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異世界恋護奇譚 〜聖女のオマケでバグ転移した私、15歳で天然最強騎士団長と偽装結婚しました〜  作者: 三多来定


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225/242

225.代表就任式

 季節は春から夏に移り変わり、少し動くと汗ばむ陽気の頃、第1エラルダ国の政務棟の会議室でセタの代表就任式が行われていた。


 セタは第1の名代を2ヶ月やり、その間に各部署をまわり、本日付で晴れて第1エラルダ国の代表となったのだ。


 出席者は、新代表のセタ、前代表のアレン、直属の政務官の男性3人、国家特別人物のロイとミコトだ。


 この会議室で行う小規模すぎる代表就任式は、セタの希望である。


「セタ、お前ならなんの心配もないが、何かあったら何でも相談してくれ」

 アレンは代表のバッジをセタに渡しながら言う。


「ありがとうございます。アレンさん、本当にいろいろご迷惑をおかけして……」

「いいんだよ! こうして元気に戻ってきてくれたならな!」


 セタの言葉を、アレンは笑いながら遮る。

 きっと湿っぽくしたくないのだろう。


 アレンはロイに向き直る。


「ロイ、お前には心配しかないが、セタを助けてやってくれ」

「セタ兄とずいぶん違うのが気になりますけど、承知しました。アレンさんもお疲れ様でした」

 ロイは笑顔でアレンに言う。


 アレンはミコトを見る。


「ミコト、何をするにも、まず相談だ。直属のリントと兄のセタを頼れ。わかったな?」

「は、はい! 承知しました!」

 ミコトは元気に返事をする。


 ロイは「俺の名前がない」と呟いている。


「アレンさん、今日夜にささやかですけど、就任のお祝いをロイの家を借りてするんです。良かったら来ていただけませんか? シェナは料理人でしたので、味も保証しますよ」


 セタの誘いに、アレンは苦笑する。


「いや、俺は遠慮しておくよ。若い奴らだけでやるといい。オッサンは3人で飲み会なんだよ」


 どうやらアレンとカイルとゼノマは3人で飲みに行くらしい。

 相変わらず仲が良い。


「そういえば、セタも聖女に嫌われたと聞いたが、本当なのか?」

 アレンは思い出したように言う。


「本当ですよ。初対面で聖女様に腹黒いって言われました」

 セタは笑顔で返す。


 そうなんだよね。

 セイラは相変わらずロイを嫌っているが、セタのことも初対面で嫌っているのだ。

 アリアンとの相性が悪いのだろうか?


「すまんな、と俺が言うのも変だが……。まぁ、慣れると悪くない聖女様だ。言葉に裏表がない」


「ええ。今代の聖女様は、かなり良い聖女だと思いますよ。本質がちゃんと見えています」


 アレンとセタの会話を聞いて、セイラが褒められている! とミコトは笑顔になる。


 セタはミコトを見る。


「ミコトちゃん、聖女様に、就任祝いにぜひ来ていただきたいと伝えてくれるかな?」

「あ、はい!」


 ミコトは、セイラ来るだろうか? と思いながら返事をした。






 夜に行われる、セタの代表就任お祝いにセイラを誘うため、ミコトは聖女の部屋に来ていた。


 国家特別人物になってからのミコトは、聖女の部屋と自宅を半々で利用している。

 ロイが早く帰れる日は、自宅で一緒に過ごしているのだ。


 というのも、ミコト自身は実はあまり忙しくなく、治癒能力の依頼も1回あったきりなのだ。


 初夏に、ミレイと同じ病気の12歳の少女を治療したのが、治癒能力の法律を適用後、最初で最後となっている。

 次の依頼も特に聞いていない。


 女性騎士団もまだ設立されておらず、女性騎士養成所が秋から始まる予定となっている。


 お腹がかなり大きくなったマリーは、前と変わらず聖女棟で仕事をしながら暮らしている。

 リントが忙しい、ということもあるが、家探しが難航しているという理由もあるようだ。



「お兄ちゃんの代表就任のお祝いねぇ……」

 セイラはベッドの上でゴロゴロしながら、ミコトの話を復唱する。


 やはりあまり乗り気ではないようだ。


「マリーは行くよね?」

 ミコトはソファに座っているマリーに尋ねる。


「ええ。リントも行くって言ってたわ」

 マリーは微笑む。


「まあ、美味しい食べ物があるみたいだし、行ってもいいけど……」

 セイラはぶつぶつと呟く。


「セイラは、なんでセタさんが嫌いなの?」


 ミコトが首を傾げながら尋ねると、セイラは嫌そうな顔をした。


「ミコちゃんは相変わらずイケメンに弱いよね。お兄ちゃん、どー見ても腹黒いじゃん! しかもアイツと同じ匂いがするんだよ!」


「私、セイラのそういうところ、本当に好きだわ」

 セイラの暴言に、マリーはウフフと笑う。


 どうやらマリーはセイラの意見に賛成のようだ。


「兄弟仲良しなのは別にいいんだけどさ、それにミコちゃんを巻き込まないで欲しいんだよね! ミコちゃんを守るとか言って、弟を守ってるだけなんだよ、あの腹黒兄貴は!」


 セイラが言い放つと同時に、聖女の部屋のドアがノックされる。

 ミコトがドアを開けると、立っていたのはシェナだった。


「シェナさん!?」

 ミコトは、セタの悪口が聞こえてしまった? と思い、目が泳ぐ。


「聖女様……」

 シェナはベッドで寝そべっているセイラを見て呟く。


 これ、まずいんじゃないだろうか。

 シェナからしたら、最愛の旦那様のセタを「腹黒兄貴」呼ばわりされたのだ。


「あ、あの、シェナさん……」

「すごいわ、聖女様!」


 シェナは笑顔になって、セイラの方へ駆け寄る。

 ミコトは「え?」と言いながらドアを閉める。


「セタって、子どもの時から、ものすごく腹黒いんです! 大事なのは、ロイ君だけなんです! あの笑顔に騙されず、一発で見抜くなんて、さすが聖女様です!」


 まくし立てるシェナに、ミコトは呆然とし、セイラは起き上がって「まぁね!」と言い、マリーは「あらあら」と微笑む。


「えっと、シェナさん……?」

 ミコトは理解が追いつかず、ドア前から動けないでいた。


「あ、ごめんなさい、突然来てペラペラと喋ってしまって……」


 立ち上がって頭を下げるシェナに、マリーはにっこり微笑んだ。


「セタさんの就任祝いに行く前に、女子会でもしましょうか」

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