結局、ミコトが目隠しをしている理由はロイにはよく分からない。

 しかし、視界を奪われると、人は他の感覚が敏感になるものである。

 

 ロイはミコトの耳に、ふっと息を吹きかける。


「ひゃんっ!?」

 ミコトはいつもより大きな声を上げて、ベッドにひっくり返る。


「あー、思った通りだね。これ、ちょっといいかも……」

 ロイは倒れたミコトに覆い被さると、今度はミコトの首すじにキスをする。


「ひゃっ! ま、待って! ちょっと見えなくて変な感じが……!」

「うん、たまにはこういうのもいいね」

 ロイはそう言うと、ミコトの両手を押さえつける。


 ミコトはさぁっと青ざめる。


「や、やめる! 目隠しやめる!」

「ん? そう? じゃあもう少し楽しんだらとってあげるね」


 ミコトは、心の中でぎゃー!と叫び、もう二度と目隠しはしないと誓うのであった。

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