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異世界恋護奇譚 〜聖女のオマケでバグ転移した私、15歳で天然最強騎士団長と偽装結婚しました〜  作者: 三多来定


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227/242

227.目隠し?

 政務棟の代表室で、セタとロイが話していたところに、突然目隠しをしたミコトが現れた……というところで、セタとロイは呆気に取られていた。


「ちょ、え? なんで目隠し……? ていうか、気配消してた?」

 ロイは混乱しながらミコトに質問を投げかける。


「ロイは私の居場所が分かるから、悟られないように気配遮断でここまで来たんだよ!」

「ミコトさん、そっち壁、壁に話してるよ。ロイ先輩はあっち」


 タリスが横から出てきてミコトに言う。


「タリス!? どういうことなの!?」

 ロイは頭を抱えてタリスに質問する。


「いや、理由は全然分からないけど、気配遮断して政務棟まで行くっていうから、俺も気配遮断して護衛をしてた……」

「理由も分からず付き合ってたの!?」

「俺、ミコトさんの言動の9割は意味不明なんで、いつものことだと……」


 タリスの言いように、ロイはガクッと膝をついた。


「そんなことはどうでもいいの! セタさん! もう契約だとか言ってないで、キッパリハッキリ、シェナさんに気持ちを伝えて下さい!」


 ミコトは言い放ったが、セタ視点では、ミコトは目隠しをしてセタの方ではなく、ソファの方を向いている。

 

 セタはぶはっと吹き出した。


「ごめ……。いや、分かった、分かったけど、肝心のシェナは……?」


「ミコトさんの足が速すぎて置いてきちゃったんすよ。もうすぐ来るんで待ってもらえますか?」


 ミコトの代わりにタリスが答える。

 セタは「置いてきた……!」とさらに笑い、ロイは床から立ち上がれないでいた。


「じ、じゃあ、待ってる間にミコトちゃんに聞いてもいい? 目隠しはどこからしてきたの?」


「聖女棟からです! 方向はタリスさんが教えてくれました!」


「うわ、すごい……!」

 セタはお腹を抱えた。


 つまり、ミコトは気配遮断しながら、目隠しでかなりのスピードで走ってきたということだ。


「何で目隠しをしてるの?」

「……そ、それは、企業秘密です!」


 セタは、何の企業なんだよ、とさらに笑う。


 すると、息を切らしたシェナとセイラが代表室に入ってきた。

 先に口を開いたのは、セイラだった。


「あ、腹黒兄貴! 聖女を利用したこと、許さないんだからね! くらえ、ミコちゃんの意味不明行動を!」


「う、うん、もうくらったよ」


 セタは顔を覆った。

 これは、攻撃だったらしい。

 ある意味成功している。


「……セタ、私……」

 シェナは息を整えながら、セタを見る。


「ああ、シェナ。何だか細かいことがどうでも良くなったよ」

 セタは立ち上がってシェナの方へ歩く。


 ロイも何とか立ち上がり、ミコトの腕を引っ張って引き寄せる。

 ミコトは急に引っ張られて、「ひゃっ」と声を上げた。


「静かに。後でちゃんと理由を教えてね」

 ロイはミコトの耳元で囁く。


 目隠しをしているせいなのか、ロイの声や感触がいつもより大きく、ミコトは顔を赤くした。


「シェナ、契約を持ち出してプロポーズしてごめん。本当はただ一緒にいて欲しかったんだ」


「……セタ……」


 セタの言葉に、シェナは涙ぐんで顔を両手で覆う。


 ミコトも、何も見えないが、「良かった」と呟き涙ぐむ。

 目隠しの布がその涙をじんわり吸い込んでいく。


「ミコト、布が濡れてるよ。コレ、取ってもいい?」

 ロイはミコトの目隠しの布をくいっと引っ張る。


「ダ、ダメ! 取らないでっ! 視覚情報に惑わされずに生きたいの!」

 ミコトは手を振り回す。


「ロイ先輩、ミコトさんの言動の意味が分かるなんてある意味尊敬する……」

「いや、これ(目隠し)に関しては俺も分かんない……」


 タリスとロイは溜息をついて、チラリとセイラを見る。

 二人の視線に気付いたセイラは、嫌そうな顔をした。


「ちょっと! 私の差し金じゃないからね! マリーも違うよ! マリーなんて『恥ずかしいから私は行かないわ』って言ってたくらいなんだから!」


「そこまで冷静に常識的に見てるなら、ミコトを止めて欲しかった……」

 

 ロイはハァと息を吐いてから、ハッとした。

 

 ミコトは気配遮断して、ロイに悟られないようにしたと言っていた。


 ロイはミコトが近づいてきたらすぐに分かる。

 気配遮断で完全にミコトの気配が消えたら、これもすぐに分かる。

 つまり未熟な気配遮断で気配が分かりづらい微妙な状態になり、ロイを目くらました、ということだ。


「恐れていたことが……!」

 ロイは再びガクッと膝をつく。


「ロイ先輩!?」

「ロイ? あれ? どこ?」


 タリスは突然膝をついたロイに驚き、ミコトは見えないので、手をバタバタさせる。


「ミコちゃん、もうそれやめなよー」


 ミコトに寛容なセイラも、さすがに呆れて溜息をついたのだった。

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