表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界恋護奇譚 〜聖女のオマケでバグ転移した私、15歳で天然最強騎士団長と偽装結婚しました〜  作者: 三多来定


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

214/242

214.セタの治療

 ミコトとロイは、第4エラルダ国の山の麓の町で治療の準備と称して一泊し、明朝、セタの実家に戻ってきた。


 リタとシェナと今日休みだというオルバは、ロイに抱えられて赤い顔でくたっとしているミコトを見て、驚いた。


「ミコトちゃん!? どうしたの、これ……」

「あ、大丈夫です。ちょっと力が入りすぎちゃって、軽く酔っているだけなので……」


 驚いているリタに、ロイは分かりにくい説明をする。


「力が……入りすぎ……」

 シェナが顔を赤くして呟く。


「ロ、ロイ君、若い時はその、何回もしたくなるのは私も経験があるから理解はするんだけども、実際は、女性にはちょっとキツイというか……」

 オルバは、しどろもどろにロイに訴える。


「え? あっ! 違います! 何回もはしてないんです! 力は話をするだけでも入るんですよ」

 ロイは咄嗟に弁解する。


 さすがに治療の前日に、ミコトを寝かせないということはしない。


 ただ、昨日、ロイの重い気持ちを理解して受け入れたミコトに、必要以上に力が入ってしまったのだ。


「なるほど、経験があって、理解できちゃうのねー」

 リタはニヤニヤしながらオルバを見る。


「い、いや……! ああ、私たちは見学していても大丈夫なのかな!?」

 オルバは慌ててロイに質問する。


「あ、はい、大丈夫です。妹の治療の時は、教会で見学者も50人以上いましたので……」

「妹? ミコトちゃんの妹さん?」


 ロイの「妹」という言葉に、リタは即座に反応する。

 ロイは、リタに(ミレイ)の事を話していなかった、と思った。


「あ、えーと、俺の妹で、俺が5歳の時に母さんが産んで……」

「は、はあ!? レイちゃんが!? どういうこと!? そんなの聞いてな……」

「リ、リタ! その話は後にしよう! ロイ君、後で落ち着いてその話をしてくれないか。リタはレイさんの事をとても心配していたんだよ」


 ロイに詰め寄るリタを、オルバは慌てて止める。


「はい、もちろんです。俺も記憶を思い出したばかりで、伝えずにいてすみませんでした」

「ロイ……。分かったわ、大きな声を出してごめんなさい」


 リタは瞬時に、この話が辛い記憶を伴うものだと理解して頭を下げる。


「あの、ミコトちゃんの顔がさらに赤いけど大丈夫……?」

 シェナは遠慮がちにロイに聞く。


「あ、出さないとまずいかな。早速セタ兄の治療をしますね」


 ロイはそう言うと、セタの部屋をノックして、中に入って行った。

 リタとオルバとシェナも後に続く。


「おはよう、セタ兄。早速で悪いけど、治療を……」

「話は何となく聞こえていたよ。ああ、力が入るって、そんな感じなのか……」


 セタはミコトの赤い顔をチラリと見て、納得したように言う。

 ミコトは、いつもはこんな感じではないです、と言いたかったが、とにかくフワフワするので黙っていた。


「今日はちょっと入りすぎていて……。ミコト、少しずつ、出来る?」

 ロイの膝に乗せられたミコトは、ロイにもたれるように座る。


「うん、できる……」


 ミコトの言葉にロイは頷いて、セタの左手を取り、ミコトの両手をその上に重ねる。


「セタ兄、ミコトの力が全身にまわるまで、おそらく1分もかからないくらいだと思うけど、それまで待ってから、……アリアンを辞めて欲しいんだ」


「……分かった」


 セタは目を閉じる。

 ミコトも目を閉じてセタに力を入れる。


 ミコトが、この「ロイの力が入りすぎ状態」をそのままにしていたのは、もちろんセタの治療のためである。


 ミレイの治療は、未知の病で損傷箇所が不明だったため全身に力を入れた。

 ソマイの治療は、病気ではないため全身に力を入れた。


 でも、どちらもおそらくギリギリだった。

 ロイの力を取り込みながら……ということが、実はミコトは出来ていないのだ。


 治療の事を考えながら、ロイの事を大好きと考える……、そんな器用なこと、ミコトには無理なのだ。


 それなら、ロイの力が飽和状態でやる! とロイと相談して、このちょっと恥ずかしい状態で来たのだ。


 セタはアリアンだ。

 きっと、普通の人と何かが違うはずだ。


 絶対に、絶対に死なせない!!


 ミコトの力が全身にまわったところで、セタの様子が豹変する。


「うっ……! グゥッ……」


 セタのうめき声が、静かだった部屋に響く。


「セタ!」

「セタ君……!」

「大丈夫です! 動かないで下さい!」


 リタとオルバが近づこうとするのを、ロイは制する。


「ミコトちゃんの顔の赤みがひいていく……」

 シェナがポツリと呟く。


 今までと違う! とミコトは感じていた。

 力の、持っていかれ方と言えばいいのだろうか、セタの全身に力をまわしているのに、それがどんどんセタに吸収されていく感じだ……!


 飽和状態で正解だった。

 というか、それでも足りない!?


 ううん、諦めない!

 ロイの大切なお兄さんなんだ。

 絶対に治す!!


 

 どれくらい時間が経ったのだろう。

 

 セタの「ミコトちゃん、もういいよ」という声を微かに聞いて、ミコトはいつものように気を失ったのだった……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ